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DQ3 そして現実へ…~もう一人の転生者(別視点)

作者:あちゃ
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ミニゲームは倉庫番

流石は元海賊です。
操船に関しては文句の付けようが無いです。
お陰でウルフちゃんとシッポリ魔法の勉強が出来ました。
次、戦闘になっても私とウルフちゃんの連携で、敵なんぞは瞬殺ですよ!




さてさて、私とウルフちゃんの進展度は置いといて、高貴なる国エジンベアに到着です。
国中至る所にセレブ感漂うこの国を、王族であるはずの私が居たたまれない気分で城を目指す…
前世の貧乏性が染みついてるのか?
7年お姫様をやっても、過去の汚れは落ちないのか?
何かが私の肌に合わない国…
私だけではない!
アルル様を始め、カンダタも当然居心地が悪そうだ。

「な、なぁ…俺達…浮いてないか?」
「はぁ?ちゃんと地面を歩いてるよ。浮かび上がってないよ」
何故お父様は堂々としていられるのだ!?
「そう言う事じゃねぇーよ!場違いじゃねぇかって言ってるんだよ!」
「?」

これが国王としての威厳なのか?
今まで感じた事無かったけど、やっぱりお父様は王様なのか?
いいや、そんな事があるはず無い!
奴隷まで経験した事のある男だぞ!
このハイソな雰囲気に平気なわけない!
ただのバカなんだ…きっとそうに違いない!

「…さっき思い出したんだけどよぉ…以前、俺の知り合いの商人が此処に行商に訪れたんだが…『田舎者は帰れ』って言われ、城に入れなかったみたいなんだ…」
「変な国!グランバニアじゃ誰でも入れるのにね!?」
そう!
グランバニアは平民色の強い国…
それは国王が王様らしくなく、身分の壁を感じさせないからだ!
「…それはそれで拙いでしょ!」
いいや、拙くない!
だって私、この国居心地悪いもの…



「止まれ!此処は由緒正しきエジンベア城!貴様等の様な田舎者が入って良い場所ではない!立ち去れ!!」
エジンベア城の城門に辿り着くと、いけ好かない門兵が高圧的な態度で私達を拒絶する。
マジぶっ殺したいんですけど、コイツ!

「い、田舎者………?」
お!?クソ門兵の言葉に反応したのはお母様…
先程までお父様とイチャイチャしていたのに、門兵の『田舎者』の言葉に表情を変えて行く…
「あ!拙いなぁ…」
そしてお母様の変化にいち早く気付いたのがお父様。
私の知らないお母様を、お父様は知っている様で何やら脅えている見たい…

「田舎者って私の事言ってるの!?」
どうやら『田舎者』はNGワードらしい…
「まぁまぁ!落ち着いてビアンカ……君の事じゃないよ!こんな絶世の美女を見て田舎者なんて言うヤツ居ないよ!……ね!?」
お父様は懸命にお母様を宥めようとしているが、お母様の怒りは頂点の様で両手に淡い炎を灯し、今にも辺りを焼き尽くしそうだ!

お母様の怒気を孕んだ魔法力が凄すぎて、周囲の温度が急激に上昇しているのに、先程まで横柄だった門兵は、真っ青な顔になりガクブル震えている。
「ビアンカ…ビアンカ!…落ち着こうよ…こんな所で彼を消し飛ばしても、何の解決にもならない!むしろ問題が増えるだけだ!だから落ち着いて!」
何時もと景色が違う…
アホな事を言うお父様を、お母様やみんなが正論で止めるのが我が家の日常なのに…

「ま、間違えちゃったぁ~!ぼ、僕…寝不足で寝てたみたい!…何か変な寝言、言っちゃいましたか?ご、ごめんねぇ~………あ、あは…あはは…あははははは……………」
その言い訳はムリがあるだろ!
ビビッてるのは分かるけど…
「そ、そうだよね!寝言だよね!大変な仕事だもんね…寝ちゃうよそりゃ…」
確かにキレたお母様は怖いし、下手に刺激しない方が得策ね。
幸い門兵も通してくれるみたいだし…





もの凄く重い雰囲気の中、私達は城内を歩いてる…
入口から離れ、誰も居ない場所へ来た途端、お父様が蹲り唸りだした!
「……くっ……うぅぅぅ………」
何だ!?淋病が何かか!?

「リュカさん、どうしました!!」
アルル様が心配になり声をかける………が、
「くっくっくっ………あはははははははは!!」
気が触れた様に笑い出すお父様…

「ふふふ………あはははは!」
そしてお母様までもが笑い出す…
………やられた!!
お父様はともかく、お母様までもがこの様な事をするなんて…
「この夫婦…最悪だ…」
お兄様がポツリと呟く…
嫌な夫婦だ。


暫く笑っていたお父様も落ち着き、一応事の次第を問いただす。
「お父様…お母様……先程のご立腹は、お芝居ですの?」
「うん。だってカンダタがさ、『田舎者は城に入れない』って言ったじゃん。しかも『俺達見た目が田舎者』とも言ったじゃん。門前払いを喰らう可能性があったからさ、ビアンカと相談したんだ!」
お父様はお母様を抱き寄せ、イチャつきながら悪びれる事もなく話す。
「そうなの!リュカがね、『田舎者』って言われたら、両手にメラを灯して怒って見せようって………どうだった、私の演技は?」
わぁ~…お母様もお茶目さんだったのね…
あの門兵…PTSDになってるんじゃないの?
「「酷い…」」
どうやらウルフ様も同じ様な事を考えてたみたい…
気が合うじゃない!



さて、気を取り直し探索を再開する。
私は皆さんを引き連れる様に、勝手に地下へと歩みを進める。
そこは、それ程広くない通路に大岩が3個…
少し奥の床には、かなりの重量がなければ反応しないスイッチが3つ…
ミニゲームの倉庫番だ!
「何だ此処は?」
おや?お父様はドラクエ3をやった事ないのかしら?
転生者なのに…いやいや、あり得ないわ。
アホすぎて忘れてるだけよ!

「お父様、きっとパズルですわよ!3個の岩に、3つのスイッチ!この岩の重みでスイッチを押すんですわ、きっと!」
私は皆を誘導すべく、この仕掛けの謎を解いてみせる。
勿論、前世の知識をフル活用!

「何そのめんどくせー仕掛け!?何処の馬鹿だよ、こんなの造ったヤツは!」
エニッ○スに言って下さい。
「そ、そうは言いますが…結構大変ですよ…この岩、重いですから!」
お兄様は一生懸命岩を押そうと努力する。
見かねてアルル様やカンダタも協力してますわ。
闇雲に押すんじゃないわよ!
順序が有るんだからね!

「…やれやれ………めんどくせーなぁ…」
相変わらず文句を言うお父様…
しかし今回は口だけでなく、身体も動かし協力してくれる…
手近な岩を両手で挟み、端から見ると軽々持ち上げ岩を運ぶ!

「「「え!?」」」
「何で異世界まで来て、奴隷時代を思い出さなければならないんだ!?」
お父様の掴んだ岩だけ、発泡スチロール製かと思う様な足取りで岩を運び、指定のスイッチの上へと下ろしてしまう。
私達は唖然と眺めるしか出来ない…
一人で全部運んでしまい、折角のミニゲームを台無しにする男…

「だからムカつくんだよ、あの人!こんだけ凄い人なのに、普段は何もしない…」
あの人本当に世界最強?
お兄様の囁きを聞き、自分の父に恐怖を感じる…



 
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