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イベリス

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第一話 卒業してその八

「いいことばかりじゃないぞ」
「悪い人も寄って来るから」
「注意するんだ、お金を取られたりな」
 父はさらに話した。
「麻薬を売られたり悪事の共犯にされたり」
「そうなるから」
「だからな」
「注意することね」
「くれぐれもな」
「お父さんの言う通りよ」
 母も真顔で言ってきた。
「咲確かに別人みたいに奇麗になったけれど」
「それはそれでなのね」
「悪い人も寄って来るから」
 そうなるからだというのだ。
「間違ってもお顔とかルックスだけでね」
「人を選ばないことね」
「あと悪い遊びに誘われても」
 それでもというのだ。
「絶対によ」
「断わることね」
「ちょっとだけと思ってしたら」
「そこからズルズルとなのね」
「止められなくなるから」
 それ故にというのだ。
「いいわね」
「悪い人には注意して」
「悪いこともしない」
「最初からなのね」
「お酒ならいいのよ」
 これはというのだ。
「うちではね、けれどね」
「煙草は身体に悪いだけだから」
「あれはしないことよ、お父さんもお母さんも吸わないしね」
 その煙草をというのだ。
「それで特に麻薬はね」
「絶対によね」
「あんなものに手を出したら」
「人生終わりね」
「そうなるわよ」
「麻薬は魔薬なんだ」
 父はあえて言葉を変えた。
「悪魔、いや外道が売って儲けるな」
「そんなものなのね」
「ヤクザ屋さんでも外道の域に達したのが扱うんだ」
「ヤクザ屋さんは誰でもって訳じゃないのね」
「そうだ、腐っていないとな」
 このことは映画仁義なき戦いの最初の作品でもある、ヒロポンつまり覚醒剤を扱うことで組の内部で騒動があった。
「やらないんだ」
「そんなのを売ってる人は」
「犯罪だしな」
 それにというのだ。
「その犯罪の中でもな」
「特に悪質なのね」
「人の身体も心もボロボロにして食いものにしているんだ」
「だからなのね」
「そんなことをやる奴はな」
「絶対になのね」
「近寄るな」
 何があってもというのだ。
「いいわね」
「ええ、そうするわね」
 咲も確かな顔で頷いた。
「東京も色々な人がいるしね」
「歌舞伎町、父さんも時々行くがな」
 東京一の繁華街であり様々な店が存在している。
「あそこもちょっと行くとな」
「裏道とか?」
「よく聞くな」
「うん、私もね」
 咲も父に答えた。 
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