置き去りにされても幸せは

　カイラは子猫達にも問うた、まずは四匹の雄のトラ猫達にだった。
「デイビー、トミーボーイ、ウィリー、ボダンズもいいわね」
「ミャア」
「ナ～～オ」
「ウニャ～～～」
「ニャ～～～ン」
　四匹共応えた、そして。
　今度は二匹の雌の白猫達にも声をかけた。
「スモールとスノーはどうかしら」
「ウニャン」
「ニャンニャン」
　二匹もまんざらではなかった、そしてだった。
　七匹はカイラの家に入った、そのうえで彼女の家族と幸せな生活に入った。置き去りにされたナコマは今度は幸せな家に入ることことが出来た。
　ナコマと楽しく暮らすカイラはボランティアの中で。
　白いマリモの様な毛で顔と尻尾が茶色の八割れになっている猫と会った、その猫はデビー＝スミスという人の家の猫だった。
　デビーはアフロヘアのアフリカ系の太った中年女性だ、その彼女が自宅に来たカイラに対して笑顔で話した。
「ナコマと一緒なの」
「私の家の娘と」
「この子、バレンチノは雄だけれど」
　それでもとだ、バレンチノを撫でながら話した。
「前の飼い主が引っ越す時にね」
「置き去りにされたのね」
「それでずっと彷徨っていて」
　一匹でそうしていてというのだ。
「そこでね」
「保護されたのね」
「私の職場のお友達にね」
「それで助かったのね」
「ただ。彼女のお家ご主人が猫アレルギーで」
　それでというのだ。
「暫く車庫で飼っていたけれど」
「やっぱり車庫で飼うとね」
「何かと限界があるから。私がこの子のことを聞いて」
「引き取ったのね」
「そうなの。引っ越してもね」
「生きものも一緒じゃないとね」
「置き去りにするなんて最低よ」
　デビーは厳しい顔になって言った。
「そう思うわ、もうナコマやバレンチノみたいな子はね」
「絶対に出したらいけないわ」
「自分が置き去りにされたらどう思うか」
「すぐにわかることよ」
「だからね」
「そんなことが二度とないことにしないといけないわ」
　カイラも言った、そして。
　バレンチノにだ、優しい声をかけた。
「助かったよかったわね、これからはずっと幸せよ」
「ニャア」
　バレンチノは一声鳴いて応えた、二人はそんな彼を見て置き去りを許してはならないと思いながら彼やナコマ達とこれからもずっと一緒にいようと決意したのだった。


置き去りにされても幸せは　　　完


　　　　　　　　　　　　　　　　　　２０２１・６・１７