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【自作イラスト追加しました】悪役令嬢に憑依させられたので、婚約破棄してきた婚約者の頭を掴んで宙に持ち上げてみた~外は美少女中身はゴリラの異世界譚~

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状況説明、あっさり信じていいの?

 【家出】のお誘いにクレアは躊躇したようだったがすぐに私の差し伸べた手を握って、

「いいわ。その代わり説明してくれるのね」
「もちろん。ではいつもの服なんかが隠してある場所に向かいましょう?」
「そこまで知っているの? 一体貴方は誰? 凄くそっくりだけれど……異世界転移者みたいな能力も使っていたし」
「私もさっきこちらに来た? 転生? 憑依させられたばかりだからそこまで詳しく知らないのよ」
「え?」
「とりあえず説明と状況整理したいから……つまり時間稼ぎしたいから【家出】をしたいの。そしてここにさっきの輩が戻ってくると面倒だから急いでここを離れましょう」

 そう話して私とクレアはこの場を後にする。
 案の定、先ほどのメイドのような人物が現れるが、それらは適当に私の固有魔法(チート)で倒した。
 状態異常という場所も、私の能力が書き込まれて競合した場合、優先されるらしい。

 そういえば気絶させておいたけれど気絶の場合一定期間後に目を覚ます……と思う。
 その辺りは確認していなかったなと思って私は、20分後に覚醒も追加しておく。
 ただこうやってみていくと、貴族の姫がいるような舞踏会の警備にしてはザルすぎるのではないかという気がしないでもなかったが、そういった状況にある以上、実際に行われているのは間違いない。
 
 でもそういえば記憶にあるバッドエンドルートだと、このクレアも死んでいたような気がする。
 そっちルートにすでにフラグが立っているので、このリセだけではなくクレアの命を守る事もハッピーエンドルートに持っていくのに必要かもしれない。
 さて、どうしよう。

 そう思いながら攻撃がやむのを感じているとクレアが、

「私達を見ている人物がいる」
「……貴方の固有魔法(チート)、【共感の庭】ね。特定範囲の人物の能力が使えるという……魔法を使って見ている人物がいると。……その人物の無力化、私の固有魔法(チート)を使ってできない?」
「異世界転移者は魔力が大きくて、それを使うくらいに巨大な魔法が使えると言われているわ。だから私の魔力では……下手すると一気に空になった魔法すら発動しないかも」
「……分かった。どこにいるか教えて、とりあえずそちらの方に魔法を使ってみる」

 そう逃げながら会話をして、場所、正確には方向を教わりながら魔法を使っていく。
 うまくとらえられているか心配だが、杞憂であったらしい。
 全員沈黙させて逃げるのに成功した。

 そして服などを隠してあった場所に辿り着き、着替えて、

「いったんこの都市を離れるわ。……女神さまは行方不明?」
「え、ええ、私たちの国の管轄であるアリル様は最近見かけなくて」
「それで別の女神さま、フェリル様……旅行中だけれど、その女神さまの住んでいる都市に行けば旅行中の女神さまにも会えるかもしれないのね」
「え、ええ」
「じゃあまずはそれを目標にして後は、聖女だから魔王に狙われるんだったかしら」
「私はそう、だけれど」
「この世界に呼ばれた異世界転移者もいた方が良い……憑依と異世界転移者、能力的にどの程度違うのかしら」

 私はそう呟き、リセ・ハートマインドの知識を脳内で検索してみるが、

「分からないか。憑依自体珍しいみたいだし、戦力が多いに越したことは無いわね。見つけたらお願いしてみましょう、そもそも魔王関連が相手だと、異世界転移者の能力が必須みたいだし」
「それでそろそろ、理由を教えてくれる? 憑依というのも気になるし」

 と言われたので私は周りを見回してから、

「貴方の暗殺計画に巻き込まれそうになっていたリセ・ハートマインドは、自分の力ではどうにもならないと思って私、土屋リセを呼んで憑依させた。でも私が知っているゲームのシナリオ……この世界で言う未来予測の【書】のようなものかしら、残りは破滅を待つのみだったから、時間稼ぎをしながらハッピーエンドルートに何とか修正しようとしている、という所」
「……憑依? 異世界人を?」
「ぶっちゃけ私が悪人だったらどうするのよと思ったけれど、とりあえずやれるだけやってみることにしたの。ちなみにこの破滅ルートを行くと貴方も死ぬ」
「死……」
「というわけで、すぐに協力してくれて助かったわ。どう? 信用できる?」

 そうクレアに話とクレアは少し黙ってから、

「信じるわ。親友のリセが信じたのなら、私も信じる」
「……大丈夫かなと思わずにいられないわ」
「そう? でも結局貴方は私……私たちを助けてくれているもの。悪人だと思ったら、その時判断するわ」

 言い切ったクレアに、好感を持つ。
 やれる範囲でやってみよう、そう思った所で都市から町へ移動する馬車が、ちょうど目の前で発車しようとしているのを見て、急いで私たちは走り出したのだった。 
 

 
後書き
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