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DQ3 そして現実へ…~もう一人の転生者(別視点)

作者:あちゃ
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野望の一歩

取り敢えずダーマから外へ出ると、お母様が質問をする。
「さてアルルちゃん!さっきイシスへ行くって言ってたけど…イシスって砂漠の国よね?魔法の鍵を手に入れたのに、また砂漠になんか行くの?」
確か…あの国の女王様に手を出したバカが居たわよね…
それなのに行くの?

「あぁそっか…ビアンカさん達には説明がまだでしたね………」
アルル様は、うっかりしていたらしく懇切丁寧に、今後の予定を教えてくれた。



「………なるほど…この悪党の所為で、面倒事が増えた訳ね…」
「あ…姐さん、ひでぇッス!」
「でもアルル…マリーちゃんに砂漠はきつくないか!?」

う~ん…私も砂漠はやだなぁ…
テルパドールの砂漠もきつかったし…
「せやね!ウチ等の足でも2週間はかかるしね…」
「それなら大丈夫よ!ルーラで行けば良いのだから!」
そうよね!お父様がルーラを唱えれば良いのですからね。
「ビアンカさん、何言ってるんですか!?私達の中にルーラを使える人は居ませんし、それにルーラは術者しか移転できないんですよ!キメラの翼も同じです…イシスに言った事のないビアンカさん達には効果がありません!」
まぁ!?ゲームとはちょっと違うんですねぇ…

「あー…みんなごめんね。僕から謝るよ!実は父さんはルーラを使えるんだ!」
「何や…やっぱりリュカはんはルーラを使えたんか!まぁそうじゃないかとは思っとったけどな!ちょくちょく何処かへ行ってた様やし…」
あはははは、バレてやんの!
「いや…真の謝罪は別にある………父さんのルーラは、大人数を同時に移転できるんだ………しかも船ごと!」
皆さん怪訝な表情で、お兄様とお父様を見ていますぅ。

「は、ははははは…ティミーさん…大丈夫ですか?疲れている上に寝不足かもしれませんけど…大丈夫ですか?」
分かりますわウルフ様ぁ!
この男にそんな事が出来るわけありませんものねぇ…
「あはははは!やだなぁティミー!変な事言っちゃってぇ~!やっぱりもう一晩、ダーマに泊まって行こうよ!み~んな疲れてるんだよ!」
どんだけリビドー垂れ流してるんだ、この男は!
今は我慢しろよ…何時でも出来るんだから!

「父さん!どの様な意図で出し惜しみをしてたのかは分かりませんが、今後は止めて下さい!マリーも居るのですから、負担が少なくなる様、協力して下さい!」
お兄様ちょっとプンプンでお父様に詰め寄る。
「リュ、リュカさん…本当に…そんな事が出来るんですか!?私達全員をルーラで移転させる事が出来るんですか!?」
「ん~…まぁ…一応?」
『一応』の意味が分かんない!!
「な、何でそれを黙ってたんですか!!?リュカさんのルーラがあれば、私達の旅はもっと楽になってたんですよ!酷いじゃないですか!」
わぉ、アルル様凄くプンプン!
怒った顔が可愛いわね。

「アルルはこの旅での最終目的って何?」
お!?また適当にはぐらかすのか?
「何ですか今更!?魔王バラモス討伐です!」
「うん。そうだね…アルル達の旅の目的が、ただ世界中を巡る事だったら僕はルーラを使ってたさ!でも違うだろ…アルル達はバラモスを倒す為に旅をしてるんだ…楽をしたらダメだよ!」
「楽をしていたのは父さんだろ!」
私もお兄様の意見に賛成!

「相変わらずだなお前は…いいか良く聞け!僕にもお前にも、この世界を平和にする義務は無いんだ!世界を平和にする為、旅立ったのはアルル達なんだ!僕はバラモスと対峙する時までこの世界に居るとは限らない…アルル達には旅の…冒険の苦労を、身を以て体験して貰わなければならない!僕が手を貸すのは簡単だ。だが想像してみろ…アリアハンからずっと僕が全てを行っていたらどうなるか…戦闘はもちろん、移動は全てルーラで…きっとアルル達は成長しないだろう…アリアハンを出た頃と変わらないままバラモスと戦うんだ!もちろんバラモス戦も僕が戦えば良いのかもしれないが、果たしてその時点で僕はこの世界に居るのだろうか?」
まぁ、正論ね…本心かどうかは別として…
「もしバラモスに、僕を元の世界へ…いやぁ、元の世界じゃ無くてもいい…別の世界へ飛ばす能力があったらどうする!?アリアハンを出た頃と、何ら変わらないアルル達だけで魔王と戦わねばならなくなる!勝てると思うか?」

…この子達、そんなに弱いの?
でも安心なさい!
私が来たからには、敵なんて一発でぶっ飛ばしてあげるわ!
お姉様直伝の最強イオナズンで!
あぁ…早く戦闘にならないかしらぁ…

「…リュカ…貴方の言い分は分かったわ!でもこれからはルーラを使ってもらうわよ!マリーの為に…」
まぁ、お母様は優しいですわ!
私の為にお父様を説得してくださる。
「………分かった…ルーラは使うよ…でもビアンカもティミーも、アルル達の成長の妨げになる事はしないでほしい!この世界に平和をもたらすのは僕等じゃ無い、アルル達なんだから!」
「うん、分かった。みんなが危なくなるまで、手は出さないわ…」
あら…お父様は本当にこの子達の成長を考えていたようね…
ちょっと格好いいじゃないの!
お母様も惚れ直しちゃった様子です!
お父様に抱き付いてラブラブ♡


「さて…じゃぁルーラを使いますか!」
「でも…本当なんですか…?複数人を同時に移転させるなんて…」
「あぁウルフはしっかり見ておく事だ!偉大なる賢者に転職したんだから、ルーラを憶えた方が見栄えが良い!」
見栄えって…
ウルフ様は今のままで十分見栄えが良いわよ!
私が絶対食べるんだから!
この中で私の邪魔になりそうなのはアルル様だけね…
他はお父様に夢中だし…

「うん!是非とも憶えたいからね…ゆっくりお願いします!」
「じゃぁいくよぉー!……ルーラ」
私はお父様の声を聞きながら考える…
お父様の毒牙にアルル様を陥れれば、ウルフ様を狙いそうな者は居なくなると…
さてさて…どうした物かしら…



 
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