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ロックマンX~Vermilion Warrior~

作者:setuna
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Mission:9 阿修羅

モニタールームに集まったスパイダー以外のメンバー。

エックス達はモニターを見つめていた。

「通信、入ります。リディプス大佐です」

「繋げてくれ」

少しの間を置いて、リディプスの姿がモニターに映る。

『聞こえるかエックス?ルインは?ルインはどうだった?』

「ルインは生きていました。合流して今は一緒に。」

「ご心配をおかけしました」

『そうか…では、お前達に調べて欲しい場所がある……』

エックス達にリディプスが指示を出そうとした途端に音声にノイズが入り始めた。

『…らしい情報が入った。リベリオンの…重要施設…これを見てくれ』

モニターからリディプスの姿が消え、代わりにモニターに坑道のような物が映る。

『リベリオン…の…秘密研究所だ…奴ら…ここ…何か重大な…研究…』

モニターのノイズが酷くなり、とうとう映像どころか音声も聞こえなくなってしまった。

「モニターが映らねえ…どれだけ電波障害が酷いんだか…」

早速少しでも通信出来るようにと通信機器の調整を始めるルナに、アルはモニターに映った坑道を調べるようにナナに指示を出す。

「ナナ…あの建物の位置を割り出せるか?」

「はい、多少時間はかかりますが」

「ああ、頼む」

「エックス達は位置の割り出しが終わるまでの間、買い物にでも行ってきたらどうだ?今なら新しいアイテムも売ってるかもだし」

調整しながらルナがエックスとルインに買い物を提案する。

「そうだね、エックス…エアシティに行こうよ。何か情報が手に入るかも」

「そうだな…行こうかルイン」

エックスはルインと一緒にモニタールームを後にした。

ルインを伴ってエアシティに向かうためにエアバス乗り場に向かおうとするエックス。

「ん?」

向こうで一瞬だけだが奇妙な光が見えた。

「どうしたのエックス?」

「あ、さっき、そこに光が…」

「光…?」

ルインが不思議そうにエックスの目線を辿るとスパイダーの姿があった。

「あそこにいるのスパイダーだよエックス?」

首を傾げるルインだが、2人の視線に気付いたスパイダーもこちらを振り返る。

「よう、お2人さん。どうかしたかい?」

「あ、ああ。さっき、リディプス大佐から連絡があって」

「リベリオンの秘密研究所らしき物を発見したんだって、今はナナが場所を割り出している最中」

「なるほど、リベリオンの秘密研究所ね…俺も是非連れて行って欲しいね」

「ただ働きは嫌じゃなかったのか?」

エックスにしては珍しくからかうように言う。

何だかんだでエックスもギガンティスの仲間と打ち解け合えているのだろう。

「リベリオンの奴らが何しようとしているのか気になるんだよ。奴らのくそったれな理想とやらにさ…」

「そうだね…イプシロンは一体何を企んでいるのか………今考えても仕方ないね。買い物はまた今度にしよう」

「ああ」

「悪いねえ、デートの邪魔しちまって」

「スパイダー…」

赤面しながら睨んでくるエックスをスパイダーは笑いながらこの場を去る。

モニタールームに戻ると、やはり電波障害の影響はどうにも出来なかったのか、ルナは工具を取り出してアクセルのオートバレットを弄っていた。

特にギガンティスで入手したオートバレットに興味津々のようだ。

「ふーん、威力よりも手数重視の銃なのか…小回りの利くガトリングみてえで面白いな…でもこれだともうちょい安くても良い気もする…いくらだったんだこれ?」

「75000ゼニー…」

「ぼったくられたなー…」

「やっぱりね…ははは…」

ルナから見てもう少し安くても良さそうだと見たようで、それを聞いたアクセルは乾いた笑いをした。

「アクセル、それはよそ者なら誰でも通る道だ」

「エックスもぼったくられたの?」

「…ちょっとな」

セントラルタワーに初めて訪れたあの時は余裕がなかったが、今では少し高いのではないかと思ったのである。

「画像解析出来ました。この建物があるのは恐らく…」

エックス達の会話に苦笑しながらモニターに先ほどの画像の坑道がある建物が映し出される。

「ギガンティス南西、エアーズバレー周辺です!」

「ふうむ…規模からして、相当に大掛かりな研究をしておるようじゃな」

「リベリオンの秘密研究所なんだから……やっぱりそれなりに守りが固いだろうね。」

「だが、危険な分、得られる物も多いはずだ。」

「ああ、だが大勢で行くのは危険だ。最初は少人数で向かった方がいい…アクセル、シナモン…一緒に来てくれるか?」

エックスが最初に潜入するメンバーとして選んだのはアクセルとシナモンだ。

アクセルは多用は禁じられているが、コピー能力を持つために潜入捜査を誰よりも得意としている。

シナモンはガウディルの娘なので機械関連に強く、後方支援も出来るし例のグローブも使えるのでかなり頼りになるだろう。

「それじゃあ俺も連れて行ってくれるかい?俺もこういうのにうってつけだと思うがね」

「確かに…分かった」

スパイダーもアクセル同様、光学迷彩を使えるために確かに潜入捜査に向いているだろう。

エックス、アクセル、シナモン、スパイダーの4人が転送システムに乗り込んでギミアラ採掘場に向かう。

そして転送システムから出ると、ギミアラ採掘場の入り口に立つ。

「ここにリベリオンの秘密研究所があるんですよね?」

「そうらしい、だがリベリオンが俺達を黙って行かせてくれるとは思えないが…」

「守りが固けりゃ、それだけ重要な場所ってことさ…行こうぜ」

「うん、みんな…警備システムに引っかからないでよ」

この中で最も潜入捜査を得意とするアクセルが先頭に立って、先に進む。

その姿を見ていた者に気付かずに地下2階に降りると通路に岩が転がり、道を塞いでいる。

「こりゃあかなりの硬さだね。変身して壊しても良いけど、派手なことしたら見つかるだろうし…シナモンのグローブで壊せないの?」

「うーん、駄目みたいです。エックスさんのバスターはどうでしょう?」

破壊力抜群のにゃんこグローブでも砕けないのでシナモンも困り顔だ。

「いや、あまり派手に動かない方がいい。下手をしたら俺達の位置が敵にバレてしまう…仕方ない。ナナに通信をして、誰かに削岩機を…」

「おいおい、それまで待ちぼうけ…ん?」

岩の向こうからエンジン音が聞こえて全員が耳を澄ませると、どんどん音が大きくなる。

「あの…何か迫ってきてませんか?」

「うん、みんな…避けて!!」

全員が横に飛ぶと、赤い物体が岩を粉砕して飛び出してきた。

「あれはラッシュローダーか?何だあのパワーは?」

あのタイプのメカニロイドは確かにパワーはあるが、あれほどとなると異常である。

「いいモーター積んでんなあ」

「感心している場合か!!」

「落ち着きなよエックス。取り敢えずあれを止めないと!」

アクセルがオートバレットを抜き、向かってくるラッシュローダーを蜂の巣にして破壊すると1つのパーツが転がる。

見覚えのないパーツをエックスが拾うと、ガウディル博士が通信を寄越してきた。

『儂グワ!ガウディルグワ!こんな所にブーストパーツがあるとは知らなかったグワ…それを装備すればダッシュの威力が向上するはずグワ…ただし』

「いいねそれ!僕に着けさせてよエックス!」

『ア、アクセル!待つグワ!駄目グワワッ!普通のレプリロイドが着けると暴走する危険性があるグワ!それを着けられるのは、新型アーマーを着けているエックスくらいグワ!』

「ちぇ、いいなあエックス。そうだ、ダッシュの威力が向上したなら…」

「きっとあの岩も壊せますよね!私が着けますからエックスさんは座って下さいね?」

「はは、お疲れさんエックス」

アクセルとシナモンの期待の入った視線とスパイダーの苦笑にエックスは溜め息を吐きながら改造を受けることになった。

そしてブーストパーツを装備したエックスのハイパーダッシュで岩を粉砕しながら突き進むと、端末を発見してそれを操作すると更に下の階に行けるようになった。

エックス達はリフトのある場所に戻ると地下3階に降りると、エックスの表情が驚愕から激しい怒りのそれに変わる。

「貴様っ!シャドウ!!」

自分達を裏切った元イレギュラーハンター・シャドウ。

「久しぶりだなエックス。それにアクセルまで一緒とはな」

「やあ、シャドウ。可愛い後輩にまた会えて嬉しいよ。まさかイレギュラー化しちゃうとはねえ…シャドウ、裏切り者にはそれなりの報いを受けてもらうよ」

それぞれが武器を構えると、シャドウも左腕のレーザーエッジを向ける。

「ふん…お前達がここに来たということは超フォースメタルを嗅ぎつけたというわけだな。」

「超フォースメタル?何のことだ!?」

「普通のフォースメタルと違うんですか?」

フォースメタルジェネレータを搭載しているレプリロイドであるシナモンすら知らないようだ。

超フォースメタルと言われているだけあり、普通の物とは違う特別な物だろう。

「惚けるなよ…我々リベリオンが開発している改良型フォースメタルは、我ら…いや、全レプリロイドの理想のために必要な物だ!貴様ら政府の犬に、易々とは渡さんぞ!!」

「理想?興味あるねえ、一体全体超フォースメタルって奴で、何が出来るんだい?」

「能書きは良かろう…お前達の体に教えてやる!来い!!1人ずつバラしてやるぜ…!!」

「言うじゃない、イレギュラーの仲間になった裏切り者さん!先輩として処分してあげるよ!」

「やれる物ならやってみろ!出来損ないのプロトタイプ風情にそれが出来るならな!!」

レーザーエッジを構えてアクセルに突撃する。

「っ、速い!!」

ハンター時代とは比較にならない速さに目を見開きながらもオートバレットを交差させてレーザーエッジを受け止めるアクセル。

「アクセル!」

「大丈夫だよエックス!今度はこっちの番だ!」

シャドウのレーザーエッジを弾くとオートバレットによる一斉掃射が繰り出された。

「ふん…遅過ぎて欠伸が出るぜ」

オートバレットの弾幕を簡単にかわすシャドウ。

アクセルの非力さをカバーするために連射性能の高い銃だと言うのに掠りもしない。

「流石に射撃能力はエックス以上だ。しかし正確過ぎるためにかわすのは簡単だぜ…爆砕砲!!」

「避けろ!」

シャドウのキャノン砲から発射された重力弾をかわすと、エックスはハイパーモードを発動してシャドウに接近戦を仕掛ける。

「超フォースメタルの強化を受けた俺に接近戦を挑むだと?正気とは思えんな!」

「Xコレダー!!」

コレダーをシャドウに叩き込もうとするが、シャドウには難なくかわされてしまう。

「スパイダー!」

「しょうがねえな!」

アクセルとスパイダーは遠距離からシャドウに攻撃する。

エックスの相手をしながらアクセルとスパイダーの攻撃をかわすのは困難なのか、攻撃が当たり始めた。

「チッ…」

「えーいっ!」

シナモンが小型ミサイルポッドから2発のミサイルを放ってきた。

このツインミサイルは攻撃方法がグローブしかないシナモンの貴重な遠距離攻撃が出来る武器である。

戦力外と思っていたシナモンからの予想外の攻撃にシャドウはミサイルをまともに受ける。

「喰らえ!チャージコレダー!!」

シナモンが作ってくれた隙を逃すまいと、エックスはチャージしたコレダーのエネルギーを叩き込む。

「ぐおおおおっ!?」

チャージコレダーをまともに受けて吹き飛ぶシャドウ。

「やったか!?」

スパイダーが油断なく倒れたシャドウを見つめる。

そしてシャドウは歪んだ笑みを浮かべながら立ち上がり、尋常ではないエネルギーを放出した次の瞬間、シャドウの姿は掻き消え、エックス達は壁に叩き付けられる。

「が…っ!?」

一瞬エックスは何が起きたのか分からず目を見開くが、シャドウがエネルギーを解放した瞬間に更にパワーアップしたことに気付いた。

「エ、エックスさん…あの人から、物凄いフォースメタルのエネルギーを感じます…」

「ちょ、超フォースメタルって奴…?」

「たく…リベリオンの奴ら、何て物を作りやがるんだ…」

超フォースメタルの想像以上の力にスパイダーは思わず悪態を吐いた。

「エックス、分かるだろう?俺は強くなった。これが超フォースメタルの力だ。俺はイプシロン様に忠誠を誓い、力を授かったのだ!」

嘲笑いながらエックスを見下ろすシャドウだが、エックスはそれを睨み返す。

「そんな力のために仲間を売ったのか!?何が理想だ!お前達は力に溺れたイレギュラーだ!!」

「イプシロン様をイレギュラー呼ばわりするのは許せんな…エックス、お前なら仲間にと思ったが、此処までだな。せめてもの情けだ。あの女の所へ送ってやる!!」

「そうはさせないよ!」

突如天井が破壊され、そこからルインが現れてシャドウにZXセイバーによる一撃を浴びせる。

「ぐっ!?貴様…生きていたのか…」

「ルイン!」

「間に合って良かった…ようやく会えたねシャドウ。君にたっぷりとお返ししてあげる!第2ラウンド、行くよシャドウ!!」

「ぐっ!お前、あの高さから落ちて何故生きている!?」

「私に飛行用のアーマーがあるの忘れてた?何とか換装してホバーで落下の衝撃を和らげたんだよ。まあ、それでも君から貰ったダメージや落下のダメージも酷かったからダメージが回復するまで身を隠してたんだ」

「くそ、なら今度は粉々にしてやる!覚悟しろ!!」

キャノン砲のエネルギーチャージを開始するシャドウはルインに大爆砕砲を放つつもりなのだろう。

「甘いよ!メガトンクラッシュ!」

FXアーマーに換装し、ナックルバスターでのパンチをシャドウに叩き込んでチャージを妨害する。

「ぐあっ!?」

「それはチャージに時間がかかる!妨害は簡単だよ!みんな!一斉攻撃だよ!」

「OK!変身!ゲヘナフレイム!!」

ジェントラーに変身したアクセルが杖を一振りし、シャドウを灼熱の業火で焼いた。

「えいっ!!」

「そらよっ!!」

怯んだシャドウにシナモンが全力のビンタを叩き込み、スパイダーが絶え間なくカードボムを連射する。

「エックス!」

「ああ!」

「「喰らえ!!」」

コレダーとナックルバスターを同時に叩き込まれたシャドウは壁に強く叩き付けられた。

「ぐっ!くそおっ!俺の力はこんなもんじゃねえ!シールドブレイク!!」

防御に回すエネルギーを0にする代わりに攻撃力を大きく増大させるシャドウだが、最早それだけではエックス達は止まらない。

「くたばれ!」

まずは接近戦を仕掛けるのに邪魔なアクセルとスパイダーに爆砕砲を放ち、爆発が起きた直後にルインとエックスに迫る。

「来るよエックス!」

ナックルバスターでレーザーエッジを受け止めながら叫ぶと、エックスはコレダーでシャドウに殴りかかる。

攻撃力は確かに凄まじいが、防御エネルギーのシールドを犠牲にしたことで射撃系の武器に極端に弱くなっている。

アクセルとスパイダーを即座に倒そうとしたのがその証拠だ。

「大体俺はお前達が前から気に入らなかったんだよ!正義だの信念だの!そんな物が何の役に立つ!力こそが全てなんだよ!力があれば何だって出来る!俺の望む物全て…」

「残念だねシャドウ。力が手に入ってもあんたが欲しい物は手に入らないよ」

アクセルの声が響いた直後にシャドウの全身を無数のショットが貫いた。

「な…にぃ…!?」

「ステルスモードであんたの攻撃を無効にさせてもらったよ。コピー能力の応用なんだけどね」

ステルス時の特殊な磁場によりシャドウの攻撃を受け流し、チャンスを狙っていたのだ。

「これで終わりだシャドウ!」

「お別れだよ!」

通常状態に戻ったエックスは腕を新しく新調したターボバスターに変形させる。

このバスターは武器エネルギーが多い程に攻撃力が増すと言う特殊な武器で、エックスはサブウェポンとして装備している武器エネルギー増幅装置のジェネレータと攻撃力アップ装置のパワーチャージ。

この組み合わせから放たれるターボバスターのショットは今のシャドウには致命的な一撃である。

当然ルインも武器の強化を行っており、ZXバスターのショットの威力も相応に上がっている。

「チッ!」

ダメージを受けた上にシールドが0の状態で受ければ即死であるシャドウは逃走を図ろうとする。

「残念だったな」

何もない場所から放たれたカードボムがシャドウに直撃して体勢を崩させた。

スパイダーもハイパーモードを発動させて攻撃のチャンスを狙っていたのだ。

「「砕け散れ!!」」

2人のバスターから放たれたショットの直撃を受けたシャドウはダメージに耐え切れずに爆散し、撃破を確認すると基地に通信を繋いで待機中の仲間を全員呼んだ。

「つまりリベリオンはここで超フォースメタルっていうお宝を開発しているってのかい?」

「シャドウの話ではそうらしいよ」

「リベリオンの理想とやらのために超フォースメタルが必要らしい」

「そうか…それにしてもシャドウ…馬鹿な奴だ。超フォースメタルだか何だか知らないが…そんな物のためにハンターの魂を売るとはな…!」

「ゼロ、気にするなよ…。もう過ぎたことだ」

シャドウの裏切った理由を聞いたゼロが苦々しい表情を浮かべながら吐き捨てる。

そんなゼロをマッシモが宥める。

「ああ…」

「取り敢えず、先に進もうよ。シャドウを倒したから、更に下の階に行けるようになったんじゃないかな?」

「いいえ、私達がこちらに来る時も表示されたのは地下3階までですよルインさん」

「ええ?本当に?じゃあ、また端末探さないといけないの?面倒だな。ルイン、床を壊して先に進もうよ。もう潜入とか言ってる場合じゃないし」

「駄目だよ。もし、真下に秘密研究所があるなら、秘密研究所が滅茶苦茶になっちゃうし、下手したら危険物があるかもしれないじゃない」

「やっぱり駄目か…仕方ないな。端末を探そう…それにしてもここはディグレイバーが多いね。サボってるのいるけど」

「あれは色違いのツルハシを持ってるからです。博士から聞いたことがあります、ディグレイバーは専用のツルハシがないとお仕事をしないらしいんです」

「それってイレギュラーじゃない…?」

「ディグレイバーはそういうメカニロイドなんだ。仕方ないさアクセル」

「お前は甘いな。専用の道具がないくらいでサボるのなら、俺からすればイレギュラーだぞ」

そうして端末を探すエックス達。

しばらくしてマリノと一緒に端末を探していたシナモンから合図が出て、2人の反応を頼りに向かう。

合流したエックス達はシナモンとマリノから話を聞いて脱力してしまった。

「つまり端末を直すために必要なエレキパーツをこの採掘場にいるディグレイバーの1体に持って行かれてしまったと?」

「そうなんだよエックス。しかも困ったことに顔は覚えてないらしいよ」

「この採掘場にいるディグレイバーを全員調べろと言うのか?それなら損傷覚悟で床を破壊して下の階に行った方がまだマシだ」

このままではどれだけの時間がかかるのか分からず、ゼロは背負っていたソウルセイバーで床を破壊しようかと考え始めた。

「いやいや、この黄色いツルハシの持ち主がエレキパーツを持って行ったのは間違いない。頼む、ちょいと行って探してきてくれ!」

「はあ…」

「それにしても兄ちゃん。若いのに随分鍛えてんだな。いい体してるぜ、この採掘場で働か」

「遠慮します…」

「またバラバラになって探そう」

マッシモは苦笑しながら提案すると、スパイダーも同意する。

「そうだな、固まって探すよりずっと効率がいい。」

黄色いツルハシを受け取り、エレキパーツを持つディグレイバーをバラバラに散って探すエックス達。

黄色いツルハシのディグレイバーを発見したのは、数十分後であった。

エレキパーツと偶然手に入れたトレードシートを持って監督レプリロイドの元に戻ってきたエックス達。

「何とかエレキパーツと…ついでにトレードシートを回収出来たよ…」

監督レプリロイドにエレキパーツとトレードシートを差し出すエックス。

「おお!見つけてきてくれたか!ありがとよ!やっとこいつを直せるぜ!!しかもトレードシートまで…恩に着るぜ!これで仕事が滞りなく出来る…よし、修理して地下4階に行けるようにしておいたぜ」

「ありがとう、行くぞみんな」

「いよいよリベリオンの秘密研究所だな」

エックスとスパイダーの言葉に全員が気を引き締めてリフトのある場所に戻ると地下4階に降りる。

地下4階に着くと高エネルギー反応が扉の奥からするのだが、ロックが掛かっているために開かない。

「チッ、シナモン。ロックを解除出来ないか?」

このメンバーで最も機械に詳しいシナモンにロックの解除は出来ないのかを尋ねる。

「えーと、この扉のロックは他の場所にロックを解除するためのコアがあるみたいです。それを止めないと進めません。」

「じゃあ、この横の扉にあるんじゃない?途中でそれらしいの無かったし」

アクセルが指差した扉を見遣ると全員が頷いて扉を潜ると、そこにはファイアボーンとリキッドボーン、サンダーボーンが複数待ち構えていた。

「ボーンシリーズ!?こいつら特殊液体金属だから攻撃が効きにくいんだよね。」

「相性の良い武器か、攻撃力の高い武器で戦うんだ!」

ファイアバスターでサンダーボーンを攻撃するエックス。

「こう言う敵にはこいつが一番手っ取り早い!」

ゼロもソウルセイバーを構えてジャンプすると、回転の勢いを利用して剣を振り下ろし、エックスの攻撃で弱ったサンダーボーンを一刀両断する。

「皆さーん!ドメガブリザードを投げますから、危ないですから退いて下さーい!」

シナモンが氷属性のエレメントボムを投擲するとリキッドボーンが極低温に襲われる。

「ちょ、何してんのさシナモン!?リキッドボーンは氷属性…」

「いや、多分あれで合ってるぜ!」

ドメガブリザードをまともに喰らったリキッドボーン達は液体金属を凍らされて動けなくなる。

「そうか、リキッドボーンはボーンシリーズで水に近い液体金属を使っている。だから凍らせてしまえば動けなくなるわけか!流石ガウディル博士の娘さんだ」

「よーし、一気に畳み掛けるよ!」

マッシモがシナモンの機転に感心し、アクセルも好機と見てオートバレットを構えるとショットを乱射して凍結したリキッドボーンを蜂の巣にする。

「後はファイアボーンだけだね!ルナから取って置きの武器を作ってもらったんだ!!」

ルインはどこから取り出したのか小柄に見合わぬ怪力で大型のミサイルポッドを持ち上げてファイアボーンに向けた。

「へ!?何だいそのデカブツは!?」

「ルナお手製の超高エネルギーを圧縮した改良型フォトンミサイルだよマリノ!ルナ曰く威力がありすぎるせいで一発しか撃てないけどファイアボーンは確実に倒せるはず!せーの…ファイアーーーッ!!」

「ちょ、ちょっとストップ!こんな狭い場所でとんでも火力のミサイルは…」

アクセルの制止は間に合わず、ポッドからミサイルが発射されてしまい、フォトンミサイルの爆発の余波をまともに受けたエックス達ハンター組は昔のルナが武器は火力を重視する技術者であったことを思い出したのであった。

全員煤だらけになり、部屋を出るとルインは正座をしてエックスからの説教を受けることになったのである。

「うう…ごめんなさい…えっと、これで扉が開くかな?行ってみようよ」

来た道を戻り、通路に出てロックされていた扉を見遣るとロックが解除されていた。

「……行くぞ」

扉を潜るとそこにはギミアラ採掘場のリベリオン幹部らしきレプリロイドがおり、今までのリベリオン幹部とは全く異質な阿修羅を思わせるレプリロイドであった。

「来たか…シャドウの奴では足止めにならなかったというわけだな…」

「液体金属…でしょうか?」

「多分ね、あいつは見たところファイアボーンみたいなものだと思うよ」

異様なレプリロイドのボディを見つめながら呟くシナモンとルイン。

「総統から少しばかり超フォースメタルを貰ったとはいえ、所詮はイレギュラーハンターから寝返ったような奴だからな」

「おい、ここはリベリオンの研究所じゃないのか?」

研究所にしては設備が何もないことに訝しむスパイダーをレプリロイドは嘲笑う。

「愚かな連中よ。お前達は罠に落ちたのだ。このエンシェンタス様のな」

「罠だと?」

嘲笑うエンシェンタスの言葉に流石のスパイダーも声に焦りが混じる。

「そう、ここには超フォースメタルなどありはしない。お前達間抜けなレジスタンスを釣るための偽情報さ!!」

突如エックス達の背後の扉に電磁バリアとロックがかけられる。

【!?】

「これでお前達は袋の鼠だ。この建物から俺以外のレプリロイドは決して転送出来ない!!」

「ふざけないで!私達がそう簡単に鼠になると思う!?」

「俺の身に着けた超フォースメタルはシャドウの比ではないぞ?それでも戦うと言うのなら、相手になってやろう」

「借り物の力でいい気になるなイレギュラー!!」

「あいつは炎属性…なら氷属性のアーマーで!LXアーマー!!」

ソウルセイバーによる一閃と、氷属性をもったハルバードによる一撃をエンシェンタスに喰らわせる。

「ぬっ!?」

強烈な一撃と弱点属性の攻撃を喰らったエンシェンタスが僅かに後退した。

「2人共、離れて!!」

遠距離からオートバレットの連射をお見舞いするアクセル。

「よし!そらあああっ!!」

怯んだエンシェンタスにホバーで接近してランサーの一撃を見舞うマッシモ。

「アイスミサイル、発射!!」

シナモンも続くようにミサイルポッドから氷属性のミサイルを発射して直撃させる。

「ふふふ…」

弱点属性のアイスミサイルの直撃を受けながら不敵な笑みを浮かべるエンシェンタス。

「どういうことだ?アイスミサイルが効いていない?」

「簡単だ。こいつは液体金属の属性を変化させることが出来る特殊液体金属型レプリロイドなんだよ!フォーチュンカード…チッ、ワンペア!!」

エックスの疑問に答えながらスパイダーはフォーチュンカードを発動するも、一番威力が低いワンペアが出た。

「ならば話は早い。無属性の攻撃で仕留めればいい!ハイパーモード・ブラックゼロ!零式突破!!」

ゼロのソウルセイバーは無属性武器なので、如何にエンシェンタスが属性を変えようと関係ない。

「中々やるな…だが俺も本気を出した訳ではないぞ」

エンシェンタスは雷属性に変更すると雷撃を繰り出してくる。

「面倒臭い相手だねえ…!」

「だが、無属性の攻撃で攻めれば関係ない!」

ルインの呟きにマッシモが答えながらランサーをエンシェンタスに叩き込む。

「属性をコロコロ変えてもそれに対応した攻撃をするまでだよ!ファイアコメットを喰らいな!!」

「バイタルスクラッチ!えいっ!!」

「変身、マッハ・ジェントラー!ゲヘナフレイム!!」

「ハイパーモード・Xファイア!Xコレダー!!」

「チャージセイバー!!」

マッシモに続くように全員が一斉に攻撃を叩き込み、エンシェンタスにダメージを与えた。

「なるほど、そろそろ本気でやらねばならんな。覚悟しろ!!ハイパーーーー!!」

エンシェンタスの液体金属が炎属性に変わり、エネルギーが上昇していく。

「こ、このエネルギーは…!?」

「阿修羅ナックル!!」

シャドウとは比べ物にならない超フォースメタルのエネルギーに戦慄するエックス。

そしてエンシェンタスの6つの手から無数の超圧縮エネルギー弾が放たれ、誘導性能を持っているのか全員に直撃する。

「痛っ…」

他のメンバーよりまともに喰らったのか、シナモンが壁に叩き付けられてダメージで座り込んでしまう。

「次は絶対零度を喰らうがいい、永久氷河!!」

「うわああああ!?」

氷属性に変更したエンシェンタスの絶対零度の冷気をまともに受けるアクセル。

「アクセル!?」

「次は貴様だ!裁きの雷!!」

「うあっ!?」

アクセルに駆け寄ろうとしたルインにエンシェンタスは間を置かずに雷属性に変更すると、ルインに強烈な雷撃を落とした。

「灼熱の火炎!!」

最後に炎属性に変更したエンシェンタスが、全員に灼熱の業火を喰らわせ、三大属性の大出力攻撃をまともに喰らったエックス達。

「むっ!?」

「エンジェリックエイド!!」

ハイパーモード・アイアンメイデンを発動したシナモンはエンジェリックエイドによる回復で全員を守った。

「助かったぞ!!」

「よくもやってくれたね!お返しだよ!!ハイパーモード・クイックシルバー!!」

専用装備のカゲロウを二重発動したゼロとハイパーモードで強化したマリノがエンシェンタスに突撃し、怒濤の連続攻撃を仕掛ける。

「ぐっ!阿修羅ナックル!!」

「下がれマリノ!!」

ゼロが咄嗟にソウルセイバーでエネルギー弾を受け止めるものの、刀身に罅が入った。

「もうそれで防ぐことは出来んぞ!!」

「ぐっ…だが、俺達だけを見ていていいのか?」

「何?」

「チャージコレダー!!」

「バイタルスクラッチ!!」

エックスのチャージコレダーとシナモンのバイタルスクラッチの往復ビンタがエンシェンタスに炸裂する。

「己!永久氷河!!」

「ぐあっ!!」

「きゃあっ!!」

「灼熱の火炎!!」

絶対零度で冷やされたかと思えば次は灼熱の業火が襲われ、絶対零度から灼熱の業火による温度差でエックスとシナモンの強化されたアーマーに亀裂が入る。

「この…いい加減にしな!ミラージュダイブ!!」

実体を持つ分身2体を生み出し、エンシェンタスに攻撃する。

ハイパーモードも併用しているために相当なダメージを与えたが、倒すには至らない。

「ぐっ、怪盗風情が!阿修羅ナックル!!」

耐えきったエンシェンタスは誘導エネルギー弾をマリノに向けて放つ。

「やばっ…」

「マリノさん!ぐおっ!!」

「マッシモ!?」

咄嗟にマリノを庇い、阿修羅ナックルのエネルギー弾を全弾その身に受けて倒れるマッシモのアーマーが弾け飛び、内部機関が露出する。

「こんの…いい加減にしなさい!!」

至近距離でチャージショットを放ち、吹き飛んだエンシェンタスにルインはバスターを構えて通常弾の連射を浴びせる。

「倒れろ、倒れろ、倒れろ!!」

アクセルも加勢し、オートバレットの連射性能に物を言わせて猛連射してエンシェンタスのボディを射抜く。

「そのまま続けろ!頼むぜエール…俺に力を貸しやがれ…!フォーチュンカード……よっしゃあ!ロイヤルストレートフラッシュ!!受け取りな!取って置きのカードを!!」

スパイダーのカードスリットから1枚のカードボムが放たれ、全カードボムの威力が1枚のカードボムに集約されたような一撃がエンシェンタスに炸裂した。

その威力は凄まじく、部屋全体を爆煙で満たされた。

「(こいつでくたばってくれ…こいつが駄目ならマジで打つ手がねえ…)」

現時点でハイパーモードを維持出来ないほどに疲弊しているエックス達にこれ以上の威力のある攻撃は繰り出せない。

全員が息を呑んで爆煙が晴れるのを待つが、煙が晴れると満身創痍ながらも立っているエンシェンタスの姿があった。

「ぐっ…い、今のは危なかったぞ。流石の俺も死を覚悟した…総統から超フォースメタルを頂いていなければ…確実にスクラップになっていた……」

「あんた頑丈過ぎだろ…でもここまでだよ!私がとどめを刺してやる!」

比較的ダメージが軽いマリノがエンシェンタスにビームチャクラムを構えるが、それに対してエンシェンタスは焦るどころか笑みを浮かべる。

「ふふ…確かに俺はボロボロだが、お前達の状況が絶望的なのは変わりがない!」

即座にエンシェンタスは背後のパネルを操作すると、警報が鳴る。

「何をしたの!?」

ただ事ではない様子にルインがエンシェンタスに問い詰める。

「自爆装置を作動させたのだ。これで後5分後に建物が爆発する!」

「なっ!?」

エックスがショットを連発し、更にチャージショットを当てても電磁バリアで守られた特殊合金の扉はビクともしない。

「そんな物で扉が開くものか!!」

「なら…俺がベルセルクチャージで…」

「馬鹿言うんじゃないよマッシモ!そんな状態でベルセルクチャージでぶっ放したら…」

ただでさえ今のマッシモは直ぐに治療が必要な状態であり、そんな状態で高出力レーザーのベルセルクチャージを放ったら確実に自壊してしまう。

「し、しかし…」

「多分、この扉はビームコーティングが施されているよ。多分僕らに逃げられないように…エネルギー弾とかの類は通用しないよ。全く、念の入ったことで!」

「それじゃあどうするんですか!?」

「待って、今考えてるんだ!」

何とか脱出するためにアクセルが考えを巡らせるが一向に考えが浮かばず、エンシェンタスがそれを見て嘲笑いながら口を開いた。

「ふはははは…万策尽きたな…それではそろそろ転送させてもらうとしよう。さらばだ…」

エンシェンタスが転送しようとしたその時、誰よりも早く動いた者がいた。

「うおおおおおお!!」

スパイダーが絶叫しながらエンシェンタスを捕まえ、扉に向かい始めた。

「ぐっ、悪足掻きを!」

「スパイダー!?何を…」

スパイダーの行動に何とか扉に穴を開けようとしていたエックスが手を止めて目を見開いた。

「バスターでも壊れないご自慢の扉らしいが、レプリロイド2体分の爆発の衝撃なら、扉を吹っ飛ばせるんじゃないか!?」

それを聞いた全員の表情が強張る。

確かにスパイダーとエンシェンタスは特別製の戦闘用レプリロイドで、その高い出力を得るために高出力の動力炉を搭載しているためにその爆発の威力は相当な物だ。

「スパイダー!馬鹿なことをしないで!止めて!」

「己…っ!!」

「悪いが止めないよ。理屈じゃないんだ!」

もがくエンシェンタスを押さえつけながらルインの制止を聞かずにスパイダーはカードスリットから1枚のカードボムを取り出し、全員を見遣る。

「スパイダー!」

「止めろ!スパイダー!」

「…後は頼んだぜ、エックス!ゼロ!みんな!!」

カードボムから閃光が放たれ、スパイダーとエンシェンタスが光に包まれ、光に包まれたスパイダーは、段々意識が薄れていくのを感じていた。

時折記憶が飛ぶことはあったが、今回ばかりは完全に駄目だろう。

今思えば、エールが怪我をしてからだろうか?

かつて駆け出しの賞金稼ぎ時代、今のように仕事もなく、今は廃墟となっているラグラノ研究所のような場所で用心棒のようなことをしていた時期があった。

そして自分はエールと共に…ある物を奪って、あの男からエールが自分を庇って怪我をし…それから…それから先の記憶が酷く曖昧なのだ。

あの日から自分の記憶が時折飛ぶようになり、気付いた時には別の場所にいたりした。

普通レプリロイドの記憶は余程電子頭脳に異常がない限り飛ぶことはないので、もしエックス達に気付かれれば検査を受けろと言われたはずだ。

「(冗談じゃないぜ…)」

あの日以来からスパイダーは身体を弄られるのを酷く嫌っていた。

昔はそうでなかったのに、今は“検査”という物に危機感を感じていて、まるで自分の秘密を見られるような嫌悪感を感じた。

「(そんな大層な悪事は働いてないつもりだったんだがね)」

記憶が飛んでいた間に何か仕出かしたのかもしれないなと、薄れる意識の中、スパイダーはエックス達に全てを託して僅かに微笑んだ。

そして基地に戻ってきた一同の表情は沈んでおり、マッシモは即座にメンテナンスルーム行きとなって医療班に連れて行かれた。

「スパイダーさん……」

「シナモン…あいつが、スパイダーが命を張ってくれなければ…俺達はここに戻ってくることは出来なかった…」

泣きじゃくるシナモンの肩に手を置きながらエックスは言うが、しかし彼の表情もまた悲しみに歪んでいた。

「スパイダーは…あいつは俺達の為に命を投げ出してくれた。だから俺達はスパイダーの魂に応えなくてはいけない。」

「うん…悲しむことは何時でも出来る…今は…スパイダーの分まで戦わなきゃ……」

「ああ…そうだな。この仲間達でリベリオンを倒そうじゃないか…スパイダーの為にも……!」

死んでいったレジスタンスの仲間、エール、そしてスパイダーの犠牲を無駄にしないためにも戦わなくてはいけないと、エックス達の結束がより強くなった瞬間であった。

そして、ギミアラ採掘場から少し離れた場所では。

「チッ…奴め、余計な真似をしおって…」

全身をマントで身を隠し、所々損傷しているレプリロイドが1つのDNAデータのコアを睨みながら呟く。

レプリロイドはDNAコアを握り砕こうとしたが、少しの間を置いて取り止めた。

「まあいい…まだこれには使い道がある」

レプリロイドはDNAコアを握り締めながら静かにこの場を去った。

一方、エックス達の本来所属であるハンターベースでは、エイリア達が休憩室にて雑談していた。

「そう言えば、先輩達ニュース見ました?レジスタンスの主力メンバーでやられた人が出たらしいですよ」

「折角エックス達が合流したのに、残念ね…。今回犠牲になった1人は、レジスタンスでもかなり腕の立つレプリロイドだったらしいわ。元賞金稼ぎだったらしいけど…それにしても聞く限り、レジスタンスの主力メンバーには賞金稼ぎとか泥棒とか、素性の怪しいレプリロイドが多いわね。エックス達が上手くやっているのか心配だわ」

非合法なことをしていた元賞金稼ぎのアクセルや元ジャンク屋のルナ、イレギュラーハンターでも細かいことは気にしないタイプのルインはともかく、イレギュラーハンターの中でも堅物に部類されるエックスとゼロがイレギュラーすれすれの面子と上手くやっていけるのかと心配したが、どうやら今のところは大丈夫のようだ。

「いやー参った参った」

頭を掻きながら現れたのは、ハンターベースの整備班のチーフメカニックであるダグラスである。

「ダグラスさん、どうでしたか?アクセルが保護した彼の容態は…?」

「ん?なあに、もう大丈夫だアイリス。何てったってこっちには天才的工学博士のゲイト博士がいるんだからな」

少しして、休憩室に入ってきたゲイトもダグラスの言葉が聞こえていたのか苦笑を浮かべながら自販機にクレジットデータを入力して、昼食代わりのコーヒーとハンバーガーを購入する。

「おいおいダグラス。あまり担がないでくれよ。それにしても驚いたな…」

購入したばかりのハンバーガーを口にし、コーヒーを啜りながらゲイトは呟く。

「何がですか?」

ゲイトの呟きが聞こえていたパレットが疑問符を浮かべながらゲイトに尋ねる。

「ああ、彼を修理してみて分かったんだけど、ギガンティス製のレプリロイドの思考回路の思考パターンは正に人間そのものだね。」

「それってもしかして…」

「ああ、エックスや元人間のルインみたいな思考回路を持つレプリロイドが造られているんだよ。ギガンティスでは、思考パターンが人間そのものだから純粋なイレギュラーも誕生しかねないね」

「うひゃあ…それってエックスさん達みたいなレプリロイドがギガンティスにはたくさんいるってことですか?」

「まあ、簡単に言えばそうなるね、いずれにしても、ギガンティスのレプリロイドは僕達よりもエックス達や人間に近い存在だということだよ。彼らの人間的思考回路が、今回の反乱の引き金になったのは間違いないと思う」

「そう…」

「そうそう、エイリア。彼の身元は分かったかい?」

「ごめんなさい、まだ分かっていないの。IDタグかDNAコアがあれば簡単に割り出せるんだけど…」

「IDタグはまだしもDNAコアまで抜き取られているなんて…これはどう考えても犯罪ですよ」

ここに転送された時の状態を思い出したアイリスが苦い表情を浮かべる。

「ああ、ギガンティスでは何かが起こっている。厄介なことにならなければいいけどね」

ハンバーガーを食べ終え、コーヒーを飲み干すとゲイトは立ち上がる。

「さて、僕は少し仮眠を取るとするよ。身元が割り出せたら教えて欲しい」

「分かったわ」

ゲイトはゴミを捨てると、仮眠を取るために自室に戻るのであった。  
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