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星河の覇皇

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第七十八部第一章 二度目の会戦を観てその三十八

「そしてドイツはです」
「その欧州の盟主になる」
「そうなるつもりでしたね」
「欧州の多くの部分を領土として国にする」
「そうするつもりでしたね」
「ヒトラーはオーストリア出身でしたがドイツを愛していました」
 ここが奇妙だと指摘する者もいる、同じ民族であっても何故祖国でなく他国であるドイツをあそこまで愛したのかとだ。
「そのドイツをです」
「欧州の覇者にしたかった」
「それがヒトラーの望みでしたね」
「自らが欧州の独裁者になる以上に」
「ドイツを欧州の盟主にしたかったのですね」
「彼が母なる国と呼んだ国を」
 このことも奇妙だと言われている、普通ドイツはこの時代でもそうだが市民に父なる国と呼ばれるからだ。そこを母なる国と呼んだのは奇妙だというのだ。
「そうしたかったのです」
「そうでしたね」
「ヒトラーの野心はそこにありました」
「ドイツを欧州の盟主国にしたかった」
「それが彼の望みでしたね」
「彼は個人的な欲は少なかったです」
 このことは彼を悪とみなす連合でも知られていることだ。
「菜食主義者で酒も煙草も嗜まず服や生活品も極めて質素でした」
「女性にも清潔でしたね」
「蓄財にも興味はなく」
「趣味は読書と音楽鑑賞で」
「他には特になかったですね」
「大きな建築は好みましたが」
 このことはよく知られている。
「しかしそれはドイツの為のもので」
「自分の為ではなかったですね」
「愛するドイツに相応しい建築物を置きたい」
「そうした想いによるもので」
「その建築も自分の為ではなかったですね」
「自分のことはよかったです」
「はい、彼は自身の欲は非常に少なかったです」
 このことは確かだというのだ。
「権力は求めていても」
「それよりも遥かにでしたね」
「野心はドイツに向けられていた」
「ドイツを欧州の覇者にしたい」
「盟主にしたかったですね」
「そうした人物でした、巨大な野心はです」
 人類の歴史でも屈指と言われるそれはだ。
「実はです」
「自分には向けていない」
「そうした野心であった」
「そしてあの主席殿もですね」
「その野心は」
「マウリアそしてアウトカースト層にです」
 そちらにこそというのだ。
「あります、そしてです」
「アウトカースト層の為に働く」
「その為に謀略も使い」
「我々からも盗むのですね」
「利用もするでしょう」
 ただ技術を盗むだけでなくだ。
「エウロパを対立させ、そしてそれ以外のことでも」
「利用しようとしますか」
「マウリアそしてその中のアウトカースト層の為に」
「そうしてきますか」
「そうでしょう、今外務省が禅譲の情報を伝えてきますが」
 ここで古代中国にある言葉が出た。 
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