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戦姫絶唱シンフォギア~響き交わる伴装者~

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翼さんバースデー計画(風鳴翼バースデー2021)

 
前書き
間に合ったーーーー!!

今日は翼さんの誕生日!
弟である翔くんを始め、色んな人達に祝われる翼さんを書こう!!

というわけで、どうぞお楽しみください。 

 
「翼さん、起きてください」
「ん……ふぁぁ……」
「おはようございます」

朝、目を覚ました翼はいつものように顔を洗い、寝巻きから着替えて朝食を食べる。

茶碗を片手に箸を進めながら、翼は緒川に今日の予定を尋ねた。

「緒川さん、本日の予定は?」
「今日は一日、オフの日となっています。ゆっくりと身体を休めてください」
「そ、そうですか……。では、本部にてシミュレーションでも──」
「なら、今日暇なんだろ?」
「奏!?」

振り向くと、顔を拭きながら洗面所から出て来る奏の姿があった。

何事かと首を傾げる翼に、奏はニッコリ笑う。

「翼~、暇ならちょっと付き合ってくれよ。な?」
「え、ええ……」

そうして朝食を終えた翼は、奏に連れ出されて行った。
二人を見送った緒川は、ドアが閉じるのを確認すると、スマホを取り出す。

「もしもし……はい。計画は順調ですよ。……ええ。それでは、こちらの事はお任せを。……分かってますよ。勿論です。……ええ……では、楽しんできてください」

ff

「まさか、翔と響も一緒に来るとは……」
「緒川さんから、最近の姉さんは根を詰めすぎだって聞いてたからさ。俺達3人でデートの計画を立てたってわけ」
「翼さんッ!!今日は一日、わたし達と遊び尽くしましょうッ!!」
「ちょっ!?ちょっと立花!?」

響は翼の手を引いて、ずんずんと先に行ってしまう。

「あははっ、響は相変わらずそそっかしいなぁ」
「でも、姉さんにはこれくらいが丁度いい。奏さんもそう思いません?」
「確かに、そうかもしれないね。これはあたしも負けていられないな。翔、どっちが翼の可愛さを引き出せるか、勝負しないか?」
「負けない自信はあるけど、今日はやめておく。今日は、姉さんを楽しませる事が優先ですから」
「オッケ~。じゃ、今日はとことん楽しむぞ~!!」

先を進む2人を見つめながら、奏と翔も後を追いかけて行く。

4人のデートが始まった。

ff

ショッピングモール

「つっばささ~んッ!これなんかどうですか~?」
「わ、私にはちょっと可愛すぎないかしら?」

服屋の一角で、一同は互いに着せたい服を選んでははしゃいでいた。

「何言ってるんですか~。翼さんはもっと可愛い服着たって良いじゃないですか~」
「そうだぞ翼~?ほら、折角付き合い始めたんだし、緒川さんに見せるつもりでさ。どうだい?」
「ッ!?かっ、奏ッ!?そそそそれはッ……その……」
「せっかく似合うんだしさ。プライベートくらいは可愛い翼を独り占めさせてやりなって~♪」
「……喜んで……くれるかな……?」
「当たり前じゃないですか!だって、緒川さんですからッ!」

翼に可愛らしい服を勧める響と、緒川をダシに揶揄う奏。

響からの一言に、翼は頬を赤らめながら呟いた。

「響、ちょっとこれ試着してみないか?」
「え?わっ、フリフリいっぱいだ……」
「へぇ、翔からのリクエストってわけだね。響、着てみたらどうだい?」
「ふえぇ!?今日は翼さんの服を選びに来たんじゃ……」

ff

刀剣展覧会

「見てよ奏!!この刀すごく綺麗!!」
「おっ、おう……そうだな……」

ケースの前でキラキラと目を輝かせる翼に、奏は若干身を引きながら翔に耳打ちする。

「翔、ヤバい。あたしには全然違いが分からないんだけど……」
「姉さん、刀剣類に目を輝かせる所があるからさ。連れてきて正解だったね」
「こういう翼は初めて見たな……」
「そりゃあ、刀見に行く機会なんてそうそうないし……」

そこへ、翼がぐいぐいと奏の手を引いた。

「奏!見て見て!!童子切安綱があるよ!!」
「へ、へぇ……どんな刀なんだ?」
「この刀は平安時代、源頼光が酒呑童子の首を斬り落とした時に使われた刀って言われてて──」
(グイグイ来るなぁ……。まあ、たまにはこんな翼も悪くない、か)

刀剣類についての知識は皆無だが、翼が楽しそうなのでそれでよしとする奏であった。

「翔くん、この刀すごく綺麗だね」
「それは……菊一文字か。新撰組の沖田総司が使っていた、とされている創作上の刀だよ」
「へぇ……。なんだか、初めて見た気がしないなぁ……」
「?」

ff

ゲームセンター

「リズムゲーム……あ、私達の曲もあるよ」
「流石に目立つんじゃないか?」
「なら、それやるなら一番最後にするとして……」
「だったら、クレーンゲームやりません?」

響からの提案で、クレーンゲームに挑む一同。
景品は、ボンレスハムのような体型の犬と猫のぬいぐるみだ。

「先鋒立花響、行きますッ!うおりゃあああああああッ!!」

コテッ

「あああああああ落ちたあああああッ!!」
「立花、声が大き過ぎるわよ」
「店員さんの迷惑だぞ?少し落ち着けって」
「あ、ごめん。でも、惜しい所まで行ってたんだよ?」
「全然掴めてなかったように見えるが……」
「じゃあ次、誰がやる?」
「なら、次は私ね」

続いて翼がチャレンジするも……

「掴んだッ!あとは平常心を保ったまま、あそこに落とせば……」

コテッ

「あっ……」
「姉さん……ドンマイ」
「翼さん、惜しかったですね……」
「不覚ッ!」
「仕方ない。俺が2人の仇を取ろう」
「翔、大丈夫か~?この流れだと、三連敗ってのも有り得るぞ?」
「やってやるッ!響と姉さんの為にも、俺は負けないッ!」

続いて翔がチャレンジ。結果は……

ボテッ

「ひ、引っかかって落ちてこない……だとぉ!?」
「お、惜しいなんてものじゃないわね……」
「ギリギリの所でフラグ回収しちまったな……ドンマイ」
「とりあえず、店員さん呼んでくるね?」

店員に頼んで取ってもらったものの、取れたのは犬の方だ。
猫の方がまだ残っている。

「3人とも失敗かぁ。ここはあたしの出番みたいだね」
「「奏(さん)ッ!!」
「大丈夫なんですか?今のところ、2敗1引き分けですけど」
「3人とも甘いね……。このゲームには必勝法がある」

奏の挑戦。果たして、その結果は……

ガコンッ

「と……」
「「「取れたあああああッ!!」」」

なんと大成功。手馴れた手つきであっという間に、目的の景品を手に入れる奏であった。

「言ったろ?このゲームには必勝法があるのさ」
「随分と手馴れてたけど……」
「ゲーセンはあたしのテリトリーなのさ」
「入り浸ってたんですね」
「そゆこと♪」
「凄いです奏さんッ!」
「へへっ、もっと褒めろ~」
「もう、すぐ調子に乗るんだから」

手に入れたぬいぐるみを抱きながら、他にもいくつかのゲームを楽しんだ4人。

そこへ、翔のスマホに着信が入る。

「もしもし緒川さん?……了解、そろそろ向かいます」

スマホを仕舞うと、翔は3人に声をかける。

「そろそろいい時間だし、戻ろうか」

既に翔達の立てた計画は、最終フェーズに入っていた。

ff

「たっだいま~」

奏は真っ先に玄関をくぐると、そのまま明かりをつけずにリビングへと向かっていく。

「翼さん、お腹すいてませんか?」
「立花、お腹を空かせているのは、あなたの方でしょう?」
「あ、バレてました~?」
「もう……バレバレよ」

続いて、響と談笑しながら廊下を歩いていく翼。

最後に玄関をくぐった翔は、ニヤッと笑いながらドアを閉める。

「あれ……奏?どうしたの、電気も付けないで……」

明かりのついていないリビングに、翼が首を傾げたその時。

パンパンッ!パンッ!

急に部屋が明るくなり、軽い破裂音が連発する。

「へっ!?」

驚く翼。そこに待っていたのは……

「翼さんっ!」
「つ~ばさっ!」
「翼ッ!」
「翼ちゃんっ!」
「つ、翼先輩……」
「翼さん」
「姉さんっ!」

『誕生日おめでとう!!』

浮かれた装いでクラッカーを構えた、二課の仲間達であった。

「え?ええ?……あっ……今日って、私の?」
「最近仕事に根を詰めすぎて、誕生日なの忘れてたでしょ?」
「だからあたしらで、サプライズを用意してたってわけさ」
「って事は、今日一日連れ回したのって……」
「時間稼ぎッスよ。先輩が戻って来るまでに、ここをパーティー会場に仕立て上げるためのな」
「勿論、翼さんに楽しんでもらいたいって気持ちもありましたよっ!」
「そういう事。姉さん、どうかな?驚いてくれた?」

笑顔で見つめてくる、家族や仲間達からの視線。

今年も隣で、自分の誕生を祝ってくれる大切な人たち。

翼は満面の笑顔と、そして少しの涙を顔にうかべて、思いっきり頷いた。

「みんな……ありがとうッ!!」

その顔に、一堂はクスッと笑って、

「ほら姉さん、真ん中座って!緒川さんはその隣ね!」
「いや、僕は……」
「今日くらい、雑用はあたしらに全部任せなって。翼の誕生日なんだからさ」
「……そうですね。では、お任せします」
「翔くーん!1枚撮ってー!」
「了解。ほら皆、姉さんを囲んで~」
「クリスちゃん、行かないの?」
「なっ!?あ、あたしもか!?」
「ク~リスちゃんも~♪」
「ひっつくなバカッ!」
「もう、響ったら……」
「未来さん、隣いいかな?」
「うん、いいよ♪」
「それじゃ撮るぞ~。はい、チーズ」

そして再び賑やかな宴を開催するのだった。 
 

 
後書き
去年はおがつば重視。今年は響や奏さん、翔くんとの関係を重視。

それでは次回もお楽しみに!!
そろそろGX書き始めます。 
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