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イベリス

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第六話 入学式の後でその七

「何があっても。自分もと思ったら」
「それはなのね」
「しないわ」
 従妹に断言で答えた。
「それはね、しかもこうしたことで囃したら恨まれるからね」
「そんなになの」
「そう、それもかなりね」
 そうなるというのだ。
「一生ね」
「一生恨まれるの」
「だってね、失恋って深く傷付くから」
「それを囃されたら」
「余計に心に堪えるから」
 だからだというのだ。
「本当にね」
「恨まれるのね」
「一生ね、だからね」
 そうなるからだというのだ。
「私もよ」
「最初からなのね」
「言わないわ」
「そう心掛けているのね」
「誰かに一生恨まれるなんて願い下げよ」
 愛はサラダを食べつつ言い切った。
「それは咲ちゃんもでしょ」
「ええ、一生とかね」
 咲もこう答えた。
「嫌よ」
「自分は軽い気持ちで言ってもね」
「相手には違うのね」
「そう、自分にとっては軽いそれも昔のことでも」
「相手にとっては違っていて」
「もうね」
 それこそというのだ。
「一生でどれだけ経っても生々しい」
「そんなことなの」
「そう、だからね」
 それでというのだ。
「絶対によ」
「言わない様にしていて」
「咲ちゃんもそうしないとね」
「下手したら一生なのね」
「その人のね」
「それは絶対に嫌だし」
「じゃあいいわね」
「言わないわ」
 咲は誓って答えた。
「何があっても」
「そうしてね、恨まれたり嫌われていいことないから」
「そうよね」
「だからよ」
「そこは最初からなのね」
「気を付けてね、意地悪とかしても」
 それを悪戯心でしてもというのだ。
「何もね」
「いいことがないのね」
「咲ちゃん元々そうしたことはしないけれど」
「それでも高校に入ってからも」
「何もしないことよ」
 全くというのだ。
「そうしたことはね」
「それじゃあ」
「そう、そして」
 それでというのだ。
「頭に入れておいてね」
「そうするわ」
 咲は今度はワインを飲みつつ述べた。
「高校に入ってからも」
「それじゃあね、あといじめられたら」
「その時もなのね」
「私に言ってね、いいやり方教えるから」
「いいやり方っていうと」
「だからいじめの現場録音とか録画とかして」
 そうしてというのだ。
「それでね」
「ネットに流せばいいから」
「そういうやり方があるのよ」
「いじめは犯罪よ」
 愛はきっぱりと言い切った。 
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