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フォース・オブ・イマジナリー

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Turn:34 もう一度前へ

 
前書き
地区大会の敗戦から立ち直れずにいるシュンとヒトミ
そんな二人のために何かできないか探すヤイバ
そんな中かつてないほど憔悴していたシュンをファイトに誘ったのは……… 

 
ドラエン支部のオフィスでマモルとチカゲが仕事をしていた
「それにしても、今回は驚かされたなぁ」
マモルの一言にチカゲの手が止まる
「チームリノベーション、ですか?」
「うん、まさか小学生チームが優勝するなんて」
にこやかに話すマモルとは対照的にチカゲの表情は晴れなかった
「何があったのかは聞かないでおくよ」
そんなチカゲの意図を読み取ってかマモルはそれ以上何も言わなかった

Turn:34 もう一度前へ

「オーバーロードでギガレックスにアタック」
ツムギに誘われるままカードキャピタル3号店で彼女とファイトするシュン
「アークバードで完全ガード」
勝負をかけたアタックが決まらず唇をかみしめるシュン
「アタック」
ツムギのアタックが決まり負けてしまうシュン
「なんからしくなかったんじゃない、今のファイト」
ツムギの言葉に大きくため息を零すシュン
「宮導に………妹とファイトしたがっていたアイツを制止して出て言ったのにあの様だ………もしあいつの望み通りにファイトさせていればと思うとな」
「そんな………妹?え?誰と誰が!?」
「うちのチームの宮導とリノベーションの御導ルカがだ、離れて暮らしていると聞いた」
シュンから聞いた言葉に目を丸くして身を乗り出すツムギ
「そっか………御導ルカねぇ、地区大会での対戦は私も見てたわけじゃないけど、対戦したファイターの話は小耳にはさんだよ」
そういってスマホで地区大会の記事を開くツムギ
「あんまり他人の事情に首突っ込んじゃいけないのはわかってるんだけど、心配になっちゃうのもわかるよ」

「じゃあ、親父は何も関係ないんだな」
ドラゴンエンパイア支部へとやってきていたヤイバはチカゲから話を聞いていた
「うん、あたしも気になって電話してみたんだけど、あの人との間に何かあったわけじゃないみたい、もうちょっと掘り下げれば何かわかると思うけど」
「いや、それだけ聞けりゃ十分だ、あとは………」

「スキル発動、アテンプトマンモスを退却」
「あっちゃぁ、ここでインターセプト潰されるのはきついなぁ」
もう一度ファイトを始めるシュンとツムギ
今度はシュンの肩の力もだいぶ抜けてきていた
「小さい頃」
「ん?」
オーバーロードのカードに触れながらふと過去を思い返すシュン
「親の仕事の都合で海外へと渡った俺は、言葉も通じない場所で不安になっていた」
「なんか意外ね、あなたっていつもクールで、そういうのとは無縁に思えるんだもの」
「そうなったのはこいつと出会ったからだ」
そういってオーバーロードのカードを見せるシュン
「向こうのプロリーグでみたこいつの強さに惹かれて、俺はヴァンガードを始めた、一刻も早くあの人のように強くなりたいと………そう思い続けて今までファイトを続けてきた」
「そうだったんだ………ねえ、あとでカムイさんに話聞いてみようよ、あなたの憧れって櫂トシキでしょ?カムイさん昔一緒にチーム組んでたんだって」
「そうだったのか?………ふっ」
「どうしたの?」
「お前とのファイトはいつもそうだ、不思議と心が躍る」
地区大会でのツムギとのファイト、互いの心が通じ合った素晴らしいファイトだった
「なぜ忘れてしまっていたんだろうな………続けるぞ」

ドラエン支部にいたヤイバはフリースペースにいた子供たちとファイトに興じていた
「ブラスター・ブレードでアタック」
「うわぁ、負けたぁ」
双剣士 MUSASHIにアタックが決まりヤイバの勝利が決まる
「っしゃ」
「やっぱ地区大会に出るファイターは違うなぁ」
落ち込む少年に対してヤイバは彼のデッキを見ていた
「(むらくもか………今度は俺が挑戦する番だな)」
ルカのことが気になってしまい実力を出し切れず負けてしまったナズナとのファイト
いつかもう一度ファイトして取り返さなければならない

ツムギのダメージゾーンに6枚目のカードが置かれる
「もう、大丈夫みたいだね」
「ああ、まさかお前に励まされるとは思わなかったがな」
そういって席を立つシュン
「もういいの?」
「ああ、この借りはまた別の形で返さなくてはな」
「仮なんて思わなくていいのに」
そう言って店を出ようとするシュンだったが
「ありがとう、ツムギ」
「あ、うん………」
素直に礼を言われて驚き半分照れ半分のツムギは顔を赤くしたまましばらく固まっていた

「すまない」
翌日、学校でシュンはヤイバに頭を下げた
突然のことにヤイバは戸惑っていた
「お前の望む通りにファイトさせてやれなかったこと、本当に」
「ああ、いいって、結局お前の言ったとおりだったんだから」
ヤイバの言葉に頭を上げて首を傾げた
「いや、実はさ………」

ナズナとのファイトのことを語るヤイバとシュン
「そんなことがあったのか」
「ああ、あいつともまたファイトしなくちゃな………」
「ファイトで受けた傷はファイトで癒すのが一番だ、俺がそうだったようにな………」
「んじゃ、矢代とも………お前誰とファイトしてきたの?」
意を決して立ち上がろうとしたヤイバだったがふとシュンの様子が気になり彼を見る
だがシュンは答えずにそっぽを向いていた
「おーい、なんで無視すんだ、おーい」

放課後、帰り支度をしていたヒトミはカバンの中のデッキに気が付く
地区大会のことを思い出し
「矢代」
「ふぇっ!?えっ?何」
突然ヤイバが声をかけてきたことに驚き身を震わせるヒトミ
「今日、これからキャピタルでファイトしようぜ」
「えっ、でも………」
「矢代、ちょっといいか?」
「あ、はい」
悩んでいたヒトミだったが石田先生に呼ばれ席を立つ
「俺、先行って待ってるからな」

カードキャピタルへの道を急ぐヤイバ
すると目の前に思わぬ人影があることに気づく
「っと、ルカ」
眼鏡をかけた少女とファイカを持って二人で話しているルカの姿を見つけ立ち止まるヤイバ
ルカの方もこちらに気づいた
「お兄ちゃん?」
「まさかこんなところで会うなんてな、クエストか?」
「ええ」
一緒にいる少女の方にも軽く手を振って挨拶するヤイバ
ふと、この少女に見覚えがある気がして考えてみると
「(あ、この子俺の対戦相手になるはずだった………)」
ルカと一緒にいるのがチームリノベーションの最後のメンバーであることを思い出した
「もう一人の奴は居ないのか?」
ヤイバの問いかけにルカは少女と目を合わせる
「彼は大会メインだから………」
「そっか、でも安心したよ、ちゃんと友達の仲良くできてんだな、じゃ、俺先急ぐから」
そういってヤイバはキャピタルへの道を急ぐ
「行きましょう」
「うん………」
少女はヤイバが立ち去った方をずっと見ていた

一方ヒトミは石田先生と話していた
「悪いな、呼び止めちまって」
「いえ、私も行くかどうか悩んでたから………」
俯くヒトミの肩に石田先生は優しく手を乗せる
「俺はブラスター・ブレードの前の持ち主を知ってる」
「えっ?」
「小さい頃のアイツはいつも悲しそうで、苦しそうで………」
そう言って先生は懐から自分のデッキを取り出す
「そんなアイツがブラスター・ブレードと………ヴァンガードと出会って変わることが出来た、それを見て、俺も変わってみたいと思ったんだ、矢代、お前はどうしたい?」
 
 

 
後書き
次回予告
「こんにちは~」
「あれ、日下ツムギ?なんで」
「来たか、待っていたぞ」
「え?暁?お前が誘ったの?」

turn:35 ヒトミの決意

「ただ待っているだけというわけにもいかないからな」
「ふふっ、誘ってくれてありがとう」
「何この孤独感、っていうかいつの間に連絡先交換したんだよ」 
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