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魔法少女リリカルなのは 平凡な日常を望む転生者

作者:blueocean
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第68話 気がついたら空の上

「零治、もう良いのか?」
「ああ。悪いなアギト、付き合わせて」
「良いよ別に。それにアタシが行きたいって言ったんだし」

ふと思い出したアリサの頼み事も終え、アギトと帰路についていた時だった。
普通に歩いていた筈なのに、いつの間にか浮遊感を感じたと思ったら、景色が空になった。

「なあ零治………」

「何だアギト?」

「何で空に浮いてるんだ?」

「知るかあああああああ!!!」

叫びながら俺はもの凄いスピードで落下していく。
助けてアギト………






「こっちから魔力反応があったはずなんだが………」

今、いきなり現れた魔力反応を見に行くため、その場所に急行していた。
闇の欠片事件が終息してから3ヶ月ほど経った。

しかし今再び、闇の欠片が現れ、色々な場所で暴れていた。
なのは達にも協力してもらい事態を終息させるために出払っているのだが………


『クロノ君、どう?』

「まだ分からない。………ん?」

エイミィから通信があったちょうどその時、
クロノの視線の先、そこには黒い装甲に包まれ、所々で炎が出ている魔導師らしき人物がいた。









いつまでも落下していられないので、俺はブラックサレナになってアギトとユニゾンした。
しかし飛んでいるとどこまでも海鳴市だ。

何でいきなり空にいたんだか………
そう思いながら暫く飛んでいると、向かい側から青い髪の男の子が飛んできたのだった。

「あれってもしかしてクロノさん?」

『ちっこいですね〜』

「どうなってるんだ?」

『零治知り合い?』

「ああ、だけどあんなにチビじゃなかった筈だ」

「聞こえているんだが………」

どうやら聞こえていたようだ。
肩を震わせている。

『クロノ君、怒りを抑えて………』

「分かってる。こちら管理局だ、突然魔力反応があって来てみたのだが………色々聞きたいことがある。同行してもらっていいだろうか?」

クロノさんが淡々と聞いてくる。
それに対して俺は今のクロノさんの言動に違和感を感じた。

「………黒の亡霊を知らない?」

この姿は結構管理局でも有名だった筈だからおかしいな………気づいたら空の上だったのもそうだけど、チビなクロノさんに、黒の亡霊を知らない?

『マスター………』

「ああ、取り敢えずは逃げるぞ。まずは状況を把握することが先だ」

黒い装甲をフィールドが包む。

「何をするつもりだ………?」

「行くぞラグナル、アギト」

『おお!』

『了解です!』

「ジャンプ!」

そう言った瞬間、光に包まれ、クロノさんの前から消え去ったのだった………









「さて、撒いたよな?」

『取り敢えず降りませんか?』

「そうだな、一旦降りて、整理しよう」

俺は近くのビルの屋上に降り、ブラックサレナを解いてドアを背に腕を組んだ。

「ラグナル、ここは何年だ?」

『少し待って下さい……………新暦66年みたいです』

「やっぱり過去か………」

「って事はここは4年前って事か!?」

「そうだな〜」

『そうですね〜』

俺達がいた世界の新暦が70年。ようするに4年前にタイムスリップした事になる。

「何でそんなに冷静なんだよ2人は………」

まあ転生してきた俺としては今更タイムスリップしてもなぁ………

『しかし原因はなんでしょう?』

「そうだよな………一番考えられるのはロストロギアだけど、別に普通に帰ってただけだし」

「私も何も触ってねえぞ!」

だよな。
そんな怪しいものも道端に無かったし………

「分かんね………」

『サッパリですね』

「八方塞がりだな………」

そしてもう一つ気になる事がある。
何故黒の亡霊の事を知らなかったのか?

「もしかしたら………」

『マスター?』

「いや、何でもない。まだそう決めつけるのは早いか………取り敢えず、さっきのクロノさんか管理局の誰かに接触して話を聞いてみるべきかもな」

『そうですね』

取り敢えず、俺は再びセットアップして空へ飛んだ。









「あれって………」

暫くブラックサレナで飛んでいると目の前にピンクのポニーテールの女性がいた。

「あれはシグナムさんだな」

『シグナム?』

「ヴォルケンリッターのリーダーだ。ヴォルケンリッターと言うのははやてって奴が持つ、夜天の書の………」

『マスター!!』

ラグナルに言われて目の前を見ると、シグナムさんが俺に向かって剣を突き立て、こっちに飛んできた。

「ビームソード展開!」

慌てて展開したビームソードで何とか横に受け流し、難を逃れたと思ったが、

「くっ!?」

そこはシグナムさん、体勢を崩されながらも斬り払ってきた。
崩れていた分、威力は全く無かったが、気を抜いたら簡単にやられる。

「ラグナル、アーマーを解くぞ」

『イエス、マスター』

ブラックサレナを解いて、ラグナルフォームに戻る。

「何で襲ってくるのか話を聞きたいんだが………」

「………」

「教えてくれる様子じゃ無いよな………だったら!!」

刀に手を置き、いつもで抜刀出来る構えをする。

「戦って聞くまでだ!」







「魔人剣、炎牙!」

シグナムさんに向かって居合で、炎を纏った斬撃を放つ。
だがシグナムさんはその斬撃を体を少しずらして躱した。

「まあ難なく避ける事」

『誰なんだよ、凄く強いじゃねえか』

「さっきも言ったろ?ヴォルケンリッターのリーダーで剣の騎士と呼ばれている。夜天の書の守護騎士だ」

「空牙!」

横薙ぎの斬撃が飛んでくる。
さっき俺が放った魔神剣とは威力もスピードも大違いだ。

「ラグナル!」
『ソニックムーブ!』

とっさにソニックムーブで移動。
一気に距離を詰め……

「封翼衝!」

ソニックムーブの勢いそのままで鞘で殴りつけた。

「!?」

鞘で来るとは思ってなかったのか、脇腹辺りにうまくヒットする。

「畳み掛ける!」
『裂空刃!』

すかさず、そのまま裂空刃を放つ。
見えない速さで剣を振り、発生させた真空の刃がシグナムさんを包み込む。

「最後に!」
『翔鳳烈火だ!!』

アギトの声と共に、炎の鳥の形をした魔力の斬撃を放つ。
裂空斬で身動きの出来ないシグナムさんに直撃した。

「どうだ………?」

直撃の際、巻き起こった煙でシグナムさんが見えない。
煙で視界が分かりづらいが、無傷では無いはずだ。

『………マスター!!』

「シュランゲバイゼン」

「くっ!?」

油断をしたつもりは無い。
だが、向かってきた鞭の様な剣に反応が遅れて、

「ぐああああ!!」
『きゃあああ!!』

俺もモロにくらってしまった。

『マスター、アギト!!』

「だ、大丈夫だ」

『私も』

油断した………
しかし相手もダメージが重そうだ。

一応技をしかも威力のある翔鳳烈火まで使ったんだ。
それでピンピンしてたらこっちがへこむ。

しかし、あれは………って!!

「やばっ!?」

『何だ?弓?』

「シュツルムファルケン」
「ジャンプ!!」

俺は咄嗟に転移。
俺のいた場所にもの凄い速さで魔力の矢が通り過ぎた。
技を知ってて良かった。
何とかシグナムさんが放った弓を回避することが出来た。

『恐ろしいですね。剣士だと思ってたらあんな奥の手があるなんて………』

「しかもあれが一番威力が高い技なんだぜ」

『なんだよそれ………』

だけどあのスピードは反則だよな………

『マスター!!』

「ああ、今度はこっちの番だ。一気に仕掛ける!」

『フルドライブ!!』
『オーバーリミッツだ!!』

俺はオレンジの光に包まれる。
対してシグナムさんは炎を纏った剣で突っ込んでくる。

『殺撃舞荒剣!行くぜ!!』

アギトの掛け声と共に炎を纏った剣で俺もシグナムさんに向かって行った。

「紫電………一閃」
「はあああああ」

剣と剣がぶつかりあう。
どちらも炎が巻き起こり、二人を包む。

暫く均衡していたが、ダメージの多いシグナムさんに対して、力一杯込めた一撃で相手の剣に打ち勝った。

『どりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃ!!』

アギトの掛け声と共に斬る斬る斬る。
怒涛の斬撃を休む事無く、畳み掛ける。

『どりゃりゃりゃりゃりゃりゃでりゃあああ!!』

最後に思いっきり斬り上げた。

「はぁはぁ………」
『ああ、喉が痛い………』
『アギト叫び過ぎですよ………』

だな、もの凄く噛みそうなくらい続けて叫んでたな………

くらったシグナムさんは下に落ちていく。
だが、その内………

「バラバラになってく………?」

シグナムさんは落ちていくと同時に光って少しずつ消えていった。

「闇の欠片………?」

『『闇の欠片?』』

「ああ、星達が暴れてた事件だ。………と言っても詳しくは知らないんだけどな」

『ということはやっぱり過去ですね』

「ああ、そうみたいだな。取り敢えず誰か事情を知ってる奴に話を聞かないとな」

俺達は取り敢えずまた移動することにした。








『ん?誰かが戦闘をしてますね』

『誰って誰だよ?』

『この魔力光は夜美様ですね』

「夜美が?って事はやっぱり闇の欠片事件なのか?まあいい、取り敢えず行ってみるぞ………しかし、何かさっきから空がおかしいな………」

さっきから空が赤みかかった黒に包まれ異様な雰囲気が漂っていた。

『確かに。何か揺れてるし、何かありそうだよな』

空にいるのに、その場が揺れている感覚。
とてつもない力が爆発しそうになっているのではないか?

「何だか嫌な予感がする………」

『急ぎましょう!』

「だな」

俺は急いで夜美達の元へ向かった………







「よし、着いた」

『あれはちっちゃい夜美様とはやて様?』

「ああ。………しかし凄い戦いだな」

『似たような技で魔力弾のオンパレードだな』

アギトの言うとおり、さっきから魔力弾が飛び交っている。

「流石そっくりさんだな」

『だな。はやてって子を初めて見るけど本当に似てるな………』

『そんなのんきに見ていて………あっ、終わりましたね』

勝負ははやての勝ちみたいだが、ぶっちゃけどっちもどっちみたいだ。
両方とも肩で息をしている。

「取り敢えずもっと近づこう」







近づくと赤い球体があったり、ピンクの髪の少女がいたり、大きなリインがいたりと人物が増えていた。
今ちょうど来たのだろうか?

「いずれにせよ時は満ちた。行くぞ桃色!!」
「はぁーい、強制起動システム正常、リンクユニットフル稼働。」

赤い球体みたいな物が激しく反応し始める。

「さあ、蘇るぞ!無限の力『無限の闇』!!我の記憶が確かなら、その姿は『大いなる翼』!名前からして戦船か、あるいは対外強化装備か………」

「こんなのですか?」

ピンクの髪の少女が俺を指してくる。
何か夜美が叫んでいるおかげで気づかれずに近くに転移出来たと思ったけど………

「おお!なかなかカッコイイではないか!!」
「そうか?流石夜美、分かってるじゃないか」
『ブラックサレナは結構怖がられますからね………』

「確かにカッコええなぁ………」
「私には良く………」

リインフォースには早いみたいだった。

「って貴様誰だ!?」

「今更かよ夜美………」

『流石夜美様、ツッコミが鋭い』

「我は夜美などという名前ではない!!我の名は偉大なる王、ロード・ディアーチェだ!!」

「私の名前はキリエ・フローリアンです。よろしくね、迷い人さん」

「!?お前………」

「まあいい。ともあれこの偉大な力を手にする我等に負けはない!残念だったな子鴉とそのお供、そして………」

「どうぞお好きに」

「………ロボット」

「もっと捻ろうぜ」

「やかましい!!とにかく甦れ!そして我が手に収まれ!!忌まわしき無限連環機構、シスエムUーD、砕け得ぬ闇よっ!!」

そう夜美が叫ぶと、赤い球体から声が聞こえる。

「ユニット再起動………無限連環機構作動開始。システム「アンブレイカブル・ダーク」正常作動。」

「お……おおお?」

「はいっ?」

「え……?これって……」

「可愛い女の子じゃねえか」

俺の言った通り、現れたのは金髪の女の子。
確かに禍々しさを感じるがどこにでもいそうな女の子だ。

「ちょっと王様?システムUーDが人型しているなんて、聞いていないんですケドォ!?」

「むぅ、おかしい。我が記憶でも、人の姿を取っているなどとは………いや、それを言うなら、我々も元々人の姿などしておらんわけで………」

予想外なのか夜美も混乱しているみたいだ。
害意は感じ無いから悪い子ではないと思うんだが………

「あ………取り敢えず、『砕け得ぬ闇』やから………ヤミちゃん?」

あー、はやてちゃんそれだと俺が困るから止めて欲しいんだけど………

「ヤミちゃん!?」

「視界内に夜天の書を確認………防衛プログラム破損、保有者認証、困難………」

「あ、あの、こんにちは。現在の夜天の書の主、八神はやてです!」

「待てぇーい!うぬら、なんたる横入り!起動させたのは我ぞ!」

混乱が解けたのか我に返ってはやてに注意する夜美。
しかしさっきから怒ったり混乱したりと忙しいな。

「起動方法を伝授したのは私です〜!」

「いや、知らんし」

「ロボットさんは黙ってて下さい!!」

「そやけど夜天の書の主は私やから………」

「黙れ黙れ!これは我のだ!誰にも渡さんぞ!」

いやぁ、何か夜美の様子を見ると昔を思い出して和むな………
昔は良くライとケーキの取り合いになってあんな感じで我侭言ってたな………

『マスター、感傷に浸るのは後で』

「おっと………」
「あ〜ん、王様、話が違います〜!!」

しかしいつまでもやかましいな………
あの女の子放置かよ。

あの子もどうすればいいか………って!!

「状況不安定………駆体の安全確保の為、周辺の危険因子を………」

大きく血の色をした翼を広げたと思ったら、

「排除します」

赤く目を光らせ、淡々と告げたのだった。

「!?はやて!!」

俺は直ぐにはやての前に移動。
金髪の女の子の前に立った。

「俺が相手するぜ………」

「空中打撃戦システムロード。出力上限5%」

「な……なんやこの重圧……魔力量の桁が違う!?」

「コイツはマジでヤバイな………はやていいから離れろ!!」

「な、何で私の名前を………」

「いいから離れろっての!!………リインフォース、連れてけ!」

「!?分かった」

リインフォースは慌ててこっちに来てはやてを引っ張っていった。
これではやてには被害は無いだろう。

「墜滅、開始」

こうして、俺は勝てる見込みの少ない戦いへと赴くのだった……… 
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