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忘れられた猫だった

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第一章

                忘れられた猫だった
 アメリカペンシルバニア州のある民家にだった。
 ポール=ラッセルは妻のジルと共に入っていた、二人共ブロンドの髪でポールの目は灰色で妻の目は紫だ。二人共彫のある顔をしていて夫の背は一七七程で妻は一六九位だ。二人共動きやすい服装をしている。
 家の中に入ってだ、妻は夫にすぐに言った。
「酷いわね」
「うん、あの人やっぱりね」
「アルツハイマーだから」
「何年もそうでね」
「それでよね」
「もうどうしようもなくなったから」
 夫は妻に家の中を一緒に進みながら話した、家の中はゴミだらけで足の踏み場にも困る位であった。埃もかなり酷い。
「一人暮らしだし」
「これから老人ホームに入るから」
「それでよね」
「家の処分と」
「ここにいる猫をね」
「引き取って欲しいっていうから」
 それでというのだ。
「ここに来たけれど」
「処分は中を。大掃除して」
「奇麗にしてから売りに出そう」
「家具はそのままで」
「そうしてね」
 夫は家具をそのままにするのはアメリカでは結構あることなのでよしとした。
「売りに出そう」
「わかったわ、ただ何か」
 妻はゴミだらけの廊下の中を歩きながら話した。
「あの人猫は二匹とか言う時ない?」
「猫がだね」
「飼っているのは一匹よね」
「その筈だよ、けれど」 
 夫も言った。
「二匹いたとかね」
「言う時あるわね」
「どういうことかな」
「気になるわね」
「うん、まずは猫を見付けて」
「十七年一緒にいるっていう子と」
「シャム猫の雄で名前はサム」
 猫の名前も確認した。
「その子で」
「その子を見付けて」
「保護して」
「後はお家の中を見て回って」
「大掃除の時どうするか」
「その下見の為にも」
 夫に応えた。
「見ていくのね」
「そうしていこう」
 こう話してだった。
 二人で家の中にいるという猫を探し回った、すると。
「ニャア」
「いたな」
「ええ、この子ね」
 洗面所でシャム猫を見付けた、見ればかなり年老いた感じで老人が言っていた猫だとわかった。それでだった。 
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