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イベリス

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第一話 卒業してその十七

 愛は咲にそうした場所も話していった、その話が終わってから咲は時計を見てそのうえで愛に話した。
「もうね」
「帰るのね」
「いい時間だからね」
「帰らないとよね」
 愛は笑って言った。
「叔母さん怒るわね」
「お姉ちゃんのところにいるなら」
 それならというのだ。
「いいって言うけれど」
「早いうちに帰らないと」
「お母さん心配するから」
「叔母さんらしいわね」
 愛はくすりとして返した。
「過保護よね」
「そうかしら」
「私のお家にいるってわかってたら」
 それならというのだ。
「もう安心だから」
「それはね」
「咲ちゃんも思うでしょ」
「愛ちゃんが一緒なら」
「私も家族も咲ちゃんと仲いいしね」
「特にね」
「お父さんとお母さん晩ご飯も出してくれて」
 愛はさらに話した。
「お風呂も入っていいしお泊りもね」
「いいのね」
「泊まったことないけれどね」 
 それでもというのだ。
「それもね」
「いいから」
「だからね」 
 それ故にというのだ。
「何の心配もいらないのに」
「心配するっていうの」
「だからね」
 それがというのだ。
「もうね」
「心配性だっていうの」
「そうよ、けれど親を心配させるのはよくないから」
 愛はこうも言った。
「だからね」
「もう帰った方がいいのね」
「その方がいいわ」
 実際にというのだ。
「じゃあもうね」
「お家に帰って」
「ええ、そしてね」
 そのうえでというのだ。
「叔母さんに宜しくね」
「今日お話したって」
「言っておいてね」
「それじゃあね」
「何時でも来てね」
 咲はこうも言った。
「お話出来ることならするから」
「それじゃあね」
「ただね」
「ただ?」
「高校生活は楽しんでね」
「それはなのね」
「中学生活も高校生活も楽しいから」
 そのどちらもというのだ。
「人次第にしてもね」
「楽しいの」
「ええ、私はそう思ったから」 
 だからだというのだ。
「咲ちゃんもね」
「楽しい高校生活をなのね」
「してね」
 こう言うのだった。
「いいわね」
「それじゃあね」
「その為にもね」
「悪い人にはなのね」
「気をつけて悪いこともしない」
「それで悪い場所にも行かない」
「そうよ、まあさっき話したヤクザ屋さんとね」
 愛は考える顔で言った。 
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