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どうして行き来しているのか

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第二章

 リリカは自分の前に集まって来た彼等にご飯をあげた、自分も食べたが。
 まずは彼等に食べさせてからだった、夫婦はその彼等を見てわかった。
「そうか、ああしてな」
「ここにいる皆のご飯を運んでいたのね」
「そうだったんだな」
「あんな長い危ない道を歩いて」
「そうしてな」
「立派な娘ね」
「ああ、だったらな」
 それならとだ、夫は妻に話した。
「俺達もな」
「その気持ちに応えないといけないわね」
「そうだな、どうするか」
 夫婦は帰り道を一緒に歩きながら話した、そして。
 次の日リリカにご飯を渡す時にご飯を袋に入れて渡した、妻は彼女にそのご飯を粟つぃてから笑顔で言った。
「これなら持ち運びやすいわね」
「これからはずっとそれで皆のところに運んでくれ」
 夫もリリカに言った。
「そうするんだ」
「それと私達も廃品置き場に行くわね」
「ご飯置いていくからな」
「皆で食べてね」
「ワンッ」
 夫婦の言葉にだった、リリカは。
 有り難うといった声で尻尾を振って応えた、そしてだった。
 彼女は袋でご飯を運ぶ様になった、夫婦自体も廃品置き場に仕事の帰りに行ってそのうえでそこにいる生きもの達にご飯をあげた。
 そこにいる彼等はこれまで以上に多くのものを食べられる様になった、夫はその様子を見て妻に話した。
「リリカがああして頑張ってるならな」
「私達も頑張らないとね」
「ああ、それじゃあな」
「これからもね」
「リリカにご飯をあげて」
 袋に包んだそれをというのだ。
「そしてね」
「あっちにもご飯を持って行ってな」
「助けていきましょう」
「うちは流石に飼育の限界でも」
「やれることはしないとね」
 夫婦でこう話した、そして。
 家族で生きものの為に心を砕き実際に動いていった、そうして多くの生きもの達を助けていったのだった。


どうして行き来しているのか   完


                  2021・4・23 
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