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魔法科高校の劣等生の魔法でISキャラ+etcをおちょくる話

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第二百六十三話

「トレイターよりカニンヒェンバウへ。トレイター、着陸します」

『トレイターへ。着陸を許可します。迎えの者を向かわせます』

ブリッジとシュヴァルツェアハーゼの駐屯地との通信が行われる。

トレイター側のオペレーターはクロエだ。

トレイターは光学迷彩を展開した状態で駐屯地近くの森の中へ着陸する。

伊号四〇〇型潜水艦がやや開けた場所に着底するが、地面が凹む様子はない。

両舷前後のハッチが開き、計四本の物理的なアンカーが地面に向かって射出され艦体を固定した。

乗員は束、円香、アルシャーヴィン姉妹、クロエのみだ。

シルヴヴァインのメンバーは全員西サハラに残留している。

無駄に刺激する事もないと戦闘員を連れてこなかったのだ。

まぁ、この面子でも大抵の基地は落せるのだが。

甲板のハッチから束以下の乗員が出てくる。

「束ちゃんここでサバゲ―したい」

と森を見渡したエレンが束に言った。

「んー。あとで黒兎に付き合ってもらいなよ」

「ん。わかった」

「フォックスハントですか?」

リムが言うと。

「狐はいないけどね」

と円香が返す。

クラインフィールドの階段を使うまでもなく、ロリsが甲板から飛び降りる。

「くーちゃんはダメだからねー」

束と手を引かれたクロエがフィールドの階段を一段一段降りていく。

しばらくしていると、基地の方角から二つの影が森を駆けてきた。

ラウラとクラリッサだ。

「ラウラ。ひさしぶりですね」

「久しぶりだな。クロエ」

銀髪からぴょこんと伸びたウサミミが少し動く。

「お迎えごくろーさん。二人とも」

「ところで、我々はカニンヒェンではなくハーゼなのですが?」

とクラリッサが一行に文句を言う。

ドイツ語でハーゼはノウサギ、カニンヒェンはイエウサギを示す。

「そう。それが疑問なんですよクラリッサ大尉」

とリムが返した。

「軍、つまり集団であるならばカニンヒェンを使うべきだと思うんです。
ハーゼだと命令違反、独断専行のような印象がありますが」

リムの疑問は最もで、基本的にノウサギは単体で、イエウサギは群れで生活する生物だ。

質問に答えたのはシュヴァルツェア・ハーゼ隊長のラウラだ。

「シュヴァルツェア・ハーゼは優秀な女性士官のかき集めだからハーゼなのだ」

「ああ、なるほど。設立経緯由来でしたか」

一行はラウラとクラリッサの案内で駐屯地へと向かう。

森を突っ切ったりとそれなりに険しい道であったが、ここに普通の人間などいないのでサクサクと進んでいった。

基地に入るとロリsはラウラに、束とクロエはクラリッサに案内されて別々の場所に向かう。

クラリッサに連れられた二人が向かったのは基地司令ゲオルグの執務室だ。

「司令。プロフェッサー・タバネとクロエちゃんをお連れしました」

「はいっていいよ」

緩い声で入室許可が出て部屋に入る。

「ようこそおいでくださいましたプロフェッサー」

「そりゃぁ義妹を預けるんだから自分から出向くさ」

「妹、ですか」

「不思議かい?ゲオルグ准将」

「いや。不思議ではないが」

「クロエ・クロニクル、ラウラ・ボーデヴィッヒは間違いなく私の妹だ。軍人として鍛えるのは構わないけど、もし不当に扱ったりしたらわかってるね准将?」

「言われるまでもないよ。ブリュンヒルデとレニユリオンの連名で釘を刺されて逆らうバカもいないよ」

ゲオルグがクロエに目を向ける。

「始めましてゲオルグ准将。クロエ・クロニクルと申します」

「始めましてクロエちゃん」

「わたしはここで何をすればいいでしょうか」

「ふむ?」

ゲオルグが束へ目を向ける。

「今日本の本拠地がスピリチュアルな問題でごたついててね。危ないから日本の拠点には居てほしくない、かといって身内しか居ない西サハラじゃ人との交流と言う点で劣る。
加えてここには境遇の近いらーちゃんがいるからね。
それでここを選んだんだ。
だからくーちゃんには何か役割を与えてやってほしい。くーちゃんには人とかかわりあう事が必要だ」

「なるほど。だがここもかなり狭いコミュニティだと思うよ?」

「最初はそれくらいでいいんだよ。それに休日はクラリスちゃんがらーちゃんと一緒に街に連れ出してくれるでしょ?」

「お任せくださいプロフェッサー」

クラリッサが束に敬礼をする。

「んー。この基地だと…兵士か..........メカニックか..........あぁ、食堂や売店で働くのはどうだろう?」

「くーちゃんはそれでいい?」

「はい」



















「というわけで私はこの基地の酒保で働くことになりました」

「酒保とはまた古風な言い回しですねクロエ」

ロリsとローレライ姉妹はロリsに与えられた部屋に来ていた。

ロリっ子五人に囲まれてクラリッサは満足気である。

「それはそうと、束お姉ちゃんは?」

「束ちゃんどこいったの?」

エレンと円香の疑問に対し、クロエとクラリッサは顔を見合わせる。

「プロフェッサーからは近くの牧場に行くとしか聞いてません。なんで牧場なんかに用があるのか全く分かりませんが。
あ、でも屠殺場がどうとか言ってましたね」

「あー…」

「んー」

アルシャーヴィン姉妹が何かを察したような反応をする。

「だいたい想像はつきますが..........。まぁ束お姉さんなら大丈夫でしょう」

「「「?」」」

リムのあまり心配してない言葉にラウラ、クロエ、クラリッサは疑問符を浮かべるのだった。





場所を移して基地近くの牧場。

先までの一人不思議の国のアリス衣装ではなく、ごくごく普通のスーツ姿。

髪色はパレードで金色に、顔つきはコーカソイドの女性に偽装している。

が、体型は一切変えていないのでスーツの胸元やレディースパンツがキツそうである。

それもそれで目立つのだがプロフェッサー・タバネの姿として有名な前者より遥かにマシである。

「うーん。やっぱウサミミないと落ち着かないなぁ」

『女王よ。感度の誤差が生じない範囲までしか知覚範囲は広げていないはずである』

「知ってるよイザナギ」

ISコア0001の指摘に応える。

束のカチューシャは高感度センサーを搭載したヘッドセットであり、それが無い今タバネの得られる情報は少なくなる。

『気になるのなら服装を戻した上でパレードを起動することを推奨する』

「いいよ。たまにはこういう服装も悪くない」

束は牧場の中を悠々と歩く。

それもそのはずで首には牧場見学用のカードを下げている。

案内は断り、向かった先は屠殺場。

「うんうん。大量大量」

屠殺用の建物を外から眺めながら、満足気に呟く束。

『実行の再考を進言する』

「大丈夫大丈夫」

そう言うと束はコアのCAD機能を発動し、喚起術式を起動した。

現れるのは、今まで殺されてきた家畜たちのゴーストだ。

「いい感じだねぇ。いっ君が吸血鬼化する前のちぇーちゃんくらいくらいかな」

束はそれらを想子のネットで包むと、締め上げ、圧縮し、無理やり一つにまとめた。

封玉をぶっつけでやってのける。

並みの術者に出来ることではない。

箒や、専門家連中も出来はしないだろう。

しかしそこは天災兎。

理など自分のものを押し通すことに迷いはない。

巨大な怨念の塊のようなものを、無理やり自分の体に押し込んだ。

当然、中で暴れる。

家畜、つまりは動物たちの野性的な本能が束の精神を攻撃する。

目を閉じ、自分の内側に意識を向ける。

「黙れ..........黙れ!」

その怨嗟を、強靭な精神でねじ伏せた。

たった数秒で決した勝敗。

「私に、全部寄こせ」

依代も術式もなしに霊を従え、肉体に憑依させる。

ミチミチと体の節々が音を発てる。

肉体の変異で最も顕著なのは頭部だろう。

額と側頭部に角がせりだす。

額からは牛の物らしき角が二本。

側頭部からは山羊の物らしきねじれた角が一対。

骨格から変わり、背丈も伸びた。

「ふぅ。変身完了かな?」

目を開け、意識を内から外に移す。

「さてさて。肝心のおっぱいは~」

束が自分の胸を見る。

「うん。まぁまぁかな。それにしたって服がきつい」

体が二回りほど大きくなり、元から大きかった胸も相応以上に大きくなっている。

「満足満足」

とここまで派手にやれば当然ながら淫紋を通じて一夏に察知される。

『ねぇ何してんの? 馬鹿なの? 死にたいの?』

量子通信で開幕一番に言われたのは罵倒だった。

「あ、いっ君? いまねぇ牧場のゴーストを憑依させたんだぁ。おっぱい大きくなったよ。母乳も多分増えたと思う」

『うん。知ってる。で、弁明は?』

「え? ないけど」

『はあ、今度会ったらお仕置きだから』

「はーい。期待してるよー」














翌年三月。帰国後。

そんなに搾って欲しけりゃそうしてやると地下の人間牧場に丸一日ぶち込まれたのだがここでは語るまい。
 
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