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優しいお父さん猫

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第二章

「それでいつもうちで威張ってるけれど」
「それと共にな」
「凄く面倒見がいいから」
 親分肌の性格だからである。
「それでよ」
「こうしてだな」
「子猫がうちに来たら」
「いつもこうしてな」
「ちゃんと育ててね」
「親になってくれるな」
「だから他の子達もね」
 家の他の猫達もというのだ。
「ずっと懐いているのよ」
「父親と思ってるからな」
「そう、血はつながっていないけれど」
「それでもだな」
「お父さんだから」
 そうなっているからだというのだ。
「それでよ」
「今も懐いてるな」
「ルナもケットも」
 白い雌猫と黒い雄猫を見た、次に銀と黒の虎毛の雄猫と茶色の雌猫を見た。
「トムもマーガレットもね」
「皆だな」
「父親として育ててもらったから」
「今も懐いているな」
「そしてね」
 そのうえでというのだ。
「アドラ=ベルもよ」
「そうなってくれるな」
「きっとね」 
「そうだな、かなり元気になったし」
 危なかったがというのだ。
「もう少ししたら普通にな」
「動けるわ」
「そうなるな」
「その時が楽しみね」
「ああ、それじゃあな」
「そう、ベニーと一緒にね」
 今はベニーに寄り添って丸くなって寝ている彼女を見て話した。
「アドラ=ベルを育てましょう」
「そうしていこう」
「ミルクもあげてね」
 こう言ってエレンはミルクを用意した、アドラ=ベルはミルクをどんどん飲んでいった。そうしてだった。
 暫くするとすっかり元気になった、そして。
「ニャンッ」
「ニャア」
 ベニーにじゃれついて遊んだ、ベニーもその彼女の相手をして。
 仲良く遊んだ、そして他の猫達もその遊びに参加し。
 皆で遊んだ、エレンはその場面をスマートフォンで動画に撮ってそのうえで動物病院で同僚達に見せた。
 するとだ、皆笑顔でこう言った。
「すっかり元気になってくれたんですね」
「あんなに弱っていたのに」
「そうなったのはですね」
「全部ベニーのお陰ですね」
「ベニーがいたから」
 だからだというのだ。
「それでね」
「それで、ですね」
「こんなに元気になったんですね」
「それで、ですね」
「これからもですね」
「ええ、ベニーと一緒にいてね」
 そしてというのだ。
「大きくなっていくわよ」
「小さくて弱っていても」
「ちゃんとした親がいるとですね」
「こうなるんですね」
「そうよ、血はつながっていないしお母さんじゃないけれど」
 それでもというのだ。
「ちゃんとしたお父さんだから」
「他の猫達も育ててくれて」
「それで、ですね」
「この娘もですね」
「そうしてくれたんですね」
「そう、これからもね」
 まさにと言ってだ、そうしてだった。
 エレンは仕事を終えて家に帰ると夫と共に猫達の世話をして遊んだ、どの猫達も元気であったがそこにはアドラ=ベルもいた。彼女はベニーそして他の猫達と共に遊んだ。もうあの危うい状況の彼女はいなかった。


優しいお父さん猫   完


                    2021・3・24 
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