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イベリス

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第十話 アルバイトその二

「悪人はいるものでして」
「犯罪者もいて」
「悪いことをする人もいるので」
「用心の為にです」
「警棒とかもですね」
「持っていて心配はありません」
「だからですね」
「岡三が用意してくれたなら」
 それならというのだ。
「是非いつもです」
「持っていることですね」
「はい」
 こう咲に言った。
「宜しくお願いします」
「はい」
 咲もはっきりとした声で答えた。
「そうさせてもらいます」
「そうしてくれると私も嬉しいです」
「速水さんもですか」
「雇う人がいつも元気で安全なら」
 それならというのだ。
「それに越したことはないですから」
「だからですか」
「はい」
 まさにというのだ。
「私もです」
「私が安全ならですか」
「いいので。私も出来る限りのことはしますが」
 咲の安全の為にというのだ。
「ご自身だけでという時もありますね」
「どうしても」
「そうした時もありますので」
 だからだというのだ。
「くれぐれもです」
「自分の身は自分で守る」
「このこともしておいて下さい」
「わかりました」
「それと危ない場所には最初からです」
「行かないことですね」
「そうです、日本は確かにそうした場所は少ないですが」
 それでもというのだ。
「最初からです」
「そうした場所にはですね」
「行かず」
 そうしてというのだ。
「近寄らないことです」
「ええと、君子危うきに」
「近寄らずです」
 そうなるというのだ。
「ですから」
「だからですね」
「はい、ですから」
 それでというのだ。
「そこはです」
「くれぐれもですね」
「お願いします」
「わかりました、そうします」 
 咲はまた速水に答えた。
「そうしたことも踏まえて」
「働いて下さい」
「そうさせてもらいます」
 咲もこう答えた、そうしてだった。
 咲はその連絡を受けてから家で両親に夕食の時に話した、すると両親は二人共娘に笑顔でこう言った。
「そうか、じゃあな」
「明日から頑張りなさいよ」
「そうして働いてな」
「お仕事がどんなのか知りなさい」
「そうね、お仕事なんてね」
 それこそとだ、咲も言った。
「学校の見学や体験ではあったけれど」
「それでもだろ」
「実際にお金貰ってはないでしょ」
「ええ、それはね」
 実際にというのだ。 
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