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イベリス

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第六話 入学式の後でその三

「それでね」
「目が笑ってない」
「そう、そして外見はね」
「チンピラとかヤクザ屋さんみたいで」
「もうあからさまになるから」
 それでというのだ。
「注意してね、それで隠している人も」
「笑い方や目ね」
「気をつけてね」
「それとキャッチセールスもな」
 ここで父が言ってきた。
「特徴があるな」
「そうなの」
「ああ、やたら長々としていてな」 
 父は焼酎を飲みながら娘に話した。
「あとメールしてくれとか言ったり個人情報を言ったりな」
「してくるの」
「ああ、だからな」
 それでというのだ。
「そうした相手にもな」
「気を付けることね」
「そうしたこともな、ネットをして変な広告とかあるだろ」
「ええ」
 咲も心当たりがあって答えた。
「確かにね」
「それでな」
「キャッチセールスにもなのね」
「気を付けるんだぞ」
「わかったわ」
 娘は父の言葉にも頷いた。
「そっちもね」
「世の中気をつけないことは多いぞ」
「そうよね」
「いい人も多いけれどな」
「悪い人も多いのね」
「いや、悪人は実は世の中少ないんだ」
 父はこのことは断った。
「独善的な人もな」
「そうした人は目がいってるのよね」
「カルトみたいにな、そんな人も少なくてな」
「悪い人もなの」
「しかし目立つんだ」
 悪人や独善的な者はというのだ。
「どうしてもな」
「それで注意しないといけないのね」
「ああ、それはいいな」
「それじゃあね」
 咲も頷いて応えた、そしてだった。
 グラスの中のワイン赤のそれを飲んでまた言った。
「明日から本当に気をつけていくわ」
「そうしろ、高校生になるんだからな」
「余計にね」
「そうしろ、しかし」
「それでもなの」
「護身用のものも必要だな」
 父はこうも言った。
「やっぱり」
「何かあった時に?」
「そうだ、母さんが何か買ったそうだな」
「ああ、スタンガンね」
 それだとだ、母も応えた。
「買ってるわよ、特殊警棒もね」
「そうか、二つあるとな」
「大丈夫でしょ」
「父さんは防犯ブザーを買った」
 父はこれもと言った。
「いつも持っておけよ」
「護身用になのね」
「そうだ、もう二重三重にな」
「用心しておくのね」
「警棒振り回したらね」
 母は娘に渡すこの武器のことを話した。
「それだけで結構よ、頭に当たったらノックアウトだから」
「一撃でなの」
「死ぬ位ね」
「死ぬって」
「正当防衛よ、女の子襲う様な奴には自業自得よ」
 母の言葉は今は容赦がなかった。 
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