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異生神妖魔学園

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大きくなりました♡ 前編

5連休明けの翌日、事件はいきなり起こった。


紺子「なああああんじゃああああこりゃああああああああああああああああ!?!?!?!?」

一海「……………」ポカーン


絶叫する紺子、唖然とする一海。そして昨日紺子の家に泊まった仁美、辰美、乱もポカンとしていた。





いつも紺子たちが通っている学園があり得ないほどに巨大化しているではないか。


紺子「え、ちょっとマジでどういうこと!?一晩のうちに何があったの!?何でこんなにでかくなってんの!?」

乱「遠くから見てもどこかおかしいなって思ったけど……」

一海「絶対他の街に被害及んでるよねこれ」


そんな学園を見ているのは紺子たちだけではない。紺子のクラスの生徒たちも唖然としている。さらに1年の後輩たちも、3年の先輩たちも。
紺子はちょうど近くにいた竜香に声をかけてみる。


紺子「あの、轟先輩?何でこんなに学園がでかくなってんの?」

竜香「自分だってわかんないよ……遠くから見てもメチャクチャ大きかったし」

紺子「轟先輩でもわかんないって………まさかあいつか?あの変態トカゲ(学園長)か!?」


いつも何を考えているか、何をしでかすかわからない学園長、喰輪辰蛇。彼女ならやりかねなかった。
それもそのはず、紺子が龍華と竜奈に自分の過去を話そうとしたところで突然現れて屋上から落とされたり、EVOLUTION SPACEに現れたところを遠呂智に捕まってダークマター100皿を3分で完食しなければならなかったり、さらには5連休前日にレクリエーションでデンジャラス・逃走中を開催した。
巨大化した学園もどこからどう見ても辰蛇の仕業としか考えられなかった。そう確信した紺子の心境はこうなっていた。


紺子(あの変態ウロボロス、あの変態学園長どこに隠れてやがんだ?学園をあんなにでかくしやがった元凶はどこにいやがる?見つけたらみんなで拷問にかけて、それから燐斗先生に頼んで秘術室の大鍋でグツグツのシチューに―――――)


完全に殺意がむき出しになっていた。そんな時、何者かが紺子の足を引っ張る。
見下ろすと、そこにいたのは数日前プールに落ちてきた浅井冬睡の従者である粘土細工だった。


紺子「きゃあ!?」


無論、驚きのあまり足を上げる。紺子の足を引っ張っていたのは筆談役だった。


一海「どうしたの?出雲姐ちゃん」

紺子「か、カズミン!これ見てよ!人形が…人形が動いてる!」

一海「え?」


首をかしげる一海。筆談役はスケッチブックを取り出すと、こう記す。


【私たちは浅井冬睡様の従者。驚かせてしまい申し訳ありません】

一海「うわっ!人形が字書いてる!」

紺子「そんなことより浅井冬睡って誰!?浅井冬睡って誰なの!?」

【あの玉座で寝ている方がそうです】

筆談役が指す方向を見ると、そこには玉座に座りながら眠っているパジャマ姿の少年、浅井冬睡が。

紺子「あれが最近うちの学園に来たって言われてる先輩!?何でこんな騒ぎが起きてるのに平気で寝てられるの!?」

乱「何でだろう………私と同じ雰囲気が出てるのに……見てるだけでこんなに悪寒がするなんて………」


怖がる紺子。不思議と恐怖感を抱き、鳥肌が立つ乱。
そんな時、校舎からコーティアが高笑いしながら出てきた。


コーティア「フハハハハハハハハハハハ!!ハーッハッハッハッハッハッハッ!!どうだ、諸君!《《我の芸術》》を気に入ってくれたかな!?」


この時、生徒全員の思考が停止した。同時に信じられないという驚きが湧き出してきた。
元凶はコーティア先生?あの学園長じゃないのか?


コーティア「犯人がいつも学園長とは限らない!校舎を含めた学園の備品を大きくしてみたんだが、ぜひお前たちの感想を聞きたい!」

牙狼「いや、感想も何も僕たち授業どころか先生も仕事しづらいじゃないですか!備品が大きくなったってことは、教室も黒板も職員室も!どうやって生活しろっていうんですか!?」

コーティア「それを承知で行ったのが我だ。元に戻せと言われても丸1日かかるからな、それまで我慢するのだ」


牙狼の苦情は撤回された。


死纏さん「今日は珍しく学園長が犯人じゃないなんてな。学園全てがでかくなったってことはまさか……うっ、ヤベェ。何でか知らねぇが、死神なのに鳥肌が立ちやがった………」





しばらくして校内に入る生徒たち。扉は閉じたままでは酷だと思ったのか、ご丁寧に開いていた。
校内でもさらにとんでもないものを見てしまった者がいた。


紺子「何だこのでっかい角!?」


校長室をふと覗いたのだが、ある女性が仰向けにブリッジのような体勢になっていた。上半身はめくれた水色のスカートによって隠れており、腹とパンツ、そしてハイヒールを履いたスラッとした足があらわになっている。
だがこの角、どこかで見たことがある。それにこのめくれた水色のスカート。さらに紺子と一海にとって丸出しになった腹とパンツに見覚えがあった。


龍哉「あの……校長……ですか?」

アルケー「うふふ、まさしく私こそがアルケー・ティアランド・ケイオスですわ♡」

龍哉「見たことある角だと思いましたが、校長でしたか………いや、そんなことより!何で校長そんなにいやらしい格好してるんですか!?」

アルケー「前におへそ掃除されたことを思い出しまして……あそこに綿棒とオリーブオイルがあるでしょう?さっきまでおへそ掃除してたんですが、急に角が大きくなりまして………」


コーティアの言う通りアルケーの机も大きくなっている。本当にあるのかと机の上を見上げる紺子と龍哉。備品も大きくなっていた。
さらに観察してみる。なるほど、確かに机に綿棒とオリーブオイルが置かれている。アルケーのへそもオリーブオイルで濡れていた。


紺子「……おい、思い出させんなって………ただでさえ私もカズミンにおへそいじられまくったってのに………//////」

龍哉「紺子お前顔赤いぞ?それより校長がへそ掃除とかどうとか言ってたけど、何があったんだ?」

紺子「実はな…………//////」





龍哉「……お前ん家でカズミンが校長のへそ掃除って、おい………」

紺子「私だって家に校長が来るなんて思ってなかったもん!私もカズミンにお腹とおへそいじられまくって、しかも出べそにされてさ!おかげで体が敏感になってたし、ずっとカズミンに出べそいじられたんだよ!?それに昨日なんか罰ゲームでパイぶつけられまくってさ!お腹とおへそはムズムズするわ、尻尾もクリームまみれにされるわ、挙げ句にはカズミンが出したでっかいパイに埋もれたんだからな!?//////」


今日も服のボタンを閉じず、丸出しになっているへそを両手で隠しながら言う。


アルケー(……思えば紺子さんもいつもおへそ出してますが、紺子さんってちゃんとおへそ掃除してるんでしょうか?)

龍哉「もういいもういい、わかった!想像しちゃうから!ムラムラしてくるから!」

紺子「想像しちゃうとかムラムラしてくるとかどういう意味だよそれ!!お前も私のおへそいじりたいのかよ!!やめてよ!!//////」

龍哉「そんなこと1ミリも思ってないんですけど!?」


顔を真っ赤にしながら叫ぶ紺子に詰め寄られる。紺子の目にはうっすらと涙が浮かんでいた。
すると校長室の外から何者かの悲鳴が聞こえてきた。子供がふざけながら奇声をあげているようにも聞こえる。


???「キエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!!」

紺・龍「「!?」」


だが紺子と龍哉、アルケーにとっては聞き覚えがある。


龍哉「伊佐先生!?」

野人「どういうことだこれはァァァァァ!!!!何でこいつもでかくなってるんだァァァアアアァアアァアアアアァァァァァァアアアアァァアアァアァアァ!!!!」


そう、悲鳴の正体は野人だった。


紺子「今理科室からだったよな!?何があったんだ!?すぐ行かねぇと!」

龍哉「あっ、おい待ってくれ!てか、校長あのまま!?」


恥ずかしい姿のアルケーを放置したまま校長室を飛び出し、理科室へ向かう紺子。彼女を追うように龍哉も理科室を飛び出した。
だが紺子は知らない。これから自分の身に降りかかる恐怖と悲劇を。さらに龍哉もそれを目撃するなど知る由もなかった………。


アルケー「うふふ、それではお2人さん、よい1日を♡」





紺・龍「「先生!」」

野人「ウワァァァァァァァァァァ!!出雲君、赤川君、助けてェェェェェェェェェェ!!」


理科室の戸を開けるなり、野人がすごい勢いで飛び出してきた。


龍哉「ゴバッ!?」


野人に衝突したのは龍哉だった。当然避けられるはずもなく吹き飛ばされ、壁に激突する。


紺子「龍哉ァァァァ!!ちょっと先生、龍哉に体当たりって何してんだよ!!」

野人「話してる暇はないィィィィ!!とにかく理科室にィィィィィィ!!」


尋常じゃない野人のこの慌てよう。手を引っ張られ、理科室へ引き込まれる。
壁に激突した龍哉も立ち上がると、急いで理科室へ入っていった。


野人「こ、これを!これを見るんだ!!」


これもコーティアの仕業だろうか、3人の目の前には巨大かつ得体の知れないものがあった。
得体の知れないものを見て紺子と龍哉は絶句。野人は恐怖で震えるしかなかった。


紺子「嘘………でしょ………」

龍哉「まさかとは思ってたけど………植物も巨大化してやがる………しかも食虫植物って………」

野人「食虫植物じゃない……学園長が作ったといわれる『性欲を高揚させる植物』だ……!いつもなら成人男性の身長と同じぐらいのサイズなのに………」

紺子「どこで知ったの、その情報……?」

野人「学園長がそう言ってた……」


蛇とヤツメウナギとウツボカズラを合体させたような姿をした怪植物。今にも襲いかかりそうな様子で3人を見下ろし、液体を垂らしていた。
恐怖と不安に駆られ、3人は少しずつ後ずさる。


龍哉「学園長、あんな化け物も作れたっていうのかよ………!?」

紺子「そいつ作った学園長今どこにいんの……!?」

野人「それが………その………さっきまでいたんだが、急に校舎から姿を消したんだ………」

紺子「え…じゃあ今いないのかよ……!?」


そうこうしているうちに時は刻一刻と進んでおり、もうすぐ朝のHRを始めるチャイムが鳴ろうとしていた。


野人「そんなことより君たち…もうすぐ朝のHR始まるぞ……早く教室に行った方がいいんじゃないのか……?」

龍哉「わ、わかりました……おい紺子………」

紺子「うん……わかってるよ……でも足が………足が動かな―――――」



バグンッ



紺子「!!?」

龍哉「紺子!?」

野人「出雲君!!」


予感は的中した。怪植物が恐ろしい勢いで紺子に襲いかかり、頭からかぶりついたのだ。


紺子「んぐっ~~~!?~~~~~~ッ!!」


宙に浮く紺子の足。この怪植物は龍哉と野人に興味がなかったのか、紺子を丸呑みにしようと考えていたようだ。
上半身を丸呑みされ、残った下半身が逃れようと必死に両足を動かして抵抗していた。


紺子「ぬ~~~~~!!んあ~~~~~!!」ジタバタ

龍哉「紺子!今助けるぞ!!」

野人「非力だが私も力を貸そう!」


紺子の足をつかみ、怪植物から引っ張り出そうとする野人と龍哉。
しかし中でスカートがめくれているのか、パンツが丸出しになってしまった。


野人「ゲェ!?なぜに我々は出雲君のパンツを見なきゃならないんだ!?」

龍哉「俺だって聞きたいぐらいっすよ!」


引っ張れば引っ張るほど怪植物の力は強くなり、紺子もどんどん怪植物に呑み込まれていく。
そうしてついに残ったのは足先だけになってしまった。それでも必死に抵抗する紺子。


紺子「〒¶£■§≒Ωゞ¢仝×Å~~~~!!」ジタバタ


しかし野人と龍哉には紺子を助けたい気持ちでいっぱいだった。2人は足先をつかむと、力を振り絞って紺子を引っ張った。


龍哉「頼む!紺子を丸呑みにしないでくれぇ…!」

野人「出雲君、戻ってこぉい…!」



スポンッ



やはり無駄だった。2人が手にしていたのは紺子のスニーカー。靴下を履いた紺子の抵抗する足先が目に止まる。


野人「あ……あああ………」

紺子「ん……………ん……………」ピクピク


とうとう紺子は抵抗する力を失い、怪植物に呑み込まれた。それと同時に朝のHRが始まるチャイムが鳴った。
野人は丸呑みされた紺子と彼女のスニーカーを呆然と見つめることしかできなかった。龍哉は紺子を救えなかったせいか、悔しさのあまり膝をつく。


龍哉「紺子…………うう……くっ………ち…チクショウ……チクショウ…………チクショォォォォォォォォォォォォォォオオオオオオッ!!!!」


怪植物は目的を達成して満足したのか、そのまま眠りについてしまった。 
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