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魔法少女リリカルなのはStrikerS~赤き弓兵と青の槍兵

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本編
  十九話~公開意見陳述会(中編)

side ヴィータ



「はあああああ!!!」
「ぬおおおおお!!!」



お互いのデバイスで打ち合いをする。鍔迫り合いになったとき、目の前の男に問いかける。


「ゼストっていったな。何企んでやがる。目的を言え!納得できる理由なら管理局は話を聞く!」
「………若いな」


そういうと、ゼストの周りに炎が現れた。
咄嗟に離れる。


「だが、いい騎士だ」


賞賛を送られるが、あたしはリインとの相談があったので返答はしなかった。


(リイン、気づいたか?)
(はいです!あの二人、融合相性が良くないみたいですね。ユニゾンアタックにずれがあります)


なら勝機はこちらにある……!




side アギト


旦那と打ち合える相手の実力にも驚くが、もっと厄介なのは…


(あの二人、融合相性がいいだけじゃなくて、錬度まで高いなぁ……)
(アギト、ユニゾンを解除しろ。フルドライブで一撃で落とす)


な、何言ってんだよ!


(馬鹿言うな!そんなことしたら旦那の体は……)
(持たせるさ。目的を果たすまではな!)


んなことさせられるわけねえだろ!


(旦那の事はアタシが守るって言ったろ!)


だからアタシは旦那のデバイスにありったけの魔力を送り込んだ。




side ノーヴェ


ありえねぇ………!こいつら、いったいなんなんだよ……!


「おいおい、その程度じゃねえだろ?」


くそ、青いやつのすまし顔がむかつく……!



あたし達は前線タイプ。クア姉とディエチ姉がやられた、と言っていたが、二人に比べ近接戦には圧倒的に強い。だから捕獲はできると思っていた。だが、攻撃がまったく通らねえ。後ろから攻めても、まるで後ろにまで目が付いているかのような動きで振り返りもせずに防がれる。さらに、あっちの攻撃は的確にこちらをとらえる。幸い一発ごとのダメージが少ないため、まだまだ平気だが、持久戦になったらまずい……!


そんな時だった。


「ノーヴェ、ウェンディ、チンクだ。応援を頼みたい。現在こちらはもう一機のタイプゼロ、ファーストの方と交戦中だ」


こいつら相手に逃げ切れるか……?と、思っていたら、


「任せろッス!」


ウェンディがいきなりスフィアで地面に射撃を始めた。すると壊れた床が煙幕を上げる。


「さ、行くッスよ」
「あ、ああ」


相変わらず無茶苦茶だが、これなら逃げられる……!



side 士郎


「逃げたようだな」


煙幕の中を去ってゆく二人の姿が見える。狙い撃ちしてもいいのだが、今の役目は足止めである。深追いするよりも今は皆と合流する方が優先だ。


「なんだよ、だらしねえやつらだな」
「不平を言うな、ランサー。さっさと合流地点に向かうぞ」
「そうだな」


足に強化をかけ、走る。
5分もすると合流地点に到達した。



side なのは


ロータリーに着いたとき、


「高町一尉!」


シスターシャッハが後ろから追いかけてきた。


「シスター、どうしてここに?会議室にいたんじゃあ……」
「会議室の扉は有志の手で開けられました。それで、私もお二人を追って……」
「はやてちゃん達は?」


会議室が空いたのなら出てくるはずだが……


「会議室に残り、現場の方に状況とガジェットについての説明をしています」


丁度その時、


「なのはさん!」


スバルたちがやってきた。
だが、


「ランスと士郎は?」


フェイトちゃんの問いかけに、


「先ほど戦闘機人と遭遇しまして、その足止めをして下さっています。その間にこれを渡すように頼まれました」


そういってティアナが差し出したのは私達のデバイス。


「ありがとう」


それぞれ自分のデバイスを受け取り、


「八神部隊長と騎士シグナムには私がお届けします」
「お願いします」


そのタイミングで


「よお、待たせちまったな」


士郎君とランス君がこちらに来た。


「あの二人はどうなりましたか?」


ティアナが問う。


「逃げちまったよ。俺はそいつらの迎撃に出るつもりだ」
「ここまで大規模に攻めてきている。外にも仲間がいるだろう。私はそちらを叩く」


交戦した相手の特徴について二人に聞こうとしたとき、


「ギン姉!?」


突然大きな声を出すスバル。


「どうしたよ?」
「ギン姉と通信がつながらないんです!」
「何だと?ロングアーチ、こちらスターズ5」
「スターズ5、こちらロングアーチ。現在、ガジェットとアンノウンによる襲撃を受けています!持ちこたえてはいますが……」


これはまずいね……


「二手に分かれよう。スターズがギンガの安否確認と敵対戦力の撃墜。ライトニングは六課に戻るよ!」
「「「「はい!」」」」
「シスターシャッハ、上のみんなをお願いします」
「この身にかけて!」


それぞれ移動を開始しようとした時、


「シスター、部隊長に伝えてくれねぇか?」


真面目な顔で話すランス君。



「何でしょう?」
「万が一の時は使え。これだけ言えば伝わるはずだ」
「わかりました。お任せください!」


話は終わったようだ。


「じゃあみんな。行くよ!」



side シャマル


六課へと来た襲撃者。ガジェットによるサポートやコンビネーションの良さに私とザフィーラは追い込まれていた。既に隊舎も半壊状態である。


「たった二人でよく粘ったね。でも、僕のIS、レイストームの前では抵抗は無意味だ!」
「クラールヴィント、防いで!」
[yes.]


放たれた光線を防ぐ。が、長くはもちそうにない。


「うおおおおおお!!」


大本の術者を攻撃するため、ザフィーラが飛び上がるが、


「ディード」
「IS、ツインブレイズ」


もう一人に叩き落されてしまった。


「がっ!」
「ザフィーラ!しっかりして!」


傷が深い。が、治癒に回す余力が今の私にはない。


「あきらめなよ。これであんた一人だ。いったい何ができる?」


その問いかけに、


「ここの守りを託されたからにはあきらめるわけにはいかないのよ!」
「ふーん。だけど、これも防げるの?」


そういってガジェットを呼び寄せ、私に向けて一斉射撃をしてきた。


ここまでね……みんな、ごめんなさい…
そうして私は目を閉じた。



side はやて


「!!!」


この感覚は……


「はやて、どうしたの?」


カリムが心配そうに聞いてくる。


「シャマルと、ザフィーラが……」
「!!まさか……」
「シグナム、ごめん!ここお願いや!!」


10年前と同じ感覚……みんなが消えた時の感覚……そんなことにはもうさせんって決めたのに……!
一心不乱に廊下を駆け、通信が通りそうな地下へと向かう。と、


「八神二佐!少しお話が……」


シスターシャッハと会った。


「ごめん!今急いでるんや!」
「ランスさんから伝言です!“万が一の時は使え”と!!」


シスターの言葉に手の甲を見る。そうや、もし重症だとしても治癒のルーン魔術が使えるランスなら……
そう思った私は、


「我が青き騎士よ!令呪をもって命じる!今すぐ六課の隊舎へ戻り、シャマルとザフィーラを助けて!」


令呪の一角がまた減り、その代わりに手の甲から莫大な魔力があふれた。



side フェイト


それは突然だった。


「これは!!」


ランスが驚いた様子でそういった次の瞬間、彼の姿はここにはなかった。


「ランスさん!?」
「いったいどこに……?」


だが、私はこの現象を知っていた。直接見るのは初めてだが。


「二人とも、落ち着いて。ランスは無事だから。今は六課に急ぐよ!」
「「は、はい!」」


納得はしていないみたいだが、返事はしてくれた。
と、その時だった。こちらに向けたエネルギー弾が発射されるのが見えたのは。


[sonic move.]


咄嗟にエリオとキャロを守る。
煙が張れるとそこにいたのは……


「戦闘、機人……」


それも二人。ここは……


「エリオ、キャロ、二人は先に行って」
「でも……フェイトさん一人でなんて……」
「……わかりました。フリード!」


キャロは渋ったがエリオはわかってくれた。


「エリオ君、どうして……?」
「アウトレンジから狙える相手がいるのに空戦のできない僕たちがいたらフェイトさんが全力を出せない。だったら当初の目的を完遂することを優先するのが僕たちのやるべきことだよ」


エリオ、だいぶ視野が広くなって戦術思考もいい感じになってきたね。
あっちはエリオに任せて、私はこの二人に集中だ!


「バルディッシュ、サードフォーム!」
[zanber form.]


そうして私は戦闘態勢に入った。




side ヴィータ



打ち合いを初めていくらかした時、


「む、オーバーSが動き出したようだな……ここまでか。撤退するぞ、アギト」


ゼストがユニゾンを解いた。


(ヴィータちゃん!)


リインが何かに気が付いたのか、話しかけてくる。


(なんだ?)
(シグナムがこっちに向かっています!)


よし、二人掛かりならこいつを捕まえられる!と、思った時だった。


(ヴィータちゃん、上です!)


リインの言葉に上を見ると、


「てめえらだけは、ここで落としていく!!」


さっきの融合機が特大の火炎弾を放とうとしていたところだった。


「くそっ!」


迎え撃つために一瞬ゼストから意識が離れた。その時



[Full Drive start.]


ゼストのデバイスが話すと、一足で距離を詰められた。
攻撃を受け止めるが、


「はあああああああ!!!」
「くっ、うわあああああ!!」


アイゼンは破壊され、吹っ飛ばされてしまった。



「くそっ、待ちやがれ……」


立ち上がり、追いかけようとするが、


「えっ?」


突然ユニゾンが解除された。


「リイン?おいリイン!?」


反応がない。なんで……


「しっかりしろ!リイン!」


あたしのむなしい叫びだけが虚空に響いていた。




side シグナム



「むっ、アレは……?」


ヴィータの増援に向かっている最中、進行方向から向ってくる影が。


「ヴィータと戦っていたやつか!」


かなり高速で飛んでいたが、今から追えば捕まえられる!
そう判断し、追おうとしたが、


「シグナム……リインが……アイゼンも!」


ヴィータから通信で悲痛な叫びを聞いて、私は追うのをやめた。
今はヴィータの元へ向かうのを優先した方がいいだろうからな。
そう判断し、ヴィータの元へ向かった。




side 士郎


私たち四人はギンガがいるポイントへと向かっている。が、


「ちょっとスバル!先行しすぎ!!」


姉の安否が気になっているのだろう。スバルが先行しすぎている。


「ごめん、でも大丈夫だから!」


原因はもう一つある。ティアナは飛行できないため、なのはに抱えられて移動しているのだ。
そのため速度があまり出せない。


「もう、ほんとにあの子は……!」
「こういう入り組んだところはスバルの方が早いのは仕方がないよ。だったら私たちが急ぐしかないよね。ちょっと揺れるけど、スピード上げるね」


しかし、本当に行き過ぎだ。サポートについた方がいいかもしれんな。


「なのは、私も先に行こう。一人だけで行かせるのは危険だ」
「そうだね……お願いできる?」
「ああ」


私は飛行をやめ、地面に降りる。そして、そのまま身体強化の魔術をかけ、疾走した。


「えっ………はや!」


後ろからティアナのそんな声が聞こえたがそのまま最高速度を維持して走り続けた。



side ティアナ



スバルを追うために見せた士郎さんの速さ。はっきり言って異常だった。
身体強化をかけたとしても、あのレベルを出すには少なくともAAAランクは必要なはず。
驚いていたのはなのはさんも一緒だった。


「えっ………はや!」
「フェイトちゃんのソニックムーブ……とまではいかないけどかなり速いね…」


本当にあの人は何者なのだろうか。
爆発する剣。魔力を消す槍。対象を追い続ける矢。
ありえないものばかりを出している。
だが、今はそんなことを考えている暇はない。
私は思考を切り替えて戦闘に備えることにした。



………だが、この後すぐに知ることになる。
彼のさらなる異常さを。 
 

 
後書き
更新完了で~す


なんかさらに長くなりそうな予感……


とりあえず次で陳述会編は終わらせます。


ではまた次回お会いしましょ~う(^O^) 
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