夢幻水滸伝
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第百九十八話 先んじればその一
第百九十八話 先んじれば
リーはシンガポールの自身の官邸でアルフィアンに言った。
「これで後はな」
「返事待ちですね」
「相手のな」
「ミャンマー、カンボジア、ラオス、そしてブルネイの」
「そや、この四国とや」
「同盟を結ぶ為に」
「使者を送ったからな」
それでというのだ。
「後はや」
「彼等の返事待ちですね」
「四国の星のモンもな」
「四人いますが」
「その四人共や」
その彼等がというのだ。
「動きはじめてるわ」
「同盟に向けて」
「しかしここでな」
「我々が先に同盟を申し出る」
「その条件もな」
リーは自身の執務室にあるその席に座って話した、アルフィアンは執務室にある応接用のソファーに座っている。背筋を立てて礼儀正しい感じだ。
「提示するしな」
「それも相手の考えを読んで」
「四国共調べておいた」
事前にというのだ。
「内政の状況も外交のそれもな」
「どれもですね」
「そうしてや」
そしてというのだ。
「星のモンの考えもな」
「それもですね」
「シュミレーションしてな」
そうしてというのだ。
「考えておいたしな」
「そのうえでの条件の提示ですね」
「国家連合、相互不可侵でな」
「自由貿易で関税もない」
「行き来も自由にする」
「そして内政と外交は一体して進めていく」
「そうしてく様にな」
その様にというのだ。
「条件を提示する」
「そしてですね」
「返事を聞くんや」
「国防もお互いにですね」
「一緒にやってく、国家の主権はあってもな」
それでもというのだ。
「国家連合としてな」
「共にことを進めていく様にしますね」
「そして当面の敵であるマレーシアにもな」
この国にもというのだ。
「あたる、マレーシアをどうにか出来たら大きいな」
「そうですね、あの国も国家連合に加えれば」
リーが考えているそれにとだ、アルフィアンは彼に顔を向けて答えた。その顔は真面目なものであった。
「我が国もブルネイも直接的な脅威はなくなり」
「タイも牽制出来る様になる」
東南アジアの大国の一つであるこの国もというのだ。
「そうなる」
「非常に大きいですね」
「ティンも入ってな」
マレーシアの星の者である彼もというのだ。
「そしてや」
「二千万を超える人口とマレーシアの国力も加わり」
「私達は東南アジアでも屈指の勢力になる」
「インドネシアやタイ、ベトナムにも対抗出来ますね」
「フィリピンにもな」
この国にもというのだ。
「そやからな」
「ここで動きましたね」
「四国が動こうとしてな」
「その最初の動きをしようとした時に」
「まさにその時にな」
まさにというのだ。
「こっちが動いたんや」
「先にですね」
「項羽が言うた」
漢の高祖劉邦と天下を争った男である、その剛勇と武略は恐ろしいまでで史記においても最強とさえ思われる人物だ。
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