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それから 本町絢と水島基は  結末

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8-⑸

 12月初め、絢と会っていた。

「23日、空いている? 23日から、帰りたいねん。モトシのお誕生日やし、どこかでXmasしよ」

「23は特講があるんや それに、今年は、幸一郎君の勉強も見てやりたいから、帰らんとこ思ってるんよ」

「えー 帰らへんのー そんなん、ウチ、いやや どうしたら、ええのん」

「絢は 別にー 帰ればええやん お父さんなんか楽しみにしてるんやろー」

「でもなー 茜も京都行くって言ってるしなー あー ウチんとこ泊ることにして欲しいって」

「あっ そうか まだ、付き合っているんか?」

「うん あれから、2.3回来てはるんやで・・小野原さん 最低、月に一度は会うことを約束させたんやって うまく、いっているみたい」

「そうか 綺麗になっていたもんな びっくりしたよ」

「そうよね ウチもな 化け方聞いとくわ なぁ 23は午前中やろー ウチな一緒にな・・」

 絢は、下を向いて、しばらく黙っていたが

「一緒にXmasしたいねん 泊って・・・・モトシも、20才やん それで・・ウチな・・」

「ありがとう 絢 じゃぁ その日はいっしよに行くよ」

「あのなー このままやったら 心配やねん 川崎葵さんとか、1年の子も モトシを見ている眼が気になるねん 取られたら、いやや だから、ウチ 覚悟したんや でもね したからって、責任感じんとってな ウチの勝手やから」

「絢 そんな心配するなよ」

 - - - - - - - ☆ ☆ ☆ - - - - - - -
 僕達は、瀬戸内海を一望できる高台のホテル来ていた。もう、夕陽になりかけていた。チェックインの際、僕は、少し迷ったが、水島基、絢と書いた。それを見ていた絢は、ルームキーを受け取ると、腕を組んできた。

 部屋に入ると、見事なくらい夕焼けに染まった海が見えて、船も行き来しているのが見える。大きめのベッドが並んでいた。だけど、絢は海を見て、はしゃいでいた。僕は、後ろから、絢を抱きしめて、唇を寄せていった。そのまま、ベッドに押し倒したんだけど

「あーん 待って もうすぐ夕食やん ウチ 着替えるねん」と、チュッとして、バスルームに向かった。

 出てきた絢を見て、びっくりした。少し濃いめの化粧だったが、目元がはっきりしていて、まつげも濃く、唇もピンクに近い赤でツヤツヤしている。赤い大きめのイアリングを付けていた。袖のないサーモンピンク系のフレァなワンピースに薄い白のボレロを羽織っている。綺麗だ。今まで、見る絢の中では一番綺麗だと思った。僕は、白いポロシャツだ。つり合い取れないような気がしていた。

 夕食は、洋食を選んでいたが、飲み物を聞かれた時、絢は

「モトシ お誕生日のお祝いだから、シャンパンにしましょうよ」と言ったが、僕は飲みなれないし、ビールにしようと反対した。

 食べている時でも、周りの人がチラチラと絢のほうを見ているのを感じる。それだけ、華やいでいるように見えるんだろう。時々、絢が料理においしいーと声を上げていたので、よけいだ。デザートの時、小山になったアイスクリームに花火が刺さっていて、お店の人が「ハッピーバースデイ ホテルからのプレゼントです」と言って、置いてくれた。レストランを出る時、絢はわざわざ給仕の人のところに行って、「おいしかったです。ありがとうございました いい記念になりそう」と、お礼を言って微笑んでいた。そういう風に、躾けられているんだろう。

 部屋に帰って、僕達は、窓際のソファーで夜の海を眺めていた。遠くにチラホラと灯りが見え、船が通る時もある。絢は、首を預けてきていた。しばらくして、僕は

「お風呂 いこうか 大浴場」

「ウチはお部屋で入る モトシ行ってきて」

「なんで 一緒にいこうよ せっかくなのに」

「いいの! どっちみち、いっしよに入られへんやん」

 僕が出ようとした時、絢が抱き着いてきて、キスをしてきた

「絢 きれいだよ」

「モトシ 大好き あとでね」

 月明かりの、静かな海を見渡せた風呂から、帰って来ると、部屋ん中はうす暗く、ベッドのフットライトの灯りだけだった。

「絢 居るのか?」

 すると、ソファの陰から立って現れた。月明かりを背に下着だけの絢だった。近寄ると、胸元も裾も大きなレースをあしらった長めのキャミソール姿だ。髪の毛も結んでいなかった。

「えへっ 可愛いでしょ コレ 気に入ってもらえた? ウチが お誕生日のプレゼント」

「うん とっても 可愛い」と抱きしめて、こんなに肩が薄かっただろうか、

 ベッドに連れて行って、明るくした

「嫌だ そんな明るいの」

「いいんだよ じっくり見たいんだ 絢の全部」いつもの柑橘系の香りがする。あの小さな蝶のネックレスが光っていた。

 僕達は、そのまま愛し合った。今までの想いを全部、ぶつけあった。絢も、ひたすら、こらえながらも、応えてくれていた。

 抱き合ったまま、朝を迎えていたけど、目を覚ますと、絢は僕を見つめていて、キスをしてきた

「ねぇ もう一度・・痛いの我慢できるし・・」と、抱き着いてきた。

「他の子と しちゃぁ嫌よ ウチ いつでも モトシのもんになるから」

 僕達は、駅で、別れを惜しみながら、分かれた。別々に、新しい年を迎えることになる。








 
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