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星河の覇皇

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第七十七部第三章 果てしない波状攻撃その十五

「軽装で剽悍に戦う」
「それも勇敢に」
「統率が取れて戦っていますね」
「このことも報告しよう」
 観戦武官としてというのだ。
「是非な」
「そうしましょう」
「この会戦の全てを報告しますが」
「その中で、です」
「彼等自身のことも」
 是非にと話してだ、そうしてだった。
 連合軍の観戦武官達も会戦を観ていた。会戦は今回も激しく続くだけでなく長くも続いていた。
 双方波状攻撃を完璧な統率の下で繰り出し合い波と波がぶつかり合いその間で無数の命を散らしていった。
 その中で破損した重巡の修理を行いつつだ、オムダーマン軍の若い整備担当の伍長は自身が乗っている工作艦の中でぼやいていた。
「この重巡もな」
「随分やられましたね」
「中破といいますが」
 彼の下にいる兵士達が応えた。
「むしろですね」
「大破に近いですね」
「死傷者は半数だったそうですし」
「艦内の血も相当でしたし」
「それを見ますと」
「ああ、中破っていってもな」
 また言う伍長だった。
「もうな」
「大破位いってますね」
「この損害は」
「だから修理もです」
「大変ですよ」
「そうだよな、それでこの艦の修理が終わってもな」 
 重巡のその後はというのだ。
「今度は空母だろ」
「はい、そっちです」
「今度は空母です」
「その空母も結構やられてますよ」
「艦橋吹き飛んでますから」
「だよな、しかしよく艦橋吹き飛んでな」
 それでと言う伍長だった。
「よく生きて帰ってきたな」
「艦長以下艦橋の乗員全滅らしいですよ」
「その吹き飛んだ時に」
「艦橋にいなかった機関長が指揮してです」
「後方まで戻ったそうですが」
「それも凄いな」
 伍長はその話を聞いて唸った。
「本当に」
「他にも被弾してますし」
「そっちの修理も大変ですよ」
「空母の方も」
「こりゃ今日も寝るのは酸素タンクの中だな」
 伍長はやれやれといった顔で述べた。
「それでだよ」
「はい、飯もレーションばかりですね」
「今日もそんな調子ですね」
「俺達も」
「シャワーもな」
 これもというのだ。
「なしかもな」
「これだけ忙しいと」
「そんな暇もないでしょうね」
「今日もまた」
「それじゃあですね」
「ああ、戦争が終わって生きていたらな」
 その時はというのだ。
「その時にだよ」
「ベッドでじっくりと寝て」
「普通の飯食って」
「シャワーも浴びてですね」
「そうなるぜ、というかまずはあれだよ」
 重巡洋艦の内装を修理しつつ言う伍長だった、内装も激しい戦闘の結果随分と荒れたものになっている。 
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