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小鳥との絆

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第一章

                小鳥との絆
 コロラド州ボルダー在住の天文学者アレックス=パーカーは眼鏡をかけた黒髪の額の広い男性である。
 その彼は今自宅の庭で酷く汚れて餓えた小鳥を見付けた。そのうえで妻のジュリア茶色がかったブロンドを長く伸ばしてセットしていて青い目が印象的なギリシア彫刻の様な整った顔と年齢を感じさせないスタイルの彼女にその小鳥を見せて話した。
「アオカケスだね」
「その鳥なの」
「うん、そうだよ」
 その青くて大きな嘴を持つ小鳥を見せつつ話した。
「元野生だと思うけれど」
「保護するのね」
「ここで手に取ったことも縁だから」
 それでというのだ。
「だからね」
「助けるのね」
「そしてね」
 そのうえでというのだ。
「野生に戻そう」
「わかったわ、それじゃあね」
「何とかするよ」
 この小鳥を野生に帰すと言ってだった。 
 そのうえで早速アオカケスのことを調べそのうえで獣医にも診せ病気や怪我がないか確かめてもらった。
 ここで性別もわかった、雄だったので名前はヘンリーとした。
 そしてそのヘンリーと共に暮らしはじめたが。
 ヘンリーは大した病気も怪我もなく日増しに元気になった、それでだった。 
 もう大丈夫と判断した時に自然に帰した、だが。
「ククッ」
「あれ、庭にね」
「居付いてるわね」
「ずっとここにいるね」
「どうしたのかしら」
「まさか」
 パーカーは妻に考える顔で答えた。
「僕達が世話をしたから」
「それで親しみを持ったのかしら」
「そうかも知れないね」
「そうなのね」
「だから」
 それならとだ、夫は妻に話した。
「ヘンリーの好きな様にしよう」
「お庭にいたいのならいてもらって」
「他のところに行くのなら」
「行ってもらうのね」
「そうしよう」
「それじゃあ」
 妻も頷いた、そしてだった。
 二人はヘンリーを庭にいさせた、彼は庭の木に巣を作りそこで暮らした。夫婦もその彼を見て笑顔でいた。
 パーカーは仕事でアメリカ以外の国に行くこともある、それでこの時はオーストラリアのメルボルンにいた。
 そこで自分と同じ天文学者の娘であり大学生であるシャーロット=イスライリ腰までの銀髪とライトブルーの目で楚々とした外見の彼女にヘンリーのことを話すと。
 シャーロットはパーカーが彼女の父に案内された時に一匹のモモイロインコとオーストラリアン=キャトル=ドッグのミックスの雌を見せて話した。
「インコはクラッカー、犬はマイロといいます」
「随分仲がいいですね」
「はい、実はです」
「チチチ」
「ワンッ」
 見ればクラッカーはマイロの背中に停まっている、マイロはその彼に顔を向けて随分楽しそうにしている。
 その彼等を見つつだ、シャーロットはパーカーにさらに話した。
「クラッカーは雄で散歩の時にです」
「見付けたんですか」
「はい、この娘のお散歩をしている時に」
 その時にというのだ。
「マイロが鳴いて茂みに向かって歩きはじめて」
「それで、ですか」
「その先にクラッカーがいました」
 そうだったというのだ。
「怪我をしていたので保護して」
「手当てをされたんですね」
「最初は籠の中にいて」
 鳥籠の中にというのだ。 
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