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ロックマンX~Vermilion Warrior~

作者:setuna
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Final Mission:最後の戦い

 
前書き
これでコマンドミッションは終わりです 

 
2つの超フォースメタルの力を得たリディプスの圧倒的な力の前にエックス達は為す術なく倒れた。

「ふむ…静かになったな。伝説のイレギュラーハンター達すら圧倒する超フォースメタルのエネルギー…素晴らしい力だ…」

「っ…」

何とか意識を取り戻したシナモンは、周りを見渡して仲間の回復のためにエンジェリックエイドの発動体勢に入ろうとした瞬間。

「止めておけ、貴様のフォースメタルジェネレーターの力など、神の力の前ではあまりにも非力すぎる。尤も…超フォースメタルをフォースメタルジェネレーターで精製出来るのなら話は別だがな…フフ…その能力、私が使ってやっても良いぞ」

シナモンは痛みと恐怖に震える体を叱咤し、リディプスの巨体を見上げた。

「…私は…エックスさんや皆さんと一緒に戦うって決めた時から博士と約束していたんです…悪い人にフォースメタルジェネレーターは、死んでも渡さないって…っ!」

「そうか、ならば望み通り死ね」

シナモンの息の根を止めんと、リディプスの掌から高出力レーザーが放たれた。

「ハイパーモード・アイアンメイデン!!」

「むっ!?」

アイアンメイデンを発動してバリアを展開すると、完全には防げなかったが、何とかエンジェリックエイドを発動させることが出来た。

「みんな…お願い!」

祈るようにフォースメタルジェネレーターの光が全員の傷を癒していく。

「ふん…雑魚を復活させたところで無駄なことを……」

「無駄かどうかはこれを喰らえっ!アースクラッシュ!!」

ハイパーモードでOXアーマーを再び纏ったルインの攻撃が繰り出されたが、バリアで弾かれてしまう。

「貴様…」

「ルインさん!」

「大丈夫、シナモン?ごめんね、待たせちゃって…わっ!?」

シナモンに気を取られていたルインがリディプスの豪腕に吹き飛ばされる。

「あ…!ルインさん!?」

「わ…!……あれ…?」

誰かに受け止められたことに気付いたルインは背後を見る。

「何やってんだよ…しっかりしな、それでもあんた、伝説のイレギュラーハンターかい?」

「え!?フェラム!?」

「フェラムさん!?」

ルインを受け止めてくれたのは、敵であったはずのリベリオン幹部の1人であるフェラムであった。

「傷の手当ての借りを返しに来たよ」

「ぬ…貴様はリベリオン幹部の…」

「さて…お嬢ちゃん達。色々すまなかったね…元はと言えば私達の撒いた種だ。リベリオンの生き残りである私の手でケリを付ける。」

フェラムは電磁ウィップを発現させ、リディプスを睨みながら言うとルイン達は目を見開いた。

「ちょっと無茶だよ!いくらあなたが強くても、あいつは2つの超フォースメタルで強化した化け物なんだの!せめて一緒に…」

無謀な戦いをしようとするフェラムを止めようとするが、フェラムは止まらない。

「無茶とかそういう問題じゃない!総帥やスカーフェイスをこのまま汚名を着せたまま死なせておくわけにはいかないんだ!私達は…リベリオンは…あんな化け物なんか望んでいなかったんだ!!」

電磁ウィップを握り締めながら、リディプスに向かって突撃するフェラム。

「ああっ!フェラム!駄目っ!!」

「フェラムさん!止めて下さい!!」

「ふっ…イプシロンの犬が…神に逆らうとは愚かな!」

「ぐっ!!」

凄まじいスピードで動いていたのにも関わらず、リディプスに見切られた上に掴まれてしまう。

「握り潰してやろう…!!」

「う…あああ…!!」

フェラムを握り潰そうとリディプスが力を込めた瞬間。

「フォーチュンカード…ストレート!!」

何もない場所から無数のカードボムが出現し、バリアを無視して右肩の超フォースメタルとフェラムを掴んでいる腕に炸裂した。

「なっ!?」

「あの攻撃は…」

リディプスの手からフェラムが落ちた。

そして何も無い空間から出現した1体のレプリロイドが右肩の超フォースメタル…ミサイルの弾頭に使われていた超フォースメタルを拾った。

「き、貴様…生きていたのか!?」

「スパイダー!?」

「借り物の力で調子に乗ってんじゃねえぞ…クソ野郎が!」

吐き捨てながらリディプスを睨み据えるスパイダー。

「え!?どういうこと!?」

「あ、ほら。リディプスのあの姿はスパイダーのコピーだから…」

ダメージから復帰したマッシモが慌てながらリディプスとスパイダーを交互に見て、アクセルが宥めながら説明する。

「御名答だ坊や。俺はオリジナルのスパイダーだ。あのデカブツには相当世話になったぜ。まあ、そこの坊やに見つけられたのが運の尽きだったな。」

スパイダーがアクセルを見遣りながら言う。

「やっぱり、あの研究所の海岸で倒れてたのはスパイダーだったんだね、どうも見覚えがあると思ったよ。スパイダーはどうやってここまで来たの?」

超フォースメタルのエネルギーが解放された際に、軌道エレベーターの機能も停止しているはずだが。

「何、イレギュラーハンターの総監さんと天才科学者さん達が俺をここに転送してくれたのさ」

「シグナス達が…」

それを聞いたエックスは、ここにいないシグナス達に心の中で感謝した。

「己、シグナスめ……」

「さっきのカードボムはな。天才科学者さんが造った特別製でな…今はもう無いが、超フォースメタルを1つ失ったから威力さえあればバリアを貫けるはずだぜ!!ただでさえあんな巨体だからな!!」

フェラムに超フォースメタルを渡すと、全員が構えた。

「小賢しい奴らが!ディープインバクト!!」

「みんな、避けて!!」

ルインの叫びに全員がリディプスの一撃を回避すると、ゼロとアクセルがダッシュした。

「行くぞアクセル!!」

「OK!ハイパーモード・ステルスモード!変身、ワイルド・ジャンゴー!!」

「ハイパーモード・ブラックゼロ!カゲロウ起動!!」

アクセルとゼロはハイパーモードを発動した状態でアクセルはジャンゴーに変身し、ゼロはカゲロウを発動した。

「ローリングアサルト!!」

「零式突破!!」

ジャンゴーに変身したアクセルの体当たりとゼロの強烈な突きが左肩の超フォースメタルの支柱を粉砕した。

「何!?」

「やっぱり!いくら超フォースメタルでも、1つだけじゃ今のリディプスの巨体を強力な攻撃から守るだけの強固なバリアは張れない!今だよマリノ!!」

「任せな!!ハイパーモード・クイックシルバー!!」

クイックシルバーを発動し、高速移動でリディプスよりも先に超フォースメタルを回収したマリノ。

「頂き♪マッシモ!!」

「はい!ハイパーモード・ダイモニオン!ベルセルクチャージ!!」

ダイモニオンを発動したマッシモの最大出力の高出力レーザーがリディプスに炸裂した。

「ぐわあああああ!!」

超フォースメタルのバリアと自己治癒能力の恩恵を失い、まともに喰らったリディプスが仰け反る。

「フォーチュンカード…ロイヤルストレートフラッシュ!受け取りな、最後のカードだ!!」

「がはあっ!?」

全カードボムの威力を1枚に纏めた一撃がリディプスに炸裂し、追い討ちをかけるようにエックスが前に出た。

「ハイパーモード・Xファイア!喰らえ!!チャージコレダー!!」

再び炸裂するエックスの大技。

2つの超フォースメタルを失い、バリアと自己治癒能力を失ったリディプスには今度は通じた。

「調子に…乗るなああああ!!コードブレーカー!!」

「レイジングエクスチャージ!!」

カッとエックスが目を見開くと同時に、彼の全身が眩い金色のエネルギーに包まれていく。

それにより、リディプスの豪腕が弾かれた。

「何!?」

「シェルバスター!!」

コレダーからショットを連射し、炎属性を持っている上にレイジングエクスチャージで底上げされたショットはリディプスのボディを溶解させていく。

「ぐわあああああ!!」

連続攻撃を受け、ボディが溶解していくことにリディプスが絶叫する。

「行くよエックス!!」

「ああっ!!」

エックスがコレダーに、ルインが拳に全エネルギーを纏わせてリディプスに突撃した。

「そ、そんな…認めん…認めんぞおおおおっ!!」

「チャージコレダー!!」

「アースクラッシュ!!」

リディプスがエックスに高出力レーザーを放つが、エックスとルインのコレダーと拳に纏うエネルギーによって砕かれてしまう。

「「終わりだああああっ!!」」

そして2人の一撃はリディプスの胴体を貫いた。

「私が…、神の力が…!嘘だ!私が、私が負けるなど!…ぐっ…ぐああああああっ!!」

ダメージにより、変身すら維持出来なくなったリディプスが光に包まれて元の姿に戻り、仰向けに倒れていた。

全員がそれを見届けると、ハイパーモードを解除し、武器を下ろした。

スパイダーは動けないリディプスに歩み寄ると、リディプスに奪われていた自分のフォースメタルを回収した。

「こいつは返して貰うぜ。人のフォースメタルを好き勝手に使いやがって…」

拡張スロットから代替え用の物を外し、スパイダー専用のフォースメタル・ブラフを拡張スロットに差し込んだ。

「リディプス…」

「満足か?エックス…ルイン…」

「リディプス…大佐。どうして…一体何があなたをイレギュラーにしたんですか?」

エックスに代わるようにルインは静かにリディプスに尋ねた。

「イレギュラーか…。友情ごっこに浸り、変わろうとしないお前達の方が、私にはイレギュラーに思えるね」

イレギュラーとイレギュラーハンターもリディプスからすれば結局どちらも同じ存在でしかない。

命令でイレギュラーを破壊する彼らはリディプスからすれば同じだ。

「………あなたのコピーチップに刻まれたシグマのDNAデータがあなたを狂わせたの?」

忌まわしい100年前の記憶…かつてのルミネや新世代型のレプリロイド達のようにリディプスもそれで狂ったのか?

「ふふふ…シグマの…DNAデータか…愚かな連中だ…与えられた世界で、皆で仲良く…、いつまでも、これまで通り…。それだけがプリロイドの道だと思うか…?いつか…分かる…。我々自身の…手で…」

それだけ言うと、リディプスは機能停止して二度と動かなくなった。

エックス達は武器を収め、静かに機能停止したリディプスを見つめていたのだった。

しばらくして、大気圏に突入しそうなるため、エックス達は施設内部に入ろうとした瞬間にシグナスから通信が入った。

「シグナス?」

『エックス、無事か?』

「ああ、リディプスを倒し、超フォースメタルも回収出来た。そちらはどうなってるんだ?リディプスの残党は?」

『ああ、それに関しても何とかカタが付いた。今、エイリア達が準備をしている。だから安心して戻ってこい』

「ああ、ありがとうシグナス。あ、それから…1つ頼みがあるんだ」

『頼み?』

「ああ、反乱組織リベリオン及び、総統イプシロンのイレギュラー認定を保留して欲しい」

「っ!!」

エックスの言葉にフェラムは目を見開いた。

『…分かった。やってみよう』

「ありがとうシグナス…すまないフェラム。俺にはこれぐらいのことしか出来ない」

「いや…いいんだ。ありがとう…」

フェラムは2つの超フォースメタルを抱き締めながら、礼を言った。

「さてと、僕達も地球に帰ろう。もうクタクタだよ…早くルナを迎えに行ってやらないとね」

「出来れば超フォースメタルの欠片くらい欲しかったけど…」

マリノは残念そうにフェラムの持つ超フォースメタルを見つめながら呟く。

「エックス、この2つの超フォースメタルは私の手で宇宙に捨てる…それでいい?」

「ああ…超フォースメタルを捨てた後、一緒に地球に帰ろう。」

「………」

エックスの言葉にフェラムは目を見開いた。

曲がりなりにも敵だった自分を受け入れているエックスに一瞬だけイプシロンの姿が被る。

「エックス、早くしろ。急がないとそろそろ大気圏に突入だ」

「ああ」

エックスがゼロに振り返った瞬間にフェラムは電磁ウィップを発現させ、エックスを弾き飛ばした。

「ぐっ!?」

「エックス!あんた何を…あ…っ!?」

アクセルがエックスに駆け寄ってフェラムを見ると、この場にいる全員が目を見開いた。

「安心して坊や達。この超フォースメタルは誰の手にも届かない場所に持って行くから…」

それだけ言うと、フェラムは翼を羽ばたかせてこの場から凄いスピードで離れていき、凄まじい衝撃と共に眩い閃光がエックス達の視界を支配した。

フェラムは自ら超フォースメタルの波長を変化させ、爆発させたのだ。

「フェラムーーーっ!!」

エックスの絶叫がこの場に響き渡った。

そしてとうとう大気圏に突入し始め、マリノ達が施設の中に飛び降りる。

曲がりなりにも超フォースメタルのエネルギーにも耐えきったのだから大気圏突入の摩擦熱にも耐えられるはずだ。

「…………」

スパイダーはリディプスの残骸からコピーチップとDNAコアを取り出す。

「スパイダー、早く…あ」

「ん?どうした?エックス?」

途中で言葉を止めたエックスを不思議に思ったのか、首を傾げるスパイダー。

「ご、ごめん。俺達は君のことを知っているけど、君は初対面だってことを忘れてて…」

「ああ、そのことか…構わねえよ。エックス、リディプスのDNAコアとコピーチップだ。証拠とかに使えるはずだ、一応持っとけ」

エックスにリディプスのDNAコアとコピーチップを渡すと、スパイダーも施設の中に飛び降りる。

エックスも渡されたDNAコアとコピーチップを懐に入れると、施設の中に飛び降り、そしてハッチを閉じると地球に落下した。

幸運にもガウディル研究所の近くに落ちたようで、エックス達はハッチを吹き飛ばして外に出た。

「うわ…っ」

「眩しいです…っ」

朝日の輝きに目を手で庇うルインとシナモン。

「やっと地球に帰って来れたな…」

「何言ってんだよ。まだ1日しか過ぎて無いじゃないか…」

安堵の息を吐きながら辺りを見回すマッシモとマリノ。

「さあて、俺はこれからどうするかね…」

「賞金稼ぎ業を再開したら?」

「いや、今更俺に来る仕事があるのか微妙なとこだな」

「そこは大丈夫だよ。リディプスの奴があんたの姿で大暴れして有名になってたから、あんたが生きてるって分かれば、ジャンジャン仕事が来るよ」

「へえ、その辺はあの野郎に感謝だな」

アクセルがスパイダーとして活躍していたリディプスのことを思い出しながら言うと、スパイダーは笑いながら空を見上げた。

「あ、そうだ。スパイダー…これを」

「ん?…っ!?こいつはエールの…!」

エックスが差し出したエールのIDを受け取り、スパイダーは驚愕で目を見開いた。

「エールは命を懸けて俺達を導いてくれた…感謝している……」

自らを犠牲にしてまで導いてくれたエールのことをゼロは一時も忘れたことはない。

「そうか……へへ、あいつらしいよな…エックス。こいつは俺が預かっていてもいいか?」

「ああ」

スパイダーにエールのIDを渡すと、エックス達は研究所に向かう。

そしてギガンティスから逃げ延びた者達は、エックス達の無事を案じており、レジスタンスのメンバーの1人がある場所に顔を向けた瞬間に叫ぶ。

「エックス達だ!!」

「本当だ!おーい!アクセルー!!みんなー!!」

「グワッ!?シナモン…それに…」

ルナがエックス達に向かって走り出し、エックス達だけでなくスパイダーの姿まであることに目を見開いた。

「スパイダー…!」

一瞬、視覚機能がおかしくなったのかと思ったが、全員の方を見遣ると全員が歓喜の表情を浮かべており、アル長官は現実なのだと分かった。

「スパイダーさんだ!やっぱり生きていたんだ!!」

「シナモーン!!」

シナモンに駆け寄ると顔をぐしゃぐしゃにして泣くガウディルとそれに苦笑するエックス達。

西暦22XX年。

人工島ギガンティスにおけるレプリロイドの反乱はイレギュラーハンターによる強行偵察チームの活躍により解決を見た。

連邦政府は当反乱の首謀者をイレギュラー=リディプスと認定。

反乱組織リベリオン総統イプシロンのイレギュラー判決は保留された。 
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