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おぢばにおかえり

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第六十三話 お家に帰ってその七

「何があっても」
「そうなのね」
「読んでも無駄と思ってますから」
「そこでまた否定するけれど」
 私はまた阿波野君に言いました。
「本当に癖性分が強いわね」
「このことからも出ていますか」
「そう、嫌いな相手は全否定することは駄目よ」
「吉本隆明についてもですね」
「そう、そんなことをしてるとね」
 私は阿波野君にさらにお話しました。
「その癖性分に押し潰されるわよ」
「いんねんにもなりますか」
「ほこりね、ほこりを積み過ぎて」
 そうしてです。
「そのほこりに押し潰されるわよ」
「そうなりますか」
「だからね」
「もっと、ですね」
「全否定しないの」
「それがいいですか」
「それで長池先輩にもあんなこと言ったのね」 
 ここで神殿の前でのことを思い出しました。
「あの時は私本当に立腹したから」
「あの人に面と向かって言ったからですか」
「そうよ、阿波野君先輩のこと嫌いでしょ」
「はい、嫌いです」
 お顔にも出しての言葉でした。
「あの人は」
「そうよね」
「残酷な人としか思えないですから」
 私にずっと言っていることを今も言いました。
「ああした人とは一緒にいたくないです」
「またそんなこと言うから」
「先輩はどう思っておられるか聞いてますけれど」
 それでもというのです。 
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