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孤児となった象

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第一章

               孤児となった象 
 大学で動物の医療のことを教え教授にもなっているギャリティ=モッカ赤髪で褐色の肌と黒い目を持つ中背のアフリカ系の彼はアメリカサウスカロライナ州マートルビーチの保護動物施設にも出入りしていている、その彼が今三十二歳の雄のアフリカゾウのパブルスと三歳の黒のラブラドールの雌のベラを見て施設の職員であるアントン=ヘッケナーアフリカ系で黒髪をアフロにしている彼に言っていた。
「よかったですよ」
「バブルスも元気になってですね」
「はい」
「パオ~~ン」
「ワンワン」
 二匹は楽しそうに遊んでいる、その彼等を見つつ話した。
「本当に」
「いや、バブルスもです」
 ヘッケナーはモッカに話した。
「親がなくなって」
「それで、でしたね」
「身寄りがなくなって塞ぎ込んでいたんですが」
「それでここに保護されて」
「ここに来て最初は塞ぎ込んでいたんですが」
 それがというのだ。
「ベラと出会って」
「打ち解けて、ですね」
「友達同士になって」 
 そうしてというのだ。
「明るくなれてよかったです」
「犬も象もとても頭がいいです」
 モッカはここでこのことを話した。
「ですから」
「それで、ですね」
「お互いを理解出来ます、そして理解し合って」
「ああしてですね」
「幸せになれます」
「そうですね」
「ですから」
 それ故にというのだ。
「これからは」
「彼等はですね」
「一緒にいてもらいましょう」
「種類は違っても絆は生まれるので」
「そうしてもらいましょう」
 ヘッケナーに笑顔で話した、二人の目の前にいる彼等はとても幸せそうであった。そしてだった。
 モッカは仕事で南アフリカのトゥーラ=トゥーラ=リノ孤児院に行ってそこに保護されている子供の雌の象と彼に寄り添っているジャーマンシェパードを見て言った。
「アメリカでも見ていますが」
「犬と象はですね」
「相性がいいですね」
「どちらも頭がよくて優しいので」
 だからだとだ、施設のスタッフ達に話した。
「理解し合えます」
「そして友達にもなれますね」
「特にあの娘。エリーですね」
「はい、ヘルミア等を患っていて」
「身体が弱くて」
「それで群れからも母親からも見捨てられたんですが」
 それでもというのだ。
「この施設に入って」
「あのシェパードがですね」
「ドゥーマといいます。引退していますが麻薬捜査や介助で活躍していました」
「そうした子ですね」
「とても優しい子で施設に入っても弱々しかったエリーに寄り添ってくれて」
 そうしてというのだ。 
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