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鶏の盲導犬

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第三章

「本当に」
「だからな」
「タージともペリとも」
「すぐにな」
 きっと、というのだ。
「仲良くな」
「なってくれるわね」
「ああ、絶対にな」 
 こう話してだった。
 二匹をタージそしてペリと合わせると。
「ワンワン」
「ワン」
「ワンッ」 
 まずはタージと仲良くなった、そして。
 ペリにも近寄って身体を摺り寄せてだった。
 傍に寄り添った、それがはじまりで。
 白いピットブルのホーソンはペリと一緒に寝て自分の身体を彼女の枕にしたりもした。そうしてだった。
 グレイシーはペリと二羽で遊んだりおもちゃを持って来たりした、タージは相変わらず盲導犬であり。
 三匹でペリの面倒を見て優しい目を向けていた、するとペリも。
「ココッ」
「ワン」
「ワンワン」
「ワオンッ」
 三匹に完全に心を許しいつも彼等に嬉しそうな鳴き声を向けた。そうして幸せに過ごしていて。
 飼い主達にも懐いていた、夫婦はそんなぺりを見て笑顔で話した。
「よかったな」
「そうね」
 妻は夫の言葉に頷いた。
「いい子達が来てくれて」
「お陰でペリも幸せだよ」
「まずタージがいてくれて」
「そしてグレイシーとホーソンが来てくれて」
「そうしてな」 
 そのうえでというのだ。
「いつも一緒にいてな」
「そうして面倒を見てくれて」 
 愛情を以てというのだ。
「ペリはね」
「いつも幸せだ」
「そうね、目は見えなくなったけれど」  
 それでもというのだ。
「心は温かいわね」
「そうだな、じゃあこれからもペリの心が温かくてな」
「幸せにいられる様にしていきましょう」
「そうしていこう、皆家族だからな」
「家族が幸せでないと駄目だしね」
「そうなる様にしていこう」
「ペリの為にもタージ達の為にもね」
 夫婦で自分達の義務を確認もした、そしてだった。
 一家で仲良く労わり合う様に努力しながら暮らしていった、ペリはそんな家族の中で幸せに暮らした。光を失った彼女は幸せは失っていなかった。


鶏の盲導犬   完


               2021・6・16 
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