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星河の覇皇

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第七十七部第四章 二度目の引き分けその三十五

「だからだ」
「主席閣下もですね」
「寝室にも用心されている」
「そうして休まれていますね」
「最も信頼している者達に護られてな」
 四人の妻達が自らそうしているのだ、彼女達はシャイターンにとっては寝ている間の護衛でもあるのだ。
「そうしている、とかくだ」
「はい、用心すべきですね」
「ことを為そうとする者は」
「その身には」
「さもないと死ぬ、護衛も付けず身に寸鉄も帯びなければ」
 つまり一切の護りをしていなけばどうなるかというと。
「安易に志半ばで倒れる」
「実に容易に」
「そうなってしまいますね」
「食事ですらだ」
 シャイターンは美食家で知られている、しかしその食事も酒も一品一品それこそ皿一つ一つの段階でチェックされている。
「用心しなければ」
「毒ですね」
「それを盛られますね」
「ボルジア家の様な者達もある」
 スペインから出て教皇を出しイタリア統一を目指した家だ、稀代の権謀家チェーザレ=ボルジアで知られている。
「あの家は毒を得意としたな」
「それを使い政敵を葬り去ること多々に渡りますね」
「カンタレラという毒を用いて」
「そうしていましたね」
「そうした者達もいるからだ」
 毒を好んで使う者達もというのだ。
「だからだ」
「閣下もですね」
「あえてですね」
「ご自身もまた」
「毒についても」
「警戒している、とかく常にあらゆることでな」
 身の周り全てのことについてというのだ。
「私は護衛を置き備えもだ」
「していてですね」
「お務めを果たされていますね」
「そうされていますね」
「そうしている」
 実際にという返事だった。
「さもないとだ」
「何時お命を落とされるか」
「わかったものではないですか」
「連合やエウロパではスキャンダルを暴かれる位だ」 
 若しくは捏造されて批判されて失脚させられる場合もある。
「しかしだ」
「それでもですね」
「サハラでは違いますね」
「命を直接狙われる」
「そうした地域ですから」
「この国は乱世にある」
 今もというのだ、オムダーマンが勝ってもティムールが勝ってもどちらにしても戦争が終わり乱世も終わるがというのだ。
「だからだ」
「刺客も毒もですね」
「普通にありましたし」
「今もですね」
「ありますね」
「アッディーン大統領は謀略は用いない」
 決してとだ、シャイターンは強敵のことはわかっていた。だからこそ絶対の確信を以てこのことは言えた。
「しかしだ」
「敵はアッディーン大統領だけではない」
「そういうことですね」
「ここまで多くの敵を倒してきた」
 覇道、それを歩む中でというのだ。実際にシャイターンはこれまで戦場で多くの敵を倒しただけでなく謀略でも葬ってきている。彼自身もそうしてきたのだ。
 だからだ、今もこう言えるのだ。 
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