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ホームレスの勇気

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第一章

                ホームレスの勇気
 ジョージア州アトランタの動物保護施設で火事が起こった、それでセンターの創設者であるグレイシー=ハムリーブロンドに白いものが混ざって来ていて顔にも皺がある鳶色の目の彼女はすぐに消防員達を呼んだが。
 彼等が到着するよりも前にだった。
 中年の大柄だが汚れた服と顔、無精髭を生やし黒い髪の毛も乱れたグレーの目の男が何と火事現場に飛び込んでいった。
 スタッフ達はその彼を見て驚いて言った。
「あの人は確か」
「キース=ウォーカーさんじゃないか」
「そうだ、ホームレスの」
「白と茶色のピットブルを預けていたな」
「名前はブラボーだったな」
「その子を預けていたな」
「そういえば今日引き取りに来ていた」
 一緒にいる愛犬のブラボーをというのだ。
「その予定だった」
「暫く怪我の治療で預かっていたけれど」
「その時だった」
「それで引き取りに来られていて」
「丁度ここに鉢合わせしたんだな」
 火事にというのだ。
「それで来られたか」
「それはわかったけれど」
「耐熱服着ないで火事場に飛び込むなんて」
「何て無茶なことを」
「あの、ウォーカーさん」
 ハムリーもウォーカーに言った。
「貴方は消防署の方でないので」
「そんな問題か」
 ウォーカーは火事場の中からハムリーに返した、言いつつだった。
 その中にる猫や犬達を次々に外に出していた、火の粉が降りかかるがそんなものは全く気にしていなかった。
「消防署の人達を待っていたらこの子達はどうなるか」
「ですが」
「いいんだ、このままだとこの子達もブラボーも危ないからな」
 こう言ってだった。
 ウォーカーは彼の愛犬だけでなく火事場にいた六匹の猫と愛犬を含めた十匹の犬全てを火事場から救出した、多少火傷をしていたが。
 彼も無事だった、ハムリーは火傷の手当てを受けて退院しブラボーを引き取ったウォーカーに対して言った。
「施設は引っ越し予定でして丁度引っ越し先も建ったところで」
「皆そこに入ったんだな」
「そうなりました」
「それはよかった、なあブラボー」
「ワンッ」
 ウォーカーはハムリーの言葉を聞いて笑顔になり愛犬に声をかけると彼も嬉しそうに鳴いて応えた。 
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