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星河の覇皇

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第七十七部第二章 第二次国境会戦その十六

「今度の戦争で決まればいいな」
「そうですね」
 隣にいた客が彼に応えた、眼鏡がかなり大きい。
「オムダーマンの勝利で」
「本当にな、とはいってもな」
「とはいっても?」
「俺は元々ハサンの人間だよ」
 笑ってだ、男は眼鏡の客に話した。
「最近オムダーマンに入ったばかりだよ」
「私もハサンですよ」
 眼鏡の男もこう返した。
「だってここは元々そうじゃないですか」
「ハサンだったからか」
「そうです、生まれも育ちもです」
「ハサンか」
「私は生まれはテヘランですが」
 この星系だというのだ。
「そこの生まれですがね」
「俺はここだよ」
「バグダートですか」
「ああ、まさかここが首都になるなんてな」
 男は笑って話した。
「思いも寄らなかったよ」
「それがですね」
「ああ、首都になってどんどん人が集まってるだろ」
「現在進行形で」
「何かとな、昔はな」
 それこそと言う男だった。
「こんなな」
「とてもですか」
「つい最近までこんな賑やかじゃなかったんだよ」
「そうみたいですね、私が来たのは最近ですが」
「最近急にこうなってな」
 それでというのだ。
「俺も驚いてるんだよ」
「そうですか」
「ああ、若しこれで帝都になったらな」
 オムダーマンが勝ってこの国が統一すればというのだ。
「もうな」
「その時はですね」
「こんなものじゃないだろうな」
「今も人が集まってきていますし」
「もっと集まってな」
「サハラ一の星系になりますね」
「ああ、絶対になる」
 こう眼鏡の男に話した。
「絶対にな」
「そうですよね、そうなったら」
「そう思うだけで楽しいだろ」
「実は私の会社もそれを見込んで」
 オムダーマンが勝利しバグダートがサハラの帝都となりこれまでよりも遥かに繁栄することを見越してなのだ。
「本社をこっちに移転しました」
「テヘランからか」
「はい、そうしてです」
「あんたもこっちに来たんだな」
「そうなんです」
 こう男に話した。
「それでなんです」
「成程な」
「いやあ、まだ平ですがね」
「いやいや、平とかは関係ないだろ」
「ないですか?」
「そうだろ、そんなことはな」
 会社員としての立場はというのだ。
「特にないだろ、本当にな」
「問題はバグダートに来ていることですか」
「そうだろ、今色々な会社がこっちに来てるんだよ」
 バグダートに本社を移しているというのだ。
「オムダーマンも政府の省庁をこっちに移してな」
「民間もですね」
「そうだよ、企業もな」
 民間もというのだ。 
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