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イベリス

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第一話 卒業してその十一

 他の店員にあがりですと言われて店の奥に引っ込んだ愛とは別の店員にバニラの上に抹茶とレモンのアイスを重ねてだった。
 トッピングにシロップとバナナチップをかけてもらった、それを店の中で食べていると。
 黒い皮のコートに真っ赤なマフラーと白いセーター、黒のかなり短いタイトのスカートに真っ赤なストッキングに白い靴という格好の愛が来た。愛は咲のところに言ってきた。
「私も同じもの注文するから」
「お姉ちゃんもなの」
「ええ、それで食べたらね」
「アドバイスしてくれるの」
「東京の悪い奴に引っ掛からない方法についてよね」
「うん、それだけれど」
「そんなの簡単だから」
 愛は咲の席の向かい側に座った、そうして。
 咲と同じ注文を同僚でもある店員にしてから話した。
「だからまずはね」
「アイス食べるのね」
「まだ寒いけれど」
 三月の終わり、卒業式の後の時期はまだそうだ。特に東京はまだ風がありその分さらに寒さを感じる。
「寒い時に暖かいお部屋でアイスを食べる」
「それがいいのよね」
「そう、それでうちのアイス美味しいでしょ」
「本当にね」
 咲は食べながら頷いた。
「これはね」
「そうでしょ、だからね」
「まずはなのね」
「アイスを食べて」 
 そしてというのだ。
「それからね」
「お話ね」
「そうしましょう、それと」
「それと?」
「お話するのは私のお家でね」
「お姉ちゃんのなの」
「色々こっそり教えることもあるから」 
 愛はその派手なメイクの顔で笑って話した、見れば服装だけでなくアクセサリーも派手だ。ペンダントやブレスレットは金や銀でちゃらちゃらしている。頭にも飾りがある。
「だからね」
「お姉ちゃんのお家に行って」
「そこでお話するわね」
「そうしてくれるの」
「東京って実際にね」
 愛は来た注文を受け取ってからさらに話した。
「悪い人もね」
「多いわよね」
「一千万いて関東中から人が来るでしょ」
「そうよね」
「それでなのよ」
「悪い人も多くて」
「悪い人に引っ掛からないで」
 アイスを食べながら話した。
「それで悪いこともしない」
「その為にはなの」
「まずは見極めることでかわすことだから」
「かわす?」
「悪い人や悪いことからね」
 今話していることからというのだ。
「だからね」
「かわす為にも」
「そう、こっそり教えるから」
「お家でなのね」
「そうしてね」
 そしてというのだ。
「高校に入ってもね」
「悪い人に引っかかったりしないで」
「高校生活を満喫するのよ」
「そうすればいいの」
「そうしたことなら任せて」
 愛は自分のアイスを食べつつ咲に話した。
「私得意だし」
「お父さんとお母さんもそう言ってたわ」
「どうせ外見は派手とか言ってよね」
「ええ、そこから話した」
「叔父さんも叔母さんも相変わらずね」
 愛は咲の返答に何でもないという笑顔で応えた。 
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