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ドリトル先生と不思議な蛸

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第八幕その十一

「僕は注意喚起は出してもらうけれど」
「その蛸を見付けても」
「それでもだね」
「怖がりはしない」
「そうなる様にするのね」
「恐れるのではなく知ること」
 先生はこうも言いました。
「それが大事なんだよ」
「そうだよね」
「先生はいつもその考えだけれど」
「その考えこそ正しいね」
「何事においても」
「幽霊もだね」
 皆が怖がるこの存在もというのです。
「知ることだよ」
「幽霊について」
「幽霊とは一体どんなものか」
「まずはそこからだね」
「人には魂があって幽霊はその魂が身体から出たものだよ」
 先生はまずはこのことからお話しました。
「だから人だよ」
「他ならぬね」
「まさにそれだね」
「それが幽霊だね」
「そう、そしてね」
 先生は飲みながら言います。
「人によって違うからね」
「性格はね」
「だからその人それぞれだね」
「幽霊にしても」
「マクベスの幽霊とハムレットの幽霊は違うね」
 ここで先生はイギリスの代表的な戯作作家の名前を出しました。
「そうだね」
「うん、そうだね」
「マクベスの幽霊は糾弾する感じでね」
「ハムレットの幽霊は知らせる感じで」
「同じ怨霊みたいな感じでも」
「それでもね」
「違うしね、それぞれの幽霊の性格や立場が出てね」
 それでというのです。
「また違うんだよ」
「そうだよね」
「言われてみればね」
「マクベスとハムレットじゃね」
「幽霊の性格が違うわ」
「同じ幽霊でもね」
「そう、だからそれぞれね」
 まさにというのです。
「知ることが大事なんだよ」
「そういうことね」
「大事なことは」
「それぞれを知ることで」
「赤くない蛸についても」
「知ることなんだ、気を付けても」
 それでもというのです。
「知ることが大事だよ」
「だから無闇に怖がらない」
「そのことが大事だね」
「本当に」
「その通りだよ、知ることが一番大事で一番の武器なんだ」
 先生は皆に微笑んで言いました。
「蛸や烏賊も美味しいってわかってるからだね」
「食べられるね」
「こうしてね」
「イギリスにいた時は知らなかったけれど」
「日本に来て知って」
「それで私達も楽しく食べているわ」
「こうしてね」
「そういうことだよ、まずは知ることなんだ」 
 先生は笑顔で言いました、そのうえで。
 その美味しいことを知った蛸や烏賊を食べて楽しみました、先生も皆も今夜も舌鼓を打ったのでした。 
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