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イベリス

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第十三話 学業もその十

「よくないわよ」
「飲むなら夜ね」
「日中は飲まないことよ」
「お昼も」
「そうしなさいね」
「やっぱりそうよね」
 咲も母のその言葉に頷いた。
「流石にね」
「日本だとね」
「それはよくないわね」
「そこはずっとよ」
「大人になっても」
「そうしないと駄目よ」
「わかったわ、朝寝朝酒朝風呂はね」
 この三つはというのだ。
「私もしないわ」
「朝風呂はシャワーがあるから」
「まあそれはなのね」
「今はそんなにだけれど」
 それでもというのだ。
「あとの二つはね」
「しないことね」
「夜勤ならいいけれど」
 こうした仕事ならというのだ。
「夜がお仕事でね」
「それが終わってよね」
「そう、休むから」
「そうだといいのね」
「夜勤だとお昼と夜が逆になるから」
 だからだというのだ。
「それはいいの」
「そうなのね」
「あんたも将来夜勤になったら」
 そうした仕事に就けばというのだ。
「いいわよ」
「そうなのね」
「そう、その時はね」
「いいのね」
「ええ、ただしお昼のお仕事そして今の学校だったら」
「お昼は働いてお勉強して夜寝るから」
「夜に飲みなさい」
「わかったわ」 
 咲も頷いて答えた。
「そうするわね」
「そうしてね。しかしね」
「しかし?」
「お父さんやっぱり転勤になるけれど」
「そのこと?」
「まあどうなるかはね」
 このことはというと。
「わからないけれどお母さんは何処でもいいってね」
「思ってるのね」
「お父さんやけに埼玉嫌がってるけれど」
「そんなに埼玉嫌かしら」
「お父さん的にはね」
「あれがわからないけれど」
 咲は今度は韮ともやしの炒めものを食べつつ話した。
「そんなに埼玉嫌なの」
「みたいね」
「地獄に行くんじゃないのに」
「だから東京と埼玉だとね」
「お隣でもなの」
「かなり差があるのよ」
「そうなの」
 咲は実感がない感じだった。
「神奈川や千葉と変わらないでしょ」
「お父さんの中では千葉よりもね」
「千葉も田舎なんじゃ」
 東京から見ればというのだ。
「むしろ埼玉よりもね」
「だから埼玉ってお父さんの中ではね」
 東京の隣であってもというのだ。
「もう特別ね」
「田舎なの」
「僻地なのよ」
「東京の隣で?」
「そうなのよ」
 そうなるというのだ。 
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