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戦姫絶唱シンフォギア~響き交わる伴装者~

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HappyBirthdayを君に(暁切歌バースデー2021)

 
前書き
GXは話数リセットしたけど、誕生日は例外だよね!
というわけで、切ちゃんの誕生日回デース!!

彼女の本当の誕生日と本名が明かされるのはいつなのか……。
公式さん、そろそろ教えてくれてもいいんじゃない?

それでは今回も、お楽しみください! 

 
「遂にこの日がやって来たか……」

カレンダーの一点を眺め、飛鳥は呟いた。

「兄さん、渡すものはもう決まったの?」
「き、決まったとも。もう明日だぞ!?」
「ちゃんと切ちゃんが喜ぶ物ですよね?漢字ドリルとか参考書みたいな、ガチガチの実用性重視とかだったら……刻みます」
「やめてくれ、顔が冗談に聞こえないぞ!?」

飛鳥にジトーッとした目を向け、淡々と呟く調。

調の肩に、流星はポンと手を置いた。

「調ちゃん、落ち着いて。いくら石頭で朴念仁の兄さんでも、そんな子供向けアニメのオチみたいな事はしないと思うよ」
「おい流星、それはどういう意味だ?」
「それもそうですね。飛鳥さん、失礼しました」
「調ちゃん?君も何を納得したんだい?」
「さあ?」
「ご想像にお任せします」
「ぐぬ……」

煽るようなニヤケ笑いで肩を竦める流星と、珍しく悪戯っ子のような表情を見せる調。

生粋の真面目さ故に女心が今一つ分からない、そんな兄を時折おちょくる弟と、それに乗っかる義妹(予定)。

切歌と調が大野兄弟と交際を始めてからは、それがよくある光景となっていた。

「だって兄さん、プレゼント全然決まらなくて焦ってたし」
「ウンウン唸って悩んでましたよね。『何をあげるか』ではなく『どんなものをあげるか』で」
「プレゼントの選択肢に実用性があるの、だいぶデリカシーが無いでしょ」
「新しい調理器具とか、わたしなら嬉しいですけど……切ちゃんはそういうので喜ぶタイプじゃないですよね?」
「わ、分かっているさ!だから、バランスボールとかリン〇フィットとか、そういう遊びながら運動出来るものをと思っていたんだけど……」
「「乙女に体重の話題はダメでしょ」ですよ」
「そこなんだよなぁ……」

容赦なく飛んで来るダメ出しに、飛鳥はガックリと肩を落とす。

ここ数日間の彼は、切歌へのプレゼント選びに悩むあまり、考え込んでいる時間が長くなっていた。

何を悩んでいるのか、周囲には筒抜けなのだが……幸い、当の切歌本人には全く気付かれていない。

もし気付いていたら、飛鳥は彼女から直接欲しいものを聞く事が出来るのだが、それはそれでサプライズが成立しない。

乙女心に鈍いと言えど、飛鳥も恋人を持つ男子の身。サプライズプレゼントで切歌を喜ばせたい、という気持ちくらいはちゃんとあるのだ。

「それで兄さん、結局何を渡すの?」
「考え抜いたんだけどさ……笑わないでくれよ?」

何日もかけて飛鳥が選んだプレゼント。
その内容(こたえ)を聞いた流星、調は……満足そうに微笑んだ。

「うん……いいプレゼントだと思う。今の飛鳥さんから渡すなら、きっとそれが一番です」
「兄さんにしては珍しく、満点の解答だね」
「一言余計だ……」
「でも、切歌ちゃんはきっと喜ぶよ。そこは保証できる」
「そうか……。2人とも、ありがとう。そうと決まれば、早速準備しないとな」

肩の荷が降りたような、晴れ晴れとした顔で。
飛鳥はスマホで何かを調べると、メモに書き込み始めた。

「調ちゃん、ちょっと聞きたい事があるんだけど……」
「いいですよ。切ちゃんのためですから」
「僕も手伝うよ。兄さんだけだと心配だし」
「だから一言余計だ」

流星と調は互いに目配せすると、飛鳥のスマホを左右から覗き込んだ。

ff

そして、4月13日の朝……。

「すぅ……すぅ……」
「切歌、もう朝だぞ」
「すぅ……すぅ……」
「きーりーかー、起きろ~」
「すぅ……ですぅ……?」
「……早く起きないと、夕飯にピーマン入れるぞ?」
「デッ!?デデデッ!?あ、あああ飛鳥さんそれは勘弁デスよ!?」
「やっと起きたか」

慌てて飛び起きた切歌に、飛鳥は思わずクスッと微笑む。

「切歌、誕生日おめでとう」
「デス?……飛鳥さん、覚えててくれたんデスかッ!?」
「当たり前だろう?自分の彼女の誕生日を忘れるほど、僕は薄情じゃないぞ」
「真面目な飛鳥さんらしいデスね」

期待を裏切らず、ちゃんと誕生日を祝ってくれた飛鳥に、切歌も微笑みを返す。

「それで、飛鳥さんは何をプレゼントしてくれるデスか?」

ワクワク、ウズウズ。期待の視線が飛鳥に向けられる。

切歌の翡翠色の瞳を真っ直ぐ見つめ、飛鳥は悩み続けた答えを、切歌に打ち明けた。

「今日一日、君のワガママに付き合ってやる」
「……ほえ?」
「ごめん、言い直す……。今日一日、切歌とデートしたい。……ダメか?」
「なッ、なんデスとーッ!?」

予想外の答えに、切歌は思わず目を見開く。

「思えば僕は、君の事をそんなに知らない。だから、このデートを通して教えて欲しいんだ。僕はもっと、君の事が知りたい」
「飛鳥さん……」
「色々考えたんだけど、切歌が一番喜んでくれそうなものが浮かばなくて……。恋人なのに、僕はまだまだ切歌の事、全然知らないんだなって気付かされた。だから……切歌の好きな物、切歌の楽しい事、君の全てを教えて欲しい」
「……」

沈黙する切歌。それを落胆と捉えたのか、飛鳥は慌てる。

「い、嫌なら、その……遊園地のチケットは調ちゃんに預けておく。2人で一緒に……」
「嫌じゃないデス」
「え……?」
「今日の飛鳥さんは、花丸のごーかく、100点満点デスよッ!」
「うおっと!?」

次の瞬間、飛鳥は切歌に飛び付かれていた。
視界は天井に向き、背中にはベッドの柔らかい感触がある。

抱き着き、犬のように頬をスリスリしてくる切歌を見つめ、飛鳥は口を開く。

「危ないからやめてくれって、何度も言ってるだろう?」
「そこは勘弁デース。嬉しくなるとつい、こうしたくなっちゃうデスよ♪」
「まったく……しょうがないな、君は」

ズレた眼鏡を直し、切歌の頭に手を乗せる。

「改めて……切歌、誕生日おめでとう」
「ありがとデース♪飛鳥さんが一番に祝ってくれて、アタシも嬉しいデスよ~」

朝っぱらから自室でイチャイチャする兄と義妹(予定)。
ドアの向こうからこっそりと、流星と調は見守っていた。

冷蔵庫にはケーキ用のイチゴ。リビングにはハルシャギクの花束。
二人のデートは、これから始まる──。 
 

 
後書き
暁切歌ちゃん、お誕生日おめでとう!!
これからも調ちゃんやマリアさん、皆と仲良くね!!

それでは次の誕生日orイベントにて!! 
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