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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第三百十四話 八条荘の忘年会その十一

「絶対にね」
「レスラーになるんだね」
「そうなるわ」
 こう僕に話してくれた。
「私はね」
「頑張ってね」
「夢は大きくよ」
「私は喉を大事にして」
 裕子さんも言ってきた、モンセラさんと同じテーブルにいたのだ。
「そして」
「声楽家にですか」
「歌手にね」
 クラシックのそれにというのだ。
「なりたいわ、ただね」
「それでもですか」
「若しなれなかったら」
 その時を考えてというのだ。
「その時はね」
「音楽の先生にですか」
「そこは早百合ちゃんと同じで」
 同じ八条大学芸術学部に進むその人と、というのだ。
「音楽を学んで」
「それで、ですか」
「なれなかったら」
「音楽の教員免許を取って」
「そちらでね」
「生計を立てられるんですね」
「そう考えているわ」
 こう僕に話してくれた。
「やっぱり歌手になることは難しいから」
「それで、ですね」
「生活出来ないと」
 それこそというのだ、夢があって現実がある。人はその両方を同時に考えられないと駄目ということか。
「意味がないから」
「駄目な時はですか」
「音楽の先生になって。目指す中でも」
「先生をやりながらですか」
「勉強していきたいわ」
「そこは裕子さんらしいですね」
「そうかもね。私はやっぱり石橋を叩く感じで」
 そうしてというのだ。
「慎重にね」
「生きていきたいですか」
「ええ、そう考えているわ」
 こう僕に話してくれた。その裕子さんと話してだった。
 僕は今の食べものを食べ終えてまた別の席に向かった、丁度エリザさんのテーブルに空いている席があるので座った。
 そしてエリザさんにオムレツと赤ワインを出されて言われた。
「大学は決まってるから」
「八条大学ですね」
「そこに四年通って」
 そしてというのだ。
「その後はオーストラリアに帰って」
「暮らされるんですね」
「部族で占い師をして」
「そういえばエリザさんは」
「アボリジニーとイギリス系のハーフよ」
「そうですね」
「それで部族に戻って」
 お国に帰ると、というのだ。
「その後は」
「そこで、ですね」
「占い師をして」
 そしてというのだ。
「暮らすから。ネットでもね」
「占いをされてですか」
「生きていくから」
 だからだというのだ。
「今も占いを勉強してるし」
「大学でもですね」
「していくわ」
 僕に微笑んで話してくれた、そしてビールをと言って取りに行くと。
 ジョーンさんが僕の傍の席に来て言ってきた。 
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