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八条学園騒動記

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第六百四話 マウリアの推理その十

「今容疑者のお話してるけれど」
「ええと、どうもね」
 ここでだ、トムは字幕を読んでエイミーに言った。
「これまだらの紐みたいだよ」
「ホームズの」
「少なくともモチーフはね」
「全然違うと思うけれど」
「それがね」
「どうもなのね」
「そうみたいだよ」
「あまりにもマウリアのカラーが凄くて見えないけれど」 
 まだらの紐にはというのだ。
「それでもなのね」
「そうみたいだね」
「あの、何かね」 
 シッドは画面の展開を観て話した。
「凄いことになってるよ」
「そうだね」
「容疑者の人達が出て来て」
「刑事さんや警官の人達も入れてね」
「また踊りだしそうだよ」
「そうだね」
 見ればそうした状況になっていた、警官達の数が急に増えてそうして皆姿勢を正した。そして実際にだった。
 歌い踊りながらホームズが容疑者達との会話をはじめた、皆笑顔で歌い踊り白い歯をキラリとさせている。
 その状況を見てシッドは死んだ目になって述べた。
「あの、僕ね」
「こんな容疑者とのやり取りはだよね」
「見たことないよ」
「僕もだよ」
 見ればシッドもそうした目になっている。
「凄いね」
「こんな推理映画ってあるんだ」
「マウリアではそうなんだね」
「そうなんだね」
「あの、しかもね」
 エイミーはここでマウリア人の観客達を見た、すると彼等は。
 また歌って踊っていた、その光景を見つつトムに話した。
「マウリアの人達はね」
「踊ってるね」
「そうよね」
「つまりこれがね」
「マウリアの人達には自然なのね」
「そうだよね」
「別におかしいと思っていないから」
 そうした感じがはっきりと出ていた。
「だからね」
「僕達は驚いているけれど」
「マウリアでは普通ね」
「至ってね」
「この中に犯人いるんだよね」
 シッドは歌う踊る彼等を見つつ指摘した。
「そうだよね」
「そうだよ」
 トムもすぐに答えた。
「この中にいるよ」
「そうだよね」
「そうだけれどね」
「明るくなんだ」
「歌って踊って」
 そうしてというのだ。
「そのうえでね」
「自己紹介し合うんだ」
「今みたいにね」
「凄いことだね」
「だからそれがね」
「マウリア映画なんだね」
「ここぞって時に歌と踊りが入るから」
 だからだというのだ。
「それでね」
「こうなるんだ」
「そうみたいだね」
「本当に異文化だね」
「異文化じゃないよ」
 トムはシッドにこのことは断った。
「連合とマウリアではっていうんだね」
「うん、そうだけれど」
「これは文明だよ」
「文明が違うんだ」
「連合とエウロパではね」
「そうなんだね」
「連合は多民族多人種多宗教国家だから」
 それでというのだ。 
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