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お爺さん猫の優しさ

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第一章

               お爺さん猫の優しさ
 アメリカフロリダ州レイク郡タバレス市でのことだ。
 ある一匹の猫が保護施設に保護されたが。
「傷もあって病気もしているし」
「危なかったな」
「しかも歳を取っていたし」
「もう十四歳位ですね」
 その黒と灰色の毛で腹が白い雄猫を見て話した。
「ずっと野良だったみたいにしても」
「野良で十四年も生きていただけでも凄いのに」
「怪我と病気までして」
「それで今も生きているなんて」
「それなら」
 ここまで生きていたらとだ、施設のスタッフ達は話した。
「幸せになってもらおう」
「あとどれだけ生きられるかわからないけれど」
「それでも」
「そうしてもらおう」
 こう話してだった、猫の怪我や病気の治療を行い。
 そしてその後でだった。
 スタッフの一人エミリー=プライス赤茶色の髪の毛をパーマにしていて青い目と一七〇の長身を持つ彼女が申し出た。
「私が引き取っていいかしら」
「そうしてくれるかい?」
「なら頼むよ」
「ここまで頑張ってきたんだから」
「それならね」
「余生を幸せに過ごさせてくれるかな」
「ええ、そうさせてもらうわ」
 是非にとだ、エミリーも言ってだった。
 そうして猫を引き取った、そのうえで猫をラントと名付け家族に迎えたが。
 エミリーの夫であるエイブラハム、黒に近いダークブラウンの髪で黒い目に一八二の背の太った彼はラントと一緒に遊んで言った。
「いい子だな」
「そうでしょ」
「ああ、随分とな」
 トラックの運転手をしている彼は言った。
「穏やかでな」
「ずっと苦労してきたと思うけれど」
「人間を嫌ってないしな」
「悪いこともしないし」
「いい子だな」
「ええ、それでね」
 妻は夫に話した。
「今度もう二匹ね」
「家族に迎えるんだな」
「そうも考えてるけれど」
「いいんじゃないか?」
 夫は妻にこう答えた。
「そうしても」
「あなたはいいのね」
「ああ、もう二匹位ならな」 
 それならとだ、夫は妻に答えた。
「お金も手間もな」
「大丈夫だから」
「だからな」
 それでというのだ。
「引き取ってな」
「ラントと一緒にね」
「暮らそう、ラント可愛がってやってくれよ」
 夫は彼にも言った。
「子猫達が来てもな」
「ニャア」
 ラントは鳴いて応えた、夫婦はそれをイエスという返事だと受け取った、そうしてだった。
 二匹の子猫を迎えた、どちらも上が黒下が白で八割れになっている、妻は夫に二匹を紹介してから話した。二匹共もう首輪がある。
「二匹共雄なの」
「そうなんだな」
「ええ、それで名前はね」
 こう夫に話した。
「赤い首輪の子がドリーでね」
「その子がか」
「そうよ、それで白い首輪の子がサムよ」
 二匹の名前をそれぞれ話した。 
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