| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

DQ3 そして現実へ…  (リュカ伝その2)

作者:あちゃ
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

元凶滅ぶ

<サマンオサ>

「お待たせ偽者!ムカつくお前をぶっ飛ばしに参上!」
「ぬぅ…またキサマらか!誰か!こ奴等を…」
偽王が叫ぶ中、リュカはラーの鏡を構え、偽王に翳す!

鏡には醜く膨れた『ボストロール』の姿が…
「きゃー!!」
それを見たハーレムの女の一人が悲鳴を上げる!
その瞬間、偽王の身体が膨れだし、醜いボストロールへと変わって行く!
「ぐぬぬぬぬ…おのれ…ワシの計画をぶち壊しおって!」
偽王にへばり付いていたハレーム女は、一斉にその場から逃げ出し避難する。
「キサマら…ぶち殺してく(ドガッ!)ぐはぁ!!」
ボストロールの台詞を聞き終わる前に、リュカの拳がボストロールの顔面にめり込んだ!

「舐めた事ぬかすな!」
倒れたボストロールの上でマウントポジションを取り、絶え間なく強烈な連撃を打ち出すリュカ!
「貴様の様なやり方が一番ムカつくんだ!自らが立ちはだかるのではなく、人々の悪しき心に揺さぶりを掛け、人同士で不幸を与え合う……あ゛~、胸糞悪い!」

「そうですわお父様!私もお手伝い致しますぅ!」
「え!?」
マリーの言葉に反応し、彼女の方へ振り向いた時には、既に彼女の手には魔力が集まっていた!
「イオナズン!!!!」
力無き者が虐げられる事実…
権力により手に入れた特権を振りかざす悪逆な特務警備隊達…
自分を性的欲求の捌け口として見た変態野郎…
そして自らの所為とは言え、父に始めて叱られた事実…
それらの鬱憤が合わさり、マリーの魔力を極限まで増大させた!


玉座の間から城半分が吹き飛び、其処から素晴らしい眺めを一望出来る…
「や…やりすぎだよ、マリー…」
愛した女の行為に、流石に引き気味のウルフ…
「ちょ…リュカは!?…もしかしてリュカまで吹き飛ばしたんじゃ無いでしょうね!」
ビアンカの発狂寸前の悲鳴が辺りに響く!
またやらかしてしまった事に青ざめるマリー…


「ぼ、僕は此処…」
僅かに残る瓦礫の中から、埃まみれのリュカが顔を出す。
「ちっ!」
ホッとするビアンカやマリーとは対照的に、小さく舌打ちをするティミー…

「…今お前『ちっ』つったろ!」
「…いえ…『ホッ』の間違いでしょう。大切なお父さんが無事で、本当に良かったと思ってますから」
「まったく……何でこんな息子に育ってしまったのか……?」
珍しくボケとツッコミが逆転した親子…
皆その光景に笑ってしまい、本来叱られるはずだったマリーが兄に感謝する…

ともかくも、サマンオサに蔓延る諸悪の根元は滅ぼしたのだ…
その事は、即日国中に知れ渡る…
人々の歓喜の叫びと共に。




「英雄リュカとその一行よ…此度の事、誠に感謝する!」
ボストロールを消滅させた翌日…
何故だか半分が吹き飛んだサマンオサ城の、無事だった場所に臨時の謁見の間を設置し、本物の国王がリュカ達に救国の感謝を述べている。

「やめろ!『英雄』とか呼ぶな気色悪い!それに勘違いするなよ…別にお前の為にサマンオサを救ったわけでは無いからな!フィービー達を助けたかったんだ…王族というのは、皆が自分の事を全力で救うと勝手に信じていやがる!」
今までに無いくらいの不敬罪!

しかし、この国でリュカに対し不敬罪を唱える者は皆無だろう…
サマンオサでリュカという存在は、精霊紳ルビスより神聖な物へと昇華されている!
本人が知ったら激怒するだろうに………
「うむ、リュカ殿…それは重々承知している…だが、この国がリュカ殿のお陰で救われた事実に変わりなかろう?ワシはその事に感謝をしているのだ」

「う~ん…まぁ分かったけど…でも僕に感謝するよりも、虐げられてきた国民の為に、全力を尽くしてほしい!…城を壊しておいて言うのも何だけど…修理する金があるなら、国民に回してよ!」
「あぁ、勿論そうするつもりじゃ!…とは言え、ワシからリュカ殿に、何かお礼をしたのだが…何かあるかな?」

「えー!?別に無いなぁ…」
「お父様…」
城を半壊させて張本人が、リュカのマントをチョンチョン引っ張り、可愛くアピールする。
「何、マリー?…お前、お城壊しといて何かお強請りするつもり?」
珍しく娘に辛辣な事を言うリュカ…
まぁ、状況が状況だからねぇ………
「う゛…お、お父様はサマンオサに来た目的をお忘れですの!?」
彼女としても此処は退けない!
どうしても必要な物があるから。

「何じゃ?何かあるのなら言うてくれ!…城の事を気にしてるのは、お主等だけだぞ!」
「は~い!変化の杖をくださいな!」
「あぁ!そう言えば、そんな当初の目的もあったねぇ……この国酷すぎて、キレイに忘れてたよ!」
「い、言い返せんが酷い言われ様じゃのう…」
苦笑いするサマンオサ王…

「しかし困ったのぉ…」
「何だ!?『それはダメー!』とか言うのか、この野郎!?」
「いやいや…そんな事は言わんよ…譲れる物があるのなら、何だって譲りたい気持ちなんじゃから…」
「じゃぁ何だよぉ!」
「うむ…変化の杖はな…ワシの偽者が携帯しておったのだ…」

「………え?」
「つまりな…城と一緒に吹っ飛んだと言う事じゃよ!………まぁマジックアイテムじゃし、壊れてはおらんと思うが…何処に吹っ飛んだのやら………?」


それから3日間…
広大に飛び散った瓦礫の中から、変化の杖を探し続ける事となる…
フィービーや兵士達…その他、国民の皆様が手伝ってくれなかったら、もっと時間が掛かったろうに…



 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧