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イベリス

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第十一話 アルバイト初日その四

「そうだったわ」
「それで続けられそう?」
 母は娘にこのことを確認した。
「アルバイトは」
「いけそうよ」 
 娘は一言で即答した。
「今日の感じだと」
「そう、だったらね」
「続けることね」
「部活もそうよね」
「ええ、そちらもね」
 こちらのことも即答だった。
「これはね」
「だったらね」
「両方なのね」
「続けて」
 そうしてというのだ。
「それでね」
「お金稼いで」
「楽しめばいいわ、人生はまずね」
「楽しむべきなのね」
「そう、だからね」
 それでというのだ。
「あんたもよ」
「楽しんでなのね」
「成長していってね」
「部活でもアルバイトでも」
「そしてクラスの授業でも友達とのお付き合いでもね」
 そうしたもの全てでというのだ。
「成長していってね」
「そうしていけばいいのね」
「そうしていってね」
「東京は色々ある場所だしな」
 父は茸の味噌汁を飲みながら言ってきた。
「そうした場所にも行ってな」
「経験をして」
「成長していくんだぞ」
「楽しみながら」
「そうしていくんだ」
 こう娘に言うのだった。
「いいな」
「そうしていくわね」
「東京はいいからな。あと父さんどうもな」
 父はこんなことも言った。
「急で季節じゃないが転勤するかも知れないな」
「四月なのに?三月の終わりでしょ」
「普通転勤はな」
「それでもなの」
「五月辺りにな。今度は何処か」
「東京よね」 
 咲は冷静に返した。
「そうよね」
「まあ多分な、東京かな」
 若しくはとだ、父は娘に返した。
「神奈川か。千葉でも千葉市だろうな」
「都会ね」
「父さんはそうしたところに詳しいし取引先も多いからな」
「だからなのね」
「転勤するにしてもな」
「そうしたところね」
「多分な、流石に栃木や群馬や茨城はな」
 そうしたところはというと。
「ないみたいだな」
「そうなのね」
「そちらはそちらのエリアの人達がいるからな」 
 だからだというのだ。
「同じ関東でもな」
「同じ会社でもなの」
「ああ、基本それぞれの都道府県で別れていて」
 そしてというのだ。
「総合職や管理職の上だとな」
「他の都道府県に行くこともあるのね」
「ああ、ただそれでも関東は東京と神奈川、千葉にお店とか多いしな」
「基本そうしたところで」
「群馬とかはないな」
「そうなのね。ただね」
 ここまで父の話を聞いてだった、咲は。 
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