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星河の覇皇

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第七十七部第四章 二度目の引き分けその二十九

「だからだ」
「サハラを統一するにも」
「確実に果たしますね」
「そうだ、獅子を倒し降してだ」 
 即ちアッディーンをというのだ。
「皇帝になるぞ」
「そうされますね」
「是非ですね」
「そうする、そして次の会戦の時に機会があればな」
 切り札、それをだ。
「その時はな」
「必ずですね」
「その切り札を投入され」
「そしてそのうえで」
「勝たれますね」
「そうする、ではいいな」
 こう言ってだ、そのうえでだった。
 シャイターンは今は自軍を退かせた、そうして前線近くまで持って来た移動基地に乗艦であるシャハラザードも入れたが。
 ここでだ、彼は基地に入る中でこんなことを言った。
「この移動基地はな」
「はい、本来はですね」
「我々の切り札でしたね」
「ティムール軍にとっての」
「そのつもりだったが」
 それがというのだ。
「やはりな」
「オムダーマン軍は強かったですね」
「アッディーン大統領は」
「その為です」
「役には立っていますが」
 軍の整備補給にだ、すぐ後ろに基地があることは相当に心強い。
「しかしです」
「あまりにも損害が多く」
「この基地だけではです」
「整備補給は間に合っていません」
「そうだ、だからだ」
 そうした状況になっているからだというのだ。
「あの切り札もだ」
「用意していますね」
「そうしていますね」
「用意は出来ているな」
 その切り札のとだ、シャイターンは幕僚達に問うた。
「既に」
「何時でも」
 幕僚の一人が答えた。
「戦場に投入可能です」
「ではな」
「投入されますね」
「そうする時が来たか」
「では」
「次の会戦ではな」
「戦場に持って行かれますか」
「本来は移動基地が切り札になったが」
 その筈だったがというのだ、戦闘に勝利する為の。
「あれだけでは駄目そうだ」
「ならばですね」
「それならばですね」
「ここはだ」
 まさにというのだ。
「あれを出す」
「オムダーマン軍は移動基地はありませんが」
「かなりの整備補給状況を整えていて」
「我々と変わらないですね」
「すぐに戦力を回復させています」
「戦場では損害と犠牲が出る」
 これは絶対のことだとだ、シャイターンは述べた。この二つが全く出ない戦争はどんな勝ち戦でもない。
「だがそれをだ」
「出来るだけ回復させる」
「そのことが大事ですね」
「損害と犠牲はどうしても出るものなので」
「それ故に」
「そうだ」
 まさにというのだ。 
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