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真・恋姫†無双~俺の従姉は孫伯符~

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雪肌+銀髪+へぅ=董卓さん可愛すぎるでしょ……



 やぁみんな。随分と久しぶりなのは気のせいだと思うから放っておくよ? 孫仲異です。
 とりあえず分かりやすく前回のあらすじを説明しておこうか。既に忘れている人も多いだろうしね。

 旅の途中でふと立ち寄った村で、俺は山賊退治の依頼を受けた。路銀と食糧を確保するために二つ返事で頷いたのだが、どういうわけか賈駆っていう美人の女性が着いてくることに。そんで、いろいろあって賈駆さんの作戦とかを有効利用してなんとか山賊を駆逐した俺と賈駆さん。村に戻って酒と御飯をご馳走になって……まぁ充実してました。
 そして二日酔いに悩まされながらも旅を再開しようと用意していた矢先、賈駆さんが実は董卓の仲間で、実力のある武将を探していたということを聞かされる。……って、俺をスカウト!? 拒否権もないって、えぇっ!?
 どうなる! 俺の人権!!

「…………アンタさっきからなにわけの分からないことをブツブツ言ってるのよ」
「気にしないでください。こっちの事情なんで」

 ……はい、そろそろ賈駆さんの視線が痛いので真面目になろうと思います。
 とりあえず今俺がいるのは中国でも屈指の大都市、洛陽の城の中だ。先ほど賈駆さんに説得|(と言う名の脅迫)を受けた俺は、なんと総大将である董卓にお会いすることになっているのだ! うわ、なんかすっげぇ緊張してきた。前世のことはよく覚えてはいないが多分こんな偉い人と会ったことはなかっただろうな。いやよく知らんけど。
 可愛い子なのだろうか。そもそもこの世界の人達がことごとく美人と美少女なんだから、可愛いに決まっているだろうけどさ。屈強な女武将とかだったらどうしよう……全力で逃げるか? 殺されるな、主に軍師さんに。

「……さて、着いたわよ。孫瑜」
「こんなところまで来ておいて今更なんですけど、やっぱり帰っちゃダメですかね?」
「ダメ」
「ですよねー……」

 分かってたけどね! 世の中は女尊男卑だから逆らえるはずもないって分かってたけどね!
 仕方がない。ここまで来てしまったのだからいい加減覚悟を決めよう。男らしく。決して目の前の軍師さんに怯えているわけではないからな!

(ゆえ)、少し話したいことがあるんだけど、ちょっといいかしら?」
『あ、うん。入ってきていいよ、詠ちゃん』

 賈駆さんの呼びかけにドアの向こうから可愛らしい声が答えた。な、なんて気持ちの落ち着く声……まるで鈴を転がすかのような甘いスウィートボイス!
 これは期待できるかもしれない!

「それじゃ、入るわよ」
「し、失礼しますぅっ!」
「なに緊張してんの、アホらしい」

 し、しまった! 動揺しすぎて声が裏返った! 恥ずかしい……。
 うあーっ、と身悶える俺。そんな俺を賈駆さんは「馬鹿」と一瞥すると、慣れた手つきで扉を開けて入っていく。ふむ、スルー能力もハンパないなこの人。
 いつまでも悶えておくわけにもいかないので、ダッシュで入室する。

「孫瑜、このお方が董卓よ。アンタなんかが敵うはずもないような高貴で偉大な人なんだから、しっかり敬いなさい」
「え、詠ちゃん……私そこまで偉くないから……」
「なに言ってるの。そんなだから周囲の高官共にも『董卓様は甘い』とか言われるのよ。もっとしっかりしなきゃ」
「そ、それはそうだけど……でも……」
「でももだっても禁止」

 賈駆さんが董卓と呼ばれた少女と何やら会話を繰り広げているが……現在の俺はそんなことに構っている場合ではない。ずいぶんと失礼なことを口走られて気もするが、今はそんなことはどうでもいい。
 おそらく同年代であろう賈駆さんと比べても低い身長。手足は細く、降り積もった雪のように白い。顔立ちは整っているというより、収まるべき場所にこれ以上ないほど収まっているというべきか。窓から降り注ぐ日光に反射して美しく光り輝く銀色の長髪も相成ってか、とても精巧に作られた人形のようだ。
 そんな究極無敵容姿端麗魅力完璧少女、董卓に俺は心の底から見とれていた。こ、これはヤバい……雪蓮一筋を自称している俺でさえも決心が一瞬揺らぎかけた。恐るべし、董卓!
 顔を真っ赤にして見惚れる俺。ようやくこちらに気が付いた董卓は、お日様も尻尾を巻いて逃げだしそうな笑顔をこちらに向けてくる。

「初めまして。詠ちゃんに連れてこられた方ですね? 先日送られた手紙で軽くではありますがお聞きしております。私の名前は董仲頴。これから仲間になるのですから、ご気軽に真名で『月』とお呼びください」
「あ……ど、どうも。そ、孫仲異と申します。生まれは呉国。一応王族である孫家の家系なんですけど、いろいろあって今は放浪の身です。山賊退治していたところを賈駆さんに無理矢――――もとい、賈駆さんのお眼鏡に適ったようで、こうして参上いたしました。あ、それと真名は『雹霞』っていいます。これからよろしくお願いします」
「ふふっ、そんなに畏まらなくてもいいですよ。仲間同士、気を楽にして接しましょう♪」
「は、はい! 月様!!」
「アンタ変わり身異常に速いわね」

 月様可愛いぃいいいいいいいい!! もう話している最中ドッキドキが止まらないぜ! これはあれだな。雪蓮に対しての『愛情』とは別の一種の『萌え』だな。小動物を愛でているときみたいな感じ。ヤバいっすマジパネェっす。賈駆さんに脅されて良かったー!
 全力でフィーバーする俺を賈駆さんがドン引きした様子で見つめてくる。あぁっ! これは違うんです賈駆さん! これはあくまでも男性なら仕方がない生理現象の一種であって決してキモチガワルイ類のものではないんですよぉ!

「な、なんかすごく気味が悪いけど、月に見惚れていたっていうのはわかったわ」
「へぅっ!?」
「賈駆さぁあああああああああああああん! ちょぉっとこっちでお話しませんかぁあああ!?」
「イヤよ、面倒くさい」
「扱い悪いな俺!」

 畜生このツンデレ少女め! そして可愛いです月様! 『へぅ』最高っす!

「あーもーいいから自己紹介するわよ! さっきもしたけど、ボクは賈文和。月の幼馴染でこの軍の軍師よ。いろいろ厳しいこと言うかもしれないけど、仲良くしましょう? 真名は『詠』だから、気楽に呼んでくれて構わないわ」
「あーはい。わかりました。俺の真名はさっき言った通りですから、好きに呼んでください」
「……なんか月のときと比べて対応がおざなりじゃない?」
「あれは月様限定です。月様の言葉では表現できないほどの魅力があってこそ俺の究極尊敬会話は成り立つんですよ。詠さんごときじゃとてもとても」
「なんかよく分からないけど、月のことをえらく褒めていたこととボクをこれ以上ないくらい罵倒していたことは分かったからとりあえず天誅を喰らいなさい」
「あ痛だだだだだだっ!! 鞭が! 鞭が顔にめり込んでる!!」

 らめぇっ! それ以上したら目覚めちゃう! 倒錯的なナニかに目覚めちゃうぅうううう!!
 ていうかその鞭どこから出したんだよ詠さん!

「禁則事項よ♪」
「アンタ何者だ」

 なにか口を出してはいけない力がはたらいた様な気がするのは俺の気のせいだろうか。
 
「他にも何人か仲間はいるけど、それはまた後日ってことで」
「えぇー……まだこのやり取り続くんですか? いい加減鞭でシバかれるのは御免被りたいんですけど」
「アンタが余計なことを言わなければいいだけでしょうが。それに、残りの人達は他人を鞭でシバいたりしないから安心していいわよ」
「いや、詠さんのこと――――」
「あ゛ぁ?」
「なんでもないです」

 父さん、母さん。雹霞はまたも暴力に屈してしまいました。英雄であった二人の息子ですのに情けない限りです。でも、俺の代わりに雪蓮が勇ましくしているので勘弁してください。男は無力です。
 
「まぁとにかく、これからよろしくね。雹霞♪」
「ぅ……」

 ……ま、とりあえずだ。

 今日からまた騒がしい毎日を送れそうだということは理解しました。





 雪蓮、元気かなぁ……?




 
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