星河の覇皇
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第七十七部第二章 第二次国境会戦その三十二
しかしだ、ここはサハラでだ。
「軍の最高司令官自らか」
「果敢に戦い続けるか」
「攻撃を見ても怯まず」
「自らも攻撃をしているな」
見ればアリーもシャハラザードも攻撃を行っている、彼等はこのことも言うのだった。
そしてだ、彼等は両軍の戦術も見て言った。
「両軍共カラコールだ」
「艦隊単位での波状攻撃を行っている」
全軍を十数列に分けてそうして行っているのだ、波状攻撃自体は連合軍の戦術マニュアルにも存在しているのだが。
自分達の戦術との違いからだ、彼等は思った。
「守りを捨てている」
「まさに攻撃一辺倒だ」
「攻撃が最大の防御だな」
「先の列の攻撃が終われば間髪入れずに次の列が出ている」
「そして攻撃しながら前に出ている」
見ればそうしていた、実際に。
「あの攻撃はないな」
「過激な攻撃だ」
「突撃する様に攻めていく」
「そしてその列の攻撃が終われば同じだ」
また次の列が移動しつつ攻撃を行っているのだ。
「あの攻撃はないな」
「我が連合軍には」
「どうしても守りを固めつつ行う」
これはさながらファランクスやレギオンの重装歩兵達が盾を構えて前に出る様だと言われている。
「そこが違うな」
「サハラはさながら槍や弓矢を放ちながらだ」
「そうして前に出ている」
「これはない」
「我々にはな」
とてもと言うのだった。
「こうした波状攻撃もあるか」
「我々は前の列を出す時後方から援護射撃を行う」
「それでも全力でな」
そうして前に出る艦隊を援護するのだ。
「そうするが」
「サハラでは自分達が攻撃に加わるか」
「そこが違うな」
「かなり大きな違いだ」
「狙いも構わず前に出るか」
「そうして自分達の実を守るか」
「そうしたやり方もあるか」
「そうした戦術も」
観戦をしながら話す、見れば連合では中央政府軍の観戦武官達が最も多い。
それでだ、彼等は乗っている船から戦の状況を観戦しつつ言うのだった。連合軍の黒と金のブレザーの制服がそこにある。
そしてだ、その中でだった。少尉の階級にある若い士官がふと言った。
「ただ」
「ただ。どうした?」
「いや、オムダーマン軍は妙ですね」
こう言うのだった。
「何か隙を見てです」
「隙?」
「隙というと」
「はい、隙を見て」
そうしてというのだ。
「何かをしようという感じですが」
「何かを」
「何かをか」
「そうだというのか」
「そんな感じがしましたが」
どうにもというのだ。
「私の気のせいでしょうか」
「そうではないのか」
「別におかしくはないだろう」
「これといって」
こう言うのだった、他の士官達は。
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