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DQ3 そして現実へ…~もう一人の転生者(別視点)

作者:あちゃ
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砂の都の未来は明るい

「ちょっとリュカ!どうすんのよ!?」
何がよ!?何がどうして、どうなってんの?
私も仲間に入れてよ!
「ちょっと!リュカに馴れ馴れしいですけど、貴女は誰です!?」
女王様、嫉妬の炎メラメラって…けど今それどころじゃないでしょ!
話が見えてこないでしょ!

「あ~…どうしよう……何から説明すれば混乱が少ないだろうか…」
「女王様…色々込み入ったお話がございます故、後程で構いませんからお時間を頂けませんでしょうか?」
「…貴方は?」
「は、私の事も後ほど説明させて頂きます。今は勇者アルル一行の一員とご理解下さい」
うぉぉう!お兄様が珍しくしっかりしてる…
つまりは、慌てふためく事では無いのかしら?
「………分かりました…では別室で待っていて下さい…」
全く持って、何が起きているのか判らないのだけども、私達は別室へと案内される…
お母様が不機嫌気味なので、近寄らない様にしましょ…



此処は別室…
世界の終わりかと思うほどの重い空気…
苛ついているお母様が、指でテーブルを叩く音だけが響いてる。
皆がお父様だけを注視してるのですが、状況を聞く事も出来ないでいる。
私はこのチャンスを利用すべく、ウルフ様に寄り添い事態の行く末を観察しますわ。
マヂ、可愛いわぁ~!

(ガチャ!)
「大変お待たせしました!随分と込み入った話と言う事ですが…どうしました?皆さん暗いですね?」
女王様登場!
さてさて、一体何事なのか…私に分かる様に説明してほしいわね。
「お時間を戴きありがとうございます。まず最初に自己紹介をさせて頂きます…私はティミー。リュカとは血の繋がった息子でございます」
「まぁ!?随分と大きな息子さんが居るのね!?」
「で、でしょぉ…凄いイケメンだし、レイチェルの彼氏にどう?」
普通、息子に自分の中古を押し付ける?

「うふふふ…私は息子さんよりも、お父さんの方に気があるんですよ♡」
流石女王様…お母様ほどでは無いにしろ、美しく妖艶ですわね。
「じょ、女王様…続いてご紹介しますは、私の妹のマリーです。…そして此方が、私と妹の実母であるビアンカでございます」
お兄様が私をウルフ様から離し、女王様へと紹介する…
「…あら…私とは結婚できない事を、改めて分からせに来たのですか!?」
女王様は敵意向きだし!
「いや…今日来た理由は違うんだ!…アルル!ほら、お願いしなよ!!」
お父様がアルル様に話を押し付けたわ。
流石卑怯ねぇ…



「…なるほど…分かりました。アルルの為、私に出来る限りの事は致しましょう」
「いやぁ~、ヨカッタネ!無事カイケツダネ!!じゃぁ帰ろうかぁ!」
おいコラ!解決じゃねぇ~だろ!
あの意味不明なやり取りを、説明しろよ!
「まだでしょ!座んなさい!」
「そうよリュカ!先程は妙なやり取りをしてたでしょ!?それの説明を!」
正妻と愛人に挟まれ、困惑気なお父様…
自業自得って言葉を贈らせて頂きますわ!
「いやぁ…別に大したことではないから…説明する事も…」
「リュカ!女王様は知る権利があるのよ!」
お母様の厳しい口調…
観念したお父様は、大きく息を吐き話し始める。

「レイチェル…お願いだから落ち着いて聞いて欲しい」
女王様はお父様に見つめられながら、顔を赤らめ真剣に話を聞いている。
「…僕には特殊な特技があるんだ。…それはね…妊娠してる女性に触れると、その人の中にある新たなる生命の暖かみを感じる事が出来るんだ!」
…………………………
あぁ!そう言う事ね!!
連勝街道爆進中って事…あの種馬野郎は!

「はぁ…今一意味が分からないんですけど…本人が気付いてなくても、リュカには分かっちゃうって事?」
「う~ん…ま、そう言う事だ「あ!ま、まさか…リュカさん…」
お、アルル様が気付きました!
「アルル…」
「さ、最悪な男ね…」
アイコンタクトをする勇者二人…何よ、息が合ってるじゃない…ラブラブなの?

「え!え!?な、何?何なの!?…ねぇリュカ…もうちょっと分かりやすく説明してくれない?」
「うん。つまりねレイチェル…君のお腹には子供が居る。…やぁ、めでたいね!父親はさっきの大臣のオッサンって事で…」
お前の子供だよバ~カ!
しっかし最悪だなこの男…
女を孕ませておいて、責任を取らないつもりだろ…
しかもチャラけてやり過ごそうとしやがって!
よっしゃ!私が事の重大さを認識させてやる!

「きゃー!私に弟妹が出来るのですね!私がお姉様になるのですね!!」
どうよ!身勝手に生ませた子供を残して、元の世界に帰るつもり?
「そうよ、マリーちゃん!私、ママになるのよ!!リュカの子のママになるのよー!」
何この女…バカじゃないの?
何で喜んでいるのよ!
アンタの子供は、生まれながらにして父親を知らないのよ!
男が無責任な所為で!
私の手を取り、踊っている場合じゃないでしょうが!
ってか、私踊りたくないのよ!!
離しなさいよ~~~!!

「どうすんねんリュカはん!」
「え?どうするって?」
自覚無いかのしら?大問題なのに…
「リュカさんは元の世界に帰るんでしょ!それなのにこの世界で子供作ってどうするんですか!?」
どうやら愛人希望の二人も、苛ついているみたいね。
「………どうしよっかねぇ…困ったねぇ…」
(バン!!)
急にお兄様がテーブルを叩き、相変わらずの真面目口調で話し出した。
「女王様!父は貴女に話してない事があります!それは………」



「………と言うわけで、我々はこの世界の人間ではございません!父は…リュカは、元の世界に帰り、国王として国を統治せねばなりません!身勝手ではございますが、それを了承して頂きたい!」
ダメ親父の為に息子が頭を下げている…
そしてダメ親父はそれを見て「頭下げる事ないのに…」と、小声で呟いていた…
最悪な男!…でも、お母様に頭を押さえられ、一緒に頭を下げている。
「…なるほど…私と結婚して王位を継げないのは、こう言った理由だったのね…」
「違う!違う違う!!それは違うよレイチェル!」
何が違うつーのよ!
「結婚出来ないのは、僕には既にビアンカが居るからなんだ!国王だからでも、異世界人だからでもない!それに王位を継ぎたくないのは、本気で国王なんてやりたくないからなんだ!も、辞めたいんだけどさぁ…辞めさせてくれないんだよねぇ…」
懲りない男ねぇ…
女王様の手を握り、瞳を見つめて口説きに掛かってるじゃないの…
「うん。分かったわ…でも、可能な限りイシスに帰って来てね。その時はフリーパスで私の元に来て良いから!」
って、女王様も落とされるなよ!
責任取ってとか言えばいいのに。
「うん。そうするよ」

どうやら騒動は収まり、無責任男は無責任なまま、無罪放免らしい…
「不憫やな…父親の顔も知らんで育つなんて…」
私もそう思うけど、その立場になりたがっていた貴女が言う台詞じゃないわよ!
「じゃぁ…コイツあげる!」
そう言うお父様は、お兄様を女王様に突き出した。
「イケメンだし、真面目だし…まぁ、何かの役には立つんじゃね?…弟か妹か分からないけど、『パパ』って呼ばせちゃえよ!」
此処まで来ると清々しいわね…何なのこの男は!
(ブチ!!)
「おわ!あぶねぇ!!…当たったらどうすんだよ!ったく…真に受けんなよ!」
お兄様が流石にキレましたわ!
当たり前ですわよね…お古を押し付けられれば…
「あ、貴方って人はぁ………」
お兄様は本気でお父様を殺そうとしてるのかしら?
手を抜いてませんかねぇ…全然当たらないじゃないの!
つまらないわね…本気でやり合えば面白かったのにぃ!

「いい加減にしなさい!!」
あはははは!お母様に怒られてやんの!
大の男がじゃれ合っているからよ…

お母様のお説教は1時間以上続いた…
待たされる私達の身になってほしいわね…
まぁ、可愛いウルフちゃんを愛でてたので、それなりに幸せだったけど。



 
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