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淫夢

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第一章

                淫夢
 その朝花見愛衣はどうしてかと思いながら夫の進彦と共に朝食を食べていた、それで幾分かぼんやりしていて。
 向かい側に座る夫の徹が怪訝な声で言ってきた。
「どうした」
「えっ!?」
 夫の声にはっとなった、やや細い垂れ目で眉は細く目の形と合わせて緩やかに落ちている。頬は少しふっくらとしていて赤い小さな唇は微笑んでいる感じだ。黒髪をロングにしていて胸があり脚は白くすらりとしたものが白の半ズボンから出ている。背は一五二位だ。
「どうしたの?」
「それはこっちの言葉だ」
 夫はこう返した、仕事は県庁である。黒髪をオールバックにしていて細面で痩せた顔をしている、小さな目は鋭く唇は薄く眉は短い。背は一七七程で引き締まった体格である。二人はお見合いで結婚し入籍して一年になる。
「ぼうっとした感じだが」
「ちょっとね」
「ちょっとか」
「ええ、考えごとがあって」
「そうか、何を考えていた」
「昨日の夢のことで」
 妻は夫に正直に答えた。
「それでなの」
「夢か」
「そうなの」
「夢は誰でも見るからな」
 夫はご飯を食べながら応えた。
「だからな」
「夢のことはなの」
「俺も見る」 
 それでというのだ。
「そしてあれこれ考えるからな」
「いいの」
「そうしたこともあるな」
「それじゃあ」
「それはいい、しかしな」
「しかし?」
「気になって聞いた」
 愛衣がぼうっとしていたからだというのだ。
「それならいい、じゃあ俺は食ったらだ」
「ええ、それでね」
「仕事に行って来る」
 こう妻に言った。
「そして今日もな」
「お仕事が終わったら」
「ジムで泳いでだ」
 そうしてというのだ。
「それからだ」
「帰るのね」
「そうする」
 こう言ってだった。
 夫は朝食、牛乳とトーストとプチトマトそれにオムレツの朝食を食べてだった。
 出勤した、愛衣はその夫を見送ってだった。
 考え込みながら家事をしてパートに出た、パートは家の近くのコンビニでしていたがここでだった。
 そのコンビニでアルバイトをしている大学生の井上ひろみ、縮れた黒髪を伸ばしポニーテールにしていてはっきりした目で明るい顔立ちを派手なメイクで覆っているスタイルのいい娘が声をかけてきた。背は愛衣より十センチは高い。
「愛衣さん、どうしたの?」
「えっ、何?」
「ぼーーーっとしてるよ」 
 こう愛衣に声をかけた。
「ちょっとね」
「考えごとしてて」
「考えごと?」
「そうなの、夢を見てね」
「ああ、昨日の夜に」
「それが不思議な夢だったの」
 愛衣はここでだった。
 周りを見回して店の中に店長もお客さんもいないことを確認した、そうして言った。 
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