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DQ3 そして現実へ…  (リュカ伝その2)

作者:あちゃ
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サマンオサの洞窟

<サマンオサ南の洞窟>

リュカ達は薄暗い洞窟内を移動している…
サマンオサ城の地下牢で救出した本物の国王と、元兵士の夫婦…チャールズとマデリーンをフィービーの隠れ家へ匿い、カンダタ・モニカ・ハツキを護衛に残したのだ。
実を言うとリュカは、マリーも隠れ家に残したかったのだが…


「いやですー!私も一緒に洞窟へ行きますー!お父様達と一緒が良いですー!!」
「我が儘を言うんじゃありません!洞窟内は危険なのだから、此処で大人しく待っていなさい!」
「お父様!私だって、この国の事を憂いでる一人です!私だってフィービーさん達の為に、何かをお手伝いしたいと思ってます!こんな時の為に、魔法を手加減できるように頑張ったんです!私も…私も一緒に連れて行って下さい!」
………っと、こんな感じでリュカとマリーの間で、小一時間の問答があったのだ…

しかし、それでも首を縦に振らないリュカに、留守番組のカンダタ・モニカ・ハツキが疲れ切り、マリーの援護へと回ったのだ。
それからリュカを説得する事一時間…
娘の安全の事となると頑固で、ついにはアルルが疲れてしまった…
アルルがマリーの味方をするという事は、ティミーもマリーの援護に回るという事で、彼の機転によりビアンカを巻き込み説得しだした。

リュカ・ビアンカの夫婦を説得する事一時間…
ついにはビアンカが折れ、リュカを説得し始める…
ビアンカが味方に付いた事で、リュカも直ぐに折れるだろうと思ったのだが…
彼は娘の安全の事には頑固で、更に一時間も費やす事となる。

この無為な問答に、終止符の切っ掛けを与えたのはウルフの一言だった。
「リュカさん!マリーは俺が守る!だから一緒に連れて行って下さい!」
誰もがこれで、この問答が終わると思っていた…
しかし…
(ゴツン!)
「痛っ「ふざけんな!お前みたいなヒョロ男が、簡単に娘を守るなどと言うな!」
ウルフの後頭部にリュカの拳骨が落ちる。
「でかい口は実力を伴ってから叩け!お前は魔法が使えなければ、何も出来ないじゃないか!剣術だって始めたばかり…そんな男が、危険極まりない洞窟内で、僕の大事な娘を守りきれるのか!?『頑張ったけどダメでした』じゃ、済まないんだぞ!」
リュカの言い分は尤もで、以前までのウルフだったら俯き黙ってしまうだろう…

しかし今のウルフは違う…
「守る!…たとえリュカさんが敵だとしても、マリーは俺が守るんだ!」
「……………」
ウルフの気迫に押されるリュカ…
こうして洞窟探索のパーティーは決まった…
リュカを先頭にビアンカ・マリー・ウルフ・アルル…そして殿はリュカの信頼が厚いティミー!


洞窟内ではリュカは慎重に…珍しく歌わず…群れをなして現れるモンスターを一瞬で駆逐して行く!
そして、その光景を見て誰もが思う…
《あの長時間の問答は必要だったのか?リュカさんが本気を出している以上、サマンオサに残るよりも安全なのでは?》
そんなみんなの思いに気付いたのか、リュカがポツリと呟いた。
「僕は万能じゃ無いんだ…必ずみんなを守れるとは限らない…」
誰に対して呟いたのかは不明だ…



暫く洞窟内を奥へ進むと、リュカ達を導くかの様に置いてある宝箱を発見する。
「まぁ!とれじゃー発見!!」
瞬時に反応したのはマリー…
有無を言わさぬ素早さで、手近な宝箱を勢い良く開けてしまう。
「あ、こらマ「320ゴールド発見ですわ!」
リュカの声はマリーの耳には届かない!
手に入れたゴールドを皆に見せつけ喜んでいる。

「マリー!!勝手に宝箱を開けてはいけません!こんなあからさまに置いてある宝箱は、罠以外の何物でもありません!」
「で、でも…宝箱を見つけて、それを無視するのは、宝箱さんに失礼なのでは?」
「何を意味の分からない事を……ともかくダメな物はダメ!無理矢理付いてきたのだから、お父さんの言う事を聞きなさい!…ウルフ!しっかりマリーを見張っておけ!お前なら分かるだろ…ピラミッドで酷い目に遭った、お前ならば…」
リュカの言葉を聞き、ウルフはマリーの右手を握り締め、宝箱へ近付かない様に注意する。

リュカの指示通り、宝箱を無視して進む一行…
あからさまにトラップ臭を放つ宝箱と、誰が引っかかるのか疑問の落とし穴が1個…
それ以外は普通のダンジョン…モンスターが襲いかかってくる、普通の洞窟だ。

「あれ、ラーの鏡だろ…どうやって取るの?」
全4フロア…
内、地下3階に身も凍る様な冷たさの地底湖があり、その遙か中央付近の島にラーの鏡らしき物が置いてある。

「…確か、以前ラーの鏡を入手した時は…」
遠くに見える島を見つめていたリュカが、閃いたナイスなアイデアと共にティミーへと振り向き、彼的に素晴らしい指示を出す。
「よしティミー!僕が元の世界でラーの鏡を手に入れた時は、ラーの鏡まで見えない床が通っていたんだ!だから、ここもきっとあると思う…さぁ、行け!」
爽やかな…それは爽やかな笑顔でティミーの肩を叩き、ラーの鏡へと指を指すリュカ。

「イヤですよ!もし床が無かったらどうするんですか!この水温じゃ、15秒で身体が動かなくなりますよ!溺れるじゃないですか!」
「お前勇者だろ!勇気出せよ!」
「こんな時だけ…父さんこそ1度は手に入れた事があるんですから、2度目にトライして下さいよ!」
「ヤダよ…濡れたくないもん!だからお前に押し付けるんだろ!」
「相変わらず我が儘だなぁ!」

「ありがとう」
「褒めてませんよ!」
何故かホッとする…周囲の者がホッとする、リュカとティミーの親子漫才…
「よし、じゃぁこうしよう!僕がお前を勢い良く島まで投げるから、ラーの鏡を取って来いよ!」
「帰りはどうするんですか!?」
「うん。ラーの鏡を投げろ…絶対キャッチするから!父さんを信じろよ!」
「じゃなくて…僕はどうやって戻ればいいのですか!?」

「あ……あぁ……そうね……どうしよっか?……戻りたい?…誰かに投げてもらえば!」
「誰に…僕一人で島まで行くのに、誰に投げてもらえばいいのですか!?」
「……………」
「……………」


暫く沈黙が辺りを支配する。
見かねたマリーが父にヒントを出した…
「お父様…あの島の天井を見て下さい!…穴が空いてますわ。あそこから下りる事は出来ませんか?」
マリーの言葉に、皆が洞窟の天井を見つめる。

「おぉ…本当だぁ…あそこら辺って…確かこの上のフロアに、落とし穴が空いてたよな…あそこから下りれば良いのか!!」
「流石マリーは賢いなぁ!」
ティミーはマリーを抱き上げて、頬擦りをして喜んだ。
その姿にジェラシーを感じたウルフは、思わずマリーを奪い戻す!
マリーはそれなりに満足そうだ。



 
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