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星河の覇皇

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第七十七部第四章 二度目の引き分けその二十六

「戦力を立て直したならばな」
「再びですね」
「この星系に主力を動かしてですね」
「敵にあたってもらいますね」
「是非な、では全軍撤退だ」
 アッディーンはここで遂にこの指示を出した、そしてだった。
 オムダーマン軍は疲労が限界に達し損害も八割近くに達しているまさに満身創痍かつ疲労の極みにあったがそれでもだった。
 アッディーンの采配の粛然と撤退に入った、それはティムール軍も同じであり。
 シャイターンの采配の下撤退に入る、シャイターンは自身は最後まで戦場に残り撤退の指揮及び後詰を行っていたが。
 そこでだ、彼はモニターに移る幕僚達に言った。
「これで今回の戦闘は終わったが」
「はい、引き分けでしたね」
「今回もそうでしたね」
「多くの損害を出しました」
「七割以上も」
「しかしだ」
 それでもというのだ。
「決着はつかなかった」
「残念ですが」
「そうなってしまいましたね」
「ではですね」
「次となりますね」
「そうだ、次の決戦では切り札を持って来る」
 シャイターンは強い声で弟達に答えた。
「そしてだ」
「今度こそですね」
「必ずですね」
「勝ちますね」
「オムダーマン軍に」
「勝利を収めてだ」
 そしてというのだ。
「さらにだ」
「戦線全体でも」
「攻勢に出ますね」
「そして一気にバグダート星系に向かいますね」
「オムダーマンの首都に」
「首都を陥落させても戦いが終わるとは限らない」
 確かに敵の経済や交通、経済の中心地を手に入れることが出来て戦略的に有利になる。しかも敵の首都を奪うことで敵の士気もかなり落とすことが出来る。戦争において決定的なことであることは間違いない。
 しかしそれで戦争が終わるかというとそうではない、戦争は時として最後の一人まで戦う場合もあるからだ。
「しかしだ」
「首都を陥落させれば」
「かなり大きいですから」
「今後の戦局でも圧倒的に有利に立てます」
「だからですね」
「戦線で勝ったならばだ」 
 自分達が現在いる国境においてのそれでだ。
「いいな」
「はい、まずはですね」
「バグダート星系に向かいますね」
「敵の首都に」
「そこに」
「そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「オムダーマンが降伏したならばな」
「その時はですね」
「サハラは」
「統一されて私が皇帝となる」
 サハラを統べる者になるというのだ。
「いいな」
「はい、それでは」
「その為にもですね」
「次こそは」
「切り札を出しますか」
「そうして勝つ、そして今の我が軍の損害だが」
 二度目も恐ろしいまでのそれが出た、だがそれでもというのだ。
「これ位はな」
「想定通りですね」
「確かに相当な損害が出ましたが」
「アッディーン大統領だ」
 敵がというのだ。 
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