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駅で待つ猫達

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第二章

「今はかみさんと娘二人とな」
「幸せに暮らしてるんだな」
「この通りな」
 ウォッカを飲みながら笑顔で話した、オルクセンはこの話もブログとツイッターで紹介した、これもまた好評だった。
 そしてオーストラリアに行った時に。
 ある駅で雄のサビ猫を見た、その猫は駅でじっと動かない。彼はその猫を見て駅員に尋ねた。
「この猫は飼い主を待ってるんだな」
「わかるんだな」
「ああ、前にも見たしな」
 こうした猫をとだ、ロッテルダムでのことを思い出しながら述べた。
「それでな」
「そうなんだな」
「ああ、それでこの猫もか」
「ああ、名前はグレアム。雄でな」
 駅員はオルクセンに話した。
「この駅から出勤してるニコール=バインリヒさんの飼い猫さ、十二歳だよ」
「猫で十二歳、もう爺さんだな」
「ああ、六歳の時に殺処分寸前で助けられてな」 
 今の飼い主にというのだ。
「それから毎朝この駅まで一緒に来て待ってるんだよ」
「賢いな、この猫も」
「賢いぜ、危ない場所には入らないしちゃんと帰りのホームで待ってるしな」
「それは本当に賢いな」
「そろそろその電車が来るぜ」 
 ここで実際に電車が来た、そして。 
 そこから中年のしっかりした体格の男が降りるとグレアムはすくっと立ち上がってそのうえで彼のところに行った。
「ニャンニャン」
「飼い主さんだな」
「そうさ、いつもこうなんだよ」
「成程な、ここでもいい光景を見られたな」
 オルクセンはこのことを笑顔で感謝した。
「やっぱり旅はいいな」
「そうかい、じゃあ他にもいいものを見ていくかい?」
「そうするさ、じゃあこのことはネットで皆に話すな」
「そうしな」
「絶対にな」 
 こう言ってだった。
 オルクセンはグレアムの飼い主が乗っていた電車に乗って駅を後にした、そうして次の場所に向かったが。
 このこともネットで知らせた、そうして友人に話した。
「旅先で見る猫もいいな」
「ドラマがあるんだな」
「何かとな、他の色々なものも観て楽しんでな」
 そうしてというのだ。
「猫もな」
「そうしてか」
「楽しむな、じゃあな」
「これからもだな」
「旅をするな」
 笑顔でこう言ってだった。
 彼は友人に次は何処に行くか楽し気に話した、語るその目は少年のそれの様にきらきらと輝いていた。


駅で待つ猫達   完


                    2021・5・23 
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