| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

動物の労働者

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
次ページ > 目次
 

第三章

「ですから」
「それで、ですか」
「彼のことでもクレームがつきまして」
 それでというのだ。
「それでどうしようかとなりまして」
「弁護士なら文句はないだろうとなったんですか」
「弁護士の事務所ですから」
 それだけにというのだ。
「それで、です」
「それはいいですね、猫でも弁護士なら」
「文句は言わないですね」
「文句をつける人も」
 所謂クレーマーもというのだ。
「それで、です」
「弁護士として採用しまして」
「この事務所にですか」
「いてもらっています、そうしますと」
 猫を弁護士にすると、というのだ。
「猫の弁護士が所属している事務所として」
「それで、ですか」
「クレームは収まり」
 そしてというのだ。
「逆に評判になりまして」
「それでは」
「人気が出ています」
「それは何よりですね。生きものがいますと」
 それならとだ、キッシンジャーは笑って話した。
「それだけで雰囲気が変わります」
「和みますね」
「仕事もリラックスして出来ます」
 こうした効果もあるというのだ。
「いいこと尽しです」
「全くですね」
「それでこの事務所も」
「今では皆楽しく仕事をしています」
 こうキッシンジャーに話した。
「お陰で」
「そうですね、生きものがいますと」
「本当に違いますね」
「実は私も事務所に熱帯魚を飼っています」
 キッシンジャーは自分のことも話した。
「やはり一緒にいますと」
「それだけで和みますね」
「励まされもします、ではこれからも」
「貴方もですね」
「生きものと一緒にいます」
「それでは」
「お互い生きものと一緒に働いていきましょう」
 笑顔で言ってブラジルでも仕事をした、そして自分の事務所に帰ると水槽の中の熱帯魚達に挨拶をした。電気設備や水草や石までセットされた大きな水槽の下の方に社員名簿があった。彼はそれも見て笑顔になった。


動物の労働者   完


                 2021・6・16 
次ページ > 目次
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧