| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

イベリス

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第一話 卒業してその十三

「それで悪いことに誘われてもどう守るか」
「そのことよね」
「お姉ちゃん詳しいと思ったけれど」
「もう目と口元ね」
 愛は自分の分のコーラも出している、それを飲みながら答えた。
「そこに出てるの」
「悪い人はそうなの」
「もう悪人は目が笑ってなくてね」
「それよく言われるわね」
「特に悪いこと企んでいる時はね」
「目が笑ってないのね」
「そう、それで目が濁ってるし」
 笑っていないうえにというのだ。
「わかるのよ、それで口元もね」
「そっちもなの」
「変に歪んだ笑いを浮かべたりするのよ」
「歪んでるの」
「こんな感じでね」 
 愛は実際に表情を作って話した、それは刑事ドラマ等の悪役の笑顔であった。
「歪んでるの」
「そうした笑顔ね」
「そう、それでね」
「それで?」
「全体的に下卑た感じなのよ」
「悪人っていうのは」
「もう人を騙して悪いことに誘う様な奴はね」
 こう従妹に話した。
「こうした笑顔になるの」
「そうなのね、けれどよくそんなの知ってるわね」
「近所に札付きのヤクザ屋さんの事務所があったのよ」
「ヤクザ屋さんは皆札付きでしょ」
「そのヤクザ屋さんの中でもよ」
 特にというのだ。
「特にね」
「酷かったの」
「もう下劣な悪事の限りを尽くしたね」
「そんな事務所だったの」
「もう近所の皆が嫌っていたけれど」 
 それでもというのだ。
「そこの人達皆そうだったのよ」
「目が笑ってなくて」
「濁っていてね」
 そしてというのだ。
「もう笑ってもね」
「下卑たものだったの」
「その人達を見てきたから」
 それでというのだ。
「私はわかるの」
「そうなの」
「ちなみに去年遂に警察が入ってね」
「捕まったの」
「そうしたらもう悪事の総合結社だったわ」
 コーラを飲む従妹に話した。
「文字通りのね」
「悪のなの」
「そう、それも下衆なね」
 悪は悪でもというのだ。
「そうだったわ」
「そんな事務所だったの」
「もう麻薬とか臓器売買とか密輸とかね」
「凄いわね」
「当然殺人もね」
 こちらもというのだ。
「してたけど全部が全部ね」
「下衆だったの」
「それでそこの人達が」
「皆そうした目だったの」
「そう、その人達の画像ネットでも出てるけれど」
 愛は自分のスマホを出してきて言った。
「そっちも見てみる?」
「それじゃあね」
 咲も頷いて答えた。
「見せて、お話を聞くよりもね」
「見る方でしょ」
「ええ」
 実際にと従姉に答えた。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧